最後に、文書管理ツールを「導入しない」と回答した人に、その理由を尋ねてみたところ、1位は「ツールなしで管理している(データ)」で72.2%、2位は「ツールなしで管理している(紙、ファイリングなど)」で42.0%、3位は「管理すべき文書はあるがツールを導入する予算がない」で14.8%、4位は「管理すべき文書がない」で4.7%と続く結果となった。
社内文書を「ツールなしで管理している」との回答が多く、これを従業員規模別にみると100人以下の中小企業では「紙、ファイリングなど」で管理している割合が53.2%と、まだまだ紙ベースでの運用が残っている実態が見て取れる。
また「データ」で管理している割合についても従業員規模問わず、7割〜8割ほどが導入しない理由となっていた。確かに一定人数のチームやプロジェクト間での文書管理・共有であればツールによる管理が最適解ではないケースもあり得る。
ただし契約書やプロジェクト成果物の管理などその影響範囲がプロジェクトの枠を超えることが予想されるような場合は、ツールの利用を検討した方が無難だ。内部統制やリスク管理の側面からも契約書の一元管理やワークフロー設計は必須であることはもちろん、社内で発生するさまざまな成果物を会社の資産として一元管理して有効活用できる体制の構築は、新技術や業務ノウハウの蓄積につながり、結果として現場の作業効率を高めることになる。
リスク軽減や業務効率化といった、いわゆる「守り」の体制整備に対しては「なかなか経営層に費用対効果を提案できない」といった声も聞かれるが、前述したようにスマートデバイス活用の浸透や法改正などの外部環境の変化が、社内紙文書のデータ化やツールにおける文書管理の直接的なメリットを後押しする流れになりつつある。今こそ社内文書の全社データ管理と有効活用の在り方を真剣に検討する時期と捉えても良いのかもしれない。
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