建設大手の大和ハウス工業が建設中の巨大物流拠点「DPL流山」は、近代化された大規模物流関連施設・設備をテナント各社でシェア可能にする画期的試みを開始する。
大規模・高品質リソースのシェアリングでビジネスの低コスト化や高品質化を図る動きはIT業界だけにとどまらない。建設大手の大和ハウス工業が建設中の巨大物流拠点「DPL流山」は、近代化された大規模物流関連施設・設備をテナント各社でシェア可能にする画期的試みを開始する。そのサービス計画が8月3日、東京で開催された「intelligent Logisticsの実現に向けた大和ハウス工業の取り組み」と題したセミナーで発表された。その講演概要を全2回で解説する。
2018年3月の完成を目指すDPL流山は、ダイワハウス工業が開発する物流施設のブランド「DPL(ディープロジェクト・ロジスティクス)」において新たに新設される物流拠点。ブランド戦略の一環として行ってきた「Dプロジェクト」では、立地条件の良い場所に複数テナントが入居できるマルチテナント型の物流施設などを開発しているが、今回のDPL流山もその1つだ。
都心から25キロ圏内の千葉県流山市に位置し、東京外環道路・高谷ジャンクション(市川市)から車で約35分、常磐道流山ICにほど近い好立地。同社の浦川竜哉取締役常務執行役員は、「ここは首都圏では最大級の物流センター。近代化設備による効率化・自動化により物流の川上から川下までトータルワンストップのサポートを提供できる」と胸を張る。驚くのはその規模だ。同社が確保したのは千葉県流山市の総面積20万坪の敷地。ここに総床面積30万坪、合計11棟の新物流拠点が建つ。
浦川氏はDPL流山の特徴を2つ挙げた。1つは「子育て支援型」であること。施設内10棟に合計600人収容できる託児所を設け、地元の待機児童(約1000人)の低減とともに共働きの若い世代の人でも安心して仕事と子育てを両立できるようにする。これは働き方改革への取り組みの一環だ。自治体と協力して地域の雇用と子育て支援を中心とした取り組みを行い地域に貢献しつつ、生活と仕事が結びついた「物流タウン」として発展させていくという。
もう1つは、物流にまつわる業務全域にわたるサポートサービスの提供だ。建物や土地の開発ばかりでなく、物流コストの8割を占める配送費や人件費、マテリアルハンドリングを最適化するために、フレームワークスのWMS(Warehouse Managing System)ソリューションを活用。物流に必要な保管、管理、作業、搬送、配車、配送の各領域の業務へのサービスを各種自動化設備・機器で合理化して提供し、トータルワンストップのサポートを創造していくという。
物流の各プロセスでは、多数の業者が提供する各種サービスが活用される。例えば施設内部では物流ロボット(GROUNDのBUTLERなど)を活用して「歩かない・探さない・間違わない」ピッキング作業効率化ソリューションを展開し、トラック運行管理や配送領域では、クラウドをベースにした配送依頼アプリやトラックの運行管理・荷物マッチング統合サービス(HacobuのMOVO/ムーボ)などを活用、さらに通販に関連する各種業務についても、在庫情報の連携でバックヤード業務をワンストップで提供する「フルフィルメントサポート」(アッカ・インターナショナルのALIS)も含め、各種サービスや機器を大和ハウスグループが責任をもって提供することが構想されている。
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