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第3回 どこでも“セキュアに働ける環境”、鍵は2つのツール成功事例から考える「働き方変革」(2/2 ページ)

» 2017年07月20日 10時00分 公開
[塩屋晶子, 小田中 俊博ネットワンシステムズ]
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クラウドサービスの利用とセキュリティ

 ワークスタイル変革を進める上で、お勧めなのが初期投資や運用負荷をあまりかけずに使えるクラウドサービスの利用だ。ネットワンシステムズでは、資料や動画などのファイルを共有するとき、オンラインストレージサービスを使用している。

 あらかじめプロジェクト単位やディスカッションテーマ単位で、関係者共通のフォルダをオンラインストレージに定義し、データをアップロードすればメールで関係者全員に対して自動的にメール配信する設定をしている。共有するデータをアップロードするだけで関係者に対してデータが共有できるので、わざわざメールに添付したり、保存先のサーバ情報を伝えたりするよりも手軽かつタイムリーにデータ共有できるようになった。また手間が削減できるため、業務の効率化にもつながった。

 クラウドサービスのビデオ会議やWeb会議システムをうまく活用することで、低コストで社内外向けの勉強会の映像を配信したり、録画したりできる。クラウドサービスのソーシャルネットワーキングサービスにこうした映像を集約することで、社内ナレッジをため込むこともできる。 

 クラウドサービスの使用は、セキュリティ面で心配だと考える企業も少なくない。そもそも従業員がどのようなクラウドサービスを使用しているのかが分からなかったり、会社で使用を認めているクラウドサービスであっても、従業員がどのようなファイルを誰に共有しているのかが分かりにくかったりするからだ。 

 この課題を解決する手段として、「CASB」(Cloud Access Security Brokers)と呼ばれるクラウドセキュリティ製品がある。CASBは、自社とクラウドサービス間の通信を把握し、情報の保護を図る。例えば下記の対策を講じることができる。

  • 従業員が使用しているクラウドサービスやアップロードしているデータの可視化
  • 従業員の不審な振る舞いの検知
  • 機密情報を含むファイルの共有ポリシーの定義
  • ファイルやデータの暗号化

 ネットワンシステムズは、クラウドサービスとCASBを組み合わせて利用することで社外関係者との安全なデータ共有が実現できるかどうか、ビジネススピードを加速することが可能になるのかどうかを検証している。

図 CASBの概要 図 CASBの概要

 第2回と今回で、ワークスタイル変革を実現するためのITツールとして、離れた場所を結ぶ「コラボレーション」ツール、社外でもスマートデバイスでセキュアに仕事ができるEMM、クラウドサービスを安全に利用するためのCASBを紹介した。これらを組み合わせることで、従業員はどこでも会社と同じように、かつセキュアに働けるようになる。

 しかし、第1回「ワークスタイル“改善”で終わってない? 本当の「変革」に必要な3つの要素とは」で紹介したように、IT製品を導入しただけではワークスタイル変革は実現しない。

 次回は、IT製品導入と並行して検討が必要な人事制度やオフィスファシリティについて紹介する。

著者プロフィール

塩屋晶子(しおやあきこ)

ネットワンシステムズ ビジネス推進本部応用技術部EUC・SDI開発チーム

コラボレーション(ビデオ)製品を担当。新製品の技術検証や各種ナレッジの展開といった社内推進業務、案件支援、顧客へのデモンストレーションなど啓発活動に携わっている。

小田中 俊博(おだなかとしひろ)

ネットワンシステムズ ビジネス推進本部応用技術部EUC・SDI開発チーム

2008年よりコラボレーション製品を担当。案件支援や、顧客への設計構築業務を実施。2015年よりモバイル関連業務に携わっている。

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