メディア

第4回 「ワークスタイル変革」実践編 資料で見る「人事制度」と「ファシリティ」の考え方成功事例から考える「働き方変革」(3/3 ページ)

» 2017年10月26日 10時00分 公開
[下田英樹ネットワンシステムズ]
前のページへ 1|2|3       

オフィスファシリティの整備

 ワークスタイル変革を実現するためには、オフィスファシリティの整備も必要になる。従来型の1人1席の固定席型のオフィスでは、「いつでも・どこでも」を実現するさまざまなICTツールを導入しても、最大限に効果を引き出すことができない。つまり、ICTとオフィスは密接さを増しているのである。

 ネットワンシステムズでは、社員へのヒアリングやワークショップから「ICTの利活用を通して場所にとらわれずに働ける環境を提供する」という具体的なゴールを導きだし、無線LAN環境の整備とフリーアドレスを導入して場所を選ばないワークスペースを実現することで、コミュニケーションとコラボレーションを加速させた。

図6 ネットワンシステムズのオフィス 図6 ネットワンシステムズのオフィス

大きな契機となった2013年5月の本社オフィス移転

 ネットワンシステムズでは2013年5月の本社移転と同時に、全面的にフリーアドレス制を導入した。社員はノートPC(BYOD)やタブレットデバイスから、オフィス全域の無線LANを経由して、働きたい場所で仮想デスクトップを利用する。また、携帯電話で内線と外線双方を着信する仕組みも採用した。これらのICTツールによって、固定席・固定電話を廃止することができた。

 さらに、ビデオ会議端末を全会議室に設置するとともに、会議室以外のフリーアドレススペースにも多くのビデオ会議端末を設置することで、予約することなく柔軟に利用が可能だ。なお、細かな話だが、プリントアウトが必要な場合にも個々のプリンタを意識することなく、最寄りのプリンタにIDカードをかざしてログインすれば全拠点どこでも印刷できる。

 このフリーアドレス化によって、用意する座席数を従業員数の約6割まで抑制し、スペース効率の向上とともに賃貸料の削減にもつなげている。また、従来は年度単位の組織変更に応じて、座席の割り振りや人員の物理的な移動に多くの時間を割いていたが、この労力もほとんど必要なくなった。

仕事に応じてワークスペースを選択

 フリーアドレスの最大のメリットは、仕事に応じてワークスペースを選択できる点にある。ネットワンシステムズでは、「5-Style Office」というコンセプトで、(1)思考する、(2)形にする、(3)振り返る、(4)見直す、(5)集約するという五つの働き方に大別してオフィス環境を整備した。社員は随時、仕事に最も適した席を使い分けながら成果を出している。

図7 5-Style Officeの考え方とオフィスファシリティ 図7 5-Style Officeの考え方とオフィスファシリティ

 ここまで、人事制度とオフィスファシリティの取り組みによるワークスタイル変革について紹介してきた。これらによってネットワンシステムズが目指しているのは、(1)工夫の積み重ねによる個人と会社の生産性向上、(2)それにより創出された時間を私生活の充実や社員満足度の向上に転化、(3)最終的にはお客さまのさらなる満足につなげていく、そんな好循環を実現させていくことだ。

著者プロフィール

下田英樹(しもだひでき)

ネットワンシステムズ 経営企画本部 人事部長

長年、人事政策全般の企画・設計と運用・定着に携わる。部門責任者となってからもワークスタイル変革に関わる人財戦略の加速に継続して取り組む。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

会員登録(無料)

製品カタログや技術資料、導入事例など、IT導入の課題解決に役立つ資料を簡単に入手できます。