調査では、企業側には図2右の9つのエリアでの取り組みを尋ねる。従業員と企業の調査結果については、重み付けを2:1としており、従業員の評価をより大きく評価するという。会社の取り組みの従業員への浸透度を重視する目的だ。
「働きがいが高まると、よい人材が集まり、定着し、協力したり刺激したりする関係ができ、組織への信頼が高まる。組織の生産性や創造力が高まると業績が上がり、組織の活力が上がる。人材面と組織や事業面によい影響を生じるサイクルが出来上がる」(岡元氏)
岡元氏は、「『働きがい』には、『働きやすさ』と『やりがい』の両面があるが、日本企業の場合は、就労および報酬条件のように着手しやすく分かりやすい『働きやすさ』に偏りがち」と指摘する。モチベーションの作り方や仕事の面白さ、達成感といった、目に見えにくい改善への取り組みに二の足を踏む企業が多いという。
岡元氏は日本企業の職場タイプを「働きやすさ」と「やりがい」を軸に4つに分類(図4)、「『D.しょんぼり職場』に陥ってしまった企業は、いまからでも『A.いきいき職場』へ向かう方向を目指すべき」と強調した。しかし、いま最も注意すべきは「ぬるま湯職場」化の懸念だという。
岡元氏によると、「直近の調査では、ぬるま湯職場タイプの企業の売上伸び率は、他のどのタイプよりも低かった」(岡元氏)という。
今のところ「働きやすさ」に注力するあまり、「C.ぬるま湯職場」に向かってしまう会社も多い。
こうした結果から、岡元氏は「働き方改革は、残業時間削減や有給消化率向上などの手段を目的にしてはうまくいかない」と断言する。
「働き方改革の目的を明らかにし、企業そのものや仕事の意義、価値に着目して従業員とコミュニケーションを取り、『働きがい』を可視化する努力が必要だ」(岡元氏)
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