読者1549人に聞いた、2018年に注目すべきITトピックス。「AI活用」編では、企業規模別のAI活用実態や課題についてまとめた。
キーマンズネットでは、読者1549人を対象に「ITへの投資状況に関するアンケート調査」(2017年12月11〜19日)を行った。
調査結果を踏まえ、キーマンズネット編集部が2018年に注目すべき7つのITトピックスを選定、「働き方改革」「改正個人情報保護法、GDPR対策」「Windows 10導入」「セキュリティ対策」「業務効率改善(RPA)」「デジタル変革」「AI(人工知能)活用」について、その実態を1カ月にわたり、順次掲載する。
第7回である本稿では、AI(人工知能)活用に対する意識調査の結果を見ていく。
調査結果サマリー
まず、「AI」に対する認知の度合いについて尋ねた。最も回答が多かったのは「内容をある程度知っている」で71.7%。次いで「名前は聞いたことがある」(17.9%)、「内容を詳しく知っている」(9.5%)、「知らない」(0.9%)という結果になった。
近年、さまざまな製品やサービスが「AI搭載」をうたっており、知名度という点ではほとんどの人が知っているレベルになっている。囲碁プログラム「AlphaGo」や将棋プログラム「Ponanza」などが人間のトップレベルのプロ棋士を破ったことが大きな話題になったことも背景にあるものと推測できる。
これらのAIプログラムは、「機械学習(マシンラーニング)」を活用し、その手法の1つである「深層学習(ディープラーニング)」と呼ばれる技術を取り入れている。今日のAIは、このような仕組みによって過去のAI技術より実用性や汎用(はんよう)性で勝り、既にエンタープライズIT分野での活用が始まっている。
そもそも「人工知能」の歴史は長い。昨今、話題となっているものは「第3次AIブーム」とも呼ばれている通り、過去に2回の大きな盛り上がりがあった。
第1次ブームは、1950年代から70年代前半にかけて存在した。1956年に開催された「ダートマス会議」において、人類史上初めて「AI(Artificial Intelligence)」という用語が使われたといわれ、AI学術研究分野として確立された。しかし、期待の大きさに対して実用性の高い成果が創出できず、ブームは終息していった。
第2次ブームは、1980年代に興った。人間の専門家が行う意思決定を再現する「エキスパートシステム」の誕生である。これは、特定領域の知識を「もし、ならば」のかたちで蓄え、推論エンジンによって複雑な問題を解くように設計されていた。だが、専門化の知識が定式化できる範囲は限られ、汎用性がなかったこともあって、AI研究は再び「冬の時代」に突入したのであった。
では、AIのビジネス活用の進展はどうだろうか。勤務先でのAI活用の実情について聞いたところ、最も多い回答は「活用予定はないが、今後の技術動向に注目して情報を収集中」(52.7%)であった。一方で「必要性を感じない」という回答は11.8%となった。
また、回答のおよそ3分の1が、AI活用に向けて何らかの作業を進めている。「AI活用について具体的に検討を始めた」が17.2%、「AI活用の検証段階に入っている」が11.9%、「既にAIをビジネスで活用している」が6.4%である。
この傾向は、企業規模が大きくなるほど前向きのようで、特に従業員数5000人以上の大企業においては、「既にAIをビジネスで活用している」が17.4%と全体よりも11ポイント高くなった。
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