シンクライアントの仕組みにも幾つか種類があるが、ヤマトシステムは自社に合ったサービスを模索する中で、最終的に後者の「VMware Horizon」に行きついたと話す。
まず、同社が導入したのは、ブレードPC型というシンクライアントの仕組みであった。これはCPUやメモリ、HDDといったPC本体をブレード状のボードに搭載し、マシンルームで集中管理を行う方式だ。クライアントPC1台にブレードPC1台が対になっており、モニターやマウスなどの出力インタフェース以外のPC本体だけをデータセンターに移行するというイメージである。トータルコストが安いといったメリットを持つブレードPC型だが、ヤマトシステムは、最終的にブレードPC型のサービスから仮想PC型へと移行した。
これは、ブレードPC型に幾つかのデメリットがあったからだ。例えば、クライアントPCにひも付くブレードPCを収納する際には、熱効率などの問題で1ラック120端末しか収納できないため集約効率が悪い。また、管理者によるユーザー対応が必要になる度に、サーバルームへ行かなければならない手間もあった。Windows7への移行時などは、メモリを物理的に1台ずつ増設する必要があったため、工数がかかったという。
同社はこうした課題を受け、PCの台数を拡張する必要性が出てきたタイミングでブレードPC型から仮想PC型(Virtual Desktop Infrastructure:VDI)へとシンクライアント環境を移行させた。仮想PC型では、高性能のサーバ上に、仮想技術を使って複数台の仮想PCを稼働させ、そのデスクトップ画面だけをクライアントPCに転送する。1台のサーバ上に複数の仮想PCを複製できるため、拡張の度にメモリやHDDを増設する必要もなく、集約率もアップする。
同社は仮想化の基盤を徐々にVMwareのサービス上へ移行しており、現時点ではハイパーバイザーである「VMware ESXi」とデスクトップ仮想化を実現する機能を持ったVMware Horizonの組み合わせ、あるいはハイパーバイザーの「Citrix ICA」とVMware Horizonの組み合わせでシンクライアントの仕組みを活用している(図3)。従業員には、識別のための色付きシールをつけたシンクライアント端末を配布している。
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