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第3回 どこでも“セキュアに働ける環境”、鍵は2つのツール成功事例から考える「働き方変革」(1/2 ページ)

ITを活用した働き方変革を進めるときに、大きな課題になる「セキュリティ」。モバイルデバイスやクラウドサービスをセキュアに使う方法を紹介する

» 2017年07月20日 10時00分 公開
[塩屋晶子, 小田中 俊博ネットワンシステムズ]

社外でもスマートデバイスで「セキュアに」仕事

 前回「“コラボレーション”が働き方変革の起爆剤 ツールから始める業務効率化術」で紹介したコラボレーションツールの導入によって、場所に依存しないコミュニケーションを多くの場面で実現できる。もちろんそれだけでワークスタイル変革が完了するわけではない。オフィス以外の場所で、セキュアかつ容易に、業務システムや業務データを扱える環境が必要だ。 

コラボレーションツールと適した利用シーン(「“コラボレーション”が働き方変革の起爆剤 ツールから始める業務効率化術」より) コラボレーションツールと適した利用シーン(「“コラボレーション”が働き方変革の起爆剤 ツールから始める業務効率化術」より)

 ネットワンシステムズは、2013年5月の本社オフィス移転からワークスタイル変革を強く促進してきた。全社VDI(仮想デスクトップインフラ)化やクライアントPCの全社BYOD(私物端末の業務利用)化など、場所やデバイスを選ばず効率的に業務ができる環境を整えてきた。

 しかし移転当初は、外出先でノートPCからVDIを使っていたが、勝手の悪さが課題として残っていた。ネットワンシステムズは、社内システムや業務データにアクセスするとき、従業員は手元のクライアント端末から毎回VDIへ接続する必要があった。また移動中は、ノートPCとモバイルWi-Fiを立ち上げる手間と、それらを置くスペースが必要なことから、スキマ時間に業務情報を確認することが容易ではなかった。

 そこでネットワンシステムズは、スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスから簡単に社内システムやデータへアクセスできる仕組みの導入を検討した。同時に、社外で業務データを安全に扱えるようにするために、デバイスのセキュリティ対策の検討も進めた。

 モバイルデバイスから社内システムへセキュアにアクセスできる仕組みとしては「セキュアブラウザ」を導入した。これを使用することで、Web化した社内システムや業務データにセキュアにアクセスできるようにした。またスケジュールやメール、社内の共有フォルダに保存されたファイルなども、セキュアブラウザと同様、専用のアプリケーションを導入し、セキュアな環境を維持しつつモバイルデバイスから確認できるようにした。従業員は移動中や外出先で、モバイルデバイスから資料を確認したり、作成中の資料を編集したり、スケジュールを確認して日程調整したりできるようになった。

 一方、デバイスのセキュリティ対策として、ネットワンシステムズは検討の結果、「エンタープライズモビリティ管理」(EMM)製品を導入した。EMMは「モバイルデバイス管理」(MDM)に加え、「モバイルアプリケーション管理」(MAM)や「モバイルコンテンツ管理機能」(MCM)を組み合わせた製品だ。

 システム管理者は、統一したセキュリティポリシーで業務アプリケーションを提供できるようになり、運用管理の負荷も軽減した。例えば、デバイスの紛失や盗難が発生したとしても、EMM製品の中のMDM機能を使い、管理者が遠隔操作でデバイス内のデータを消去できるようにしたり、GPSによりデバイスの現在位置を追跡できるようにした。

図 一般的なEMMの機能概要 図 一般的なEMMの機能概要
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