総務アウトソーシング会社は大きく2つに分けられる。1つは専門アウトソーサー、もう1つは常駐型のBPOだ。
専門アウトソーサーというのは、それぞれが車両管理や社宅管理といった専門分野を持っており、その仕事をワンストップで請け負う。スタッフが常駐することはほとんどなく、委託する側の負担も小さいため、比較的小規模な企業のアウトソーシングに向いているといえるだろう。
一方の常駐型BPOに関しては、アウトソーサーを専業に据える企業が提供する場合が多い。さまざまな業務について専門性の高い人材を抱えており、広範なニーズに柔軟に対応できるのがこのタイプだ。既存業務の可視化をはじめ、業務のアセスメントをサービスとして提供する場合も多い。実際に、業務を外注せずとも、こうしたアウトソーサーの視点や知見を生かし、自社の業務を客観的に見直すだけでも価値があるだろう。とりわけ総務部門というのは、異業種交流が少ないため、他社がどのように総務の仕事をしているのか分からない傾向が強い。変化のメスを入れるために、コンサルだけ依頼するという方法も視野に入れたい。
社内の備品を取り扱うメーカーが、常駐型のBPOを提供するケースもある。その場合、オフィスカウンターといった業務の代行がサービスの主となる。ちなみにこの場合、アウトソーサーにとっては、アウトソーシングそのものよりも、その後のオフィスレイアウト変更などの受託が主たるビジネスメリットであると考えられる。
戦略を立て、アウトソーサーを選定し、業務の外注に成功すれば終わりという訳ではない。その後は、自社の目標を共に達成するビジネスパートナーとして、アウトソーサーとの関係性を構築していくことが大切だ。
まず、一定の緊張感を保つ施策は必要になる。KPIを設定して、アウトソーサーを厳格に評価することは大切だ。例えば国内eコマース大手のある企業では、2カ所ある社員食堂の運営を異なる2社にアウトソースしている。両社の仕事の内容を評価することで緊張感を生み出し、業務改善を促すようにしているのだ。そうした意味では、サービスを受ける側の従業員を巻き込み、定期的にアンケート調査を行うなどして、アウトソーシングの効果を正しく判断するという方法も有効だろう。
そこまでの施策にはいたらずとも、週一での報告会や月に一回の定例会などを開き、定量的なデータなどを提示してもらうことは必須としたい。アウトソーサーによっては、定期的に業務の改善策を提示するというサービスをメニューに組み込んでいる。改善策については、双方で合意しながら進めていくことで、さらなる改善へと結び付く可能性も高まる。こうした緊張感のあるコミュニケーションが、アウトソーシングした業務の質を維持することにもつながるだろう。
一方で、同じ目線でともに業務改善に取り組む姿勢も大切である。常駐スタッフの管理や教育はあくまでアウトソーサーの責任とはなるが、彼らを適切に評価するなどしてモチベーションを引き上げ、自社の従業員と同じ目標を追いかけてもらうような工夫は有効だ。
ちなみに、アウトソーサーの営業が「何でもできます」と引き受けようとするケースには注意が必要だ。いざ利用を開始してみると「できないことが多い」「ここから先は追加コストがかかる」と足元を見られてしまうケースもある。あらかじめアウトソーサーと業務の内容をすり合わせるなど、話し合いの場を設けることは必須だ。
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