12月にも開始を予定しているSAP Data Hubのトレーニングプログラムには、ビッグデータ関連のシステムコンサルティングやインテグレーションを手掛けるヴピコが協力する予定だ。
ヴピコ 統括部長 アーキテクチャー ダミアン・コントレラ氏は、SAP Data Hubの利点として、分かりやすさやユーザー自身による取り扱いの簡便さを挙げる。
「ストリームデータだけを考えたり、バッチ処理だけであったりといった個別の目的に対応する機能であれば、実はオープンソースソフトウェアを含め、多様な選択肢がある。しかし、一般的な企業では、これらをどう組み合わせて利用していけばよいのかを判断しにくい。利用するには専門的な知識が必要であり、技術トレンドの動きも流動的であるため、常に自主的に情報をキャッチアップできる体制でなければ対応できない」(コントレラ氏)
コントレラ氏が指摘するのは、例えばデータフローオーケストレーションツール「Apache NiFi」、ストリームデータ処理基盤「Apache Storm」といったオープンソースソフトウェアでも個別の機能は一定の品質で利用できるということだ。あるいはHadoopディストリビュータのサポートを受ければ、ビッグデータ処理基盤自体を、企業ITにふさわしい品質で運用できるかもしれない。
しかし、一般企業では、他部門の長期的な実績データの分析結果と自部門の管理システムが持つデータを突き合わせたりといった、既存のエンタープライズシステムが持つデータとの連携や参照といった使い方が必要なことが多いと考えられ、エンタープライズシステムとつなぎ込む部分を、一定のルールの下で解放し、利用させる必要がある。
「別システムに保管する過去5年の実績データとERPが持つ直近1カ月の取引データを自力で照合する」といった場合には、データ加工や連携のためのツールを開発する必要がある。
この点で、SAPの製品ポートフォリオであれば、SAP Dat Hubを使って加工データを基幹業務システム側のデータウェアハウスに供給できるし、ETLツール「SAP Data Services」を利用すれば、既存のSAP資産とのデータ連携も効率よく実行できるようになっている。
この他、データフローの処理についてもGUIでパイプラインを設計する機能や、データソースを一元的に管理できるポータルも持っており、「ユーザー企業が迷いにくい環境が用意されている」(コントレラ氏)。
SAP Data Hubがラインアップに加わったことで、既存のSAPユーザーは、SAP製品群を離れずに既存のシステムと連携したデータ処理基盤を利用できるようになる。これが、SAPユーザーにとって最大の価値になるだろう。
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