メディア
特集
» 2018年05月25日 10時00分 公開

RPAで300万時間分の業務を自動化し1500人分の余力捻出を目指す──前編

[相馬大輔RPA BANK]

2021年9月13日、RPA BANK はキーマンズネットに移管いたしました。
移管に関する FAQ やお問い合わせは RPA BANKをご利用いただいていた方へのお知らせ をご覧ください。

RPA BANK

生産性向上を目指しグループを挙げてRPA活用を推進

SMBCグループでは、グループ全体の生産性向上、業務効率化、コストコントロールを目指した業務改革に取り組んでおり、その重点施策の1つとしてRPAの導入を推進している。その旗振り役を担う、三井住友フィナンシャルグループ 企画部 業務改革室 副室長の山本慶氏に話を聞いた。

さらなる生産性向上を実現するために有効なツールとしてRPAに期待

SMBCグループの中核企業である三井住友銀行では、以前より業務改革に取り組んでおり、例えば2010年の本店移転を機に紙ベースからデジタルベースの働き方へシフトしている。こうした長年にわたる改善努力も奏功し、国内では経費率(の低さ)でトップに、グローバルでも経費率トップクラスの効率的な経営体質を確立している。

このように国内・海外いずれの競争においても強みを発揮している同社だが、マイナス金利、外貨調達コストの増加、国際金融規制の強化など、厳しい外部環境の変化に晒されている。そうした状況下、同社は、質の高い金融グループとして生産性、効率性、収益性を高めることに力を入れている。中期経営計画(2017年度〜19年度)のなかでは、以下の3つの生産性向上施策により500億円の経費削減計画を打ち出している。

  1. 業務改革による効率性向上
  2. リテール店舗改革
  3. グループ内事業再編

このうちの1の効率性向上を実現するツールとしてRPAを活用している。具体的には、2020年3月末までにRPA等により4000人分の人員余力を捻出し、「付加価値業務の拡大」「働き方改革の推進」「人員配置の最適化」という3つの出口戦略に再配分し、生産性の向上を図っていくというものだ。

三井住友フィナンシャルグループ 企画部 業務改革室 副室長の山本慶氏はこう語る。「RPAはこの3つの出口戦略いずれにも効果があると見ています。具体的には、2020年3月末までに300万時間分の業務をRPAで自動化することで1500人分の余力を捻出し、3つの領域で活用していく計画で、昨年度、既にSMBCグループ全体で約110万時間(550人)分の余力を捻出しています」

生産性の向上というとよくある施策がコスト削減だが、同社のように既に限界値に近い経費率の企業ではこれ以上絞りようがない。

「更なる生産性の向上を実現していくためには、単に頑張れといった精神論ではなく、従業員に『使える』と思ってもらえる具体的なツールが必要で、その1つがRPAだと考えました」と山本氏。

生産性が付加価値を投下資本で割ったものだという前提に立つと、安価な労働力への代替は、まず生産性の分母の押し下げ効果がある。そしてもう一方の分子(付加価値)の引き上げについても、単純作業や生産性の低い事務から解放された従業員が従来よりも一段高いレベルの業務(業務管理、業務改善等)に挑戦することなどで実現可能となる。加えて、ベテランの貴重な経験が属人化して退職によって失われないよう社内の組織知・財産として残していくこともRPAであれば可能だと期待したのだという。

「現在活躍している従業員の業務をRPAでどんどん代替できるようになれば、そういった優秀な人材をすぐに戦略事業領域など、トップラインを伸ばす業務にチャレンジさせることが可能になります。我々にとってRPAは、生産性向上という目的を実現するために極めて有効な手段となっています」と山本氏は強調する。

ユーザビリティ、スケーラビリティと各種アプリとの親和性を重視しRPA製品を選定

同社では、2016年下期よりRPA製品の機能比較を始め、翌年1月から複数の業務で試験導入を進め、4月より本部の全部署を対象にRPAの本格導入に至った。RPAツールは、UiPath社のRPA製品「UiPath」を採用し、従業員自らがRPAをアジャイル(試行錯誤しながら)開発できるデスクトップ型RPAと、24時間365日稼働して大規模処理が可能なサーバ型RPAを使い分けている。さらに、コグニティブ技術を実装したOCRプラットフォームの構築で、紙帳票の電子データ化も実現し、RPAによる効率化範囲を大幅に拡大している。

同社は、国内・海外の各種RPA製品を検討したが、最終的に「UiPath」を選定した理由について山本氏は次のように語る。「まず高いユーザビリティです。ドラッグアンドドロップの直感的な操作や業務フローが可視化されるという特徴は、従業員がアジャイル的にRPAを開発するうえで非常に便利な機能であり、いわゆるロングテール(少量多種類)の業務を従業員が自らRPA化できる可能性が高いと考えました。また、貴重な先人達のノウハウや経験値をRPAに教え込むことができれば組織の財産にもなります。次に、スケーラビリティは、24時間365日、時限性のある業務や大量の業務を安定処理し続けるために必要となります。さらに、今後、何百、何千ものRPAの稼働スケジュールを把握し、空いているRPAを効率的に稼働させることや、万が一、障害が発生した場合でも、決められた期限までに処理を完了するために必要なRPA台数を算出し、実行指示を出すなどの高度な統合管理が求められてきます。もう1つ重視したポイントは、行内、行外問わずさまざまなアプリケーションを横断的に使えて、我々の既存システム(勘定系や情報系システム)ともスムーズに連携できる高い親和性を持っている点です。その結果、「UiPath」が最適であるとの判断に至りました。」

生産性向上という明確な目的に基づき、それを実現するツールの1つとしてRPAを導入するに至ったSMBCグループ。後編では、その後、具体的にどのような方針のもと運用が行われているのかについて踏み込んでいきたい。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

会員登録(無料)

製品カタログや技術資料、導入事例など、IT導入の課題解決に役立つ資料を簡単に入手できます。