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» 2018年05月30日 10時00分 公開

BPOサービスがテクノロジーに傾倒するワケとは?(4/5 ページ)

[吉井 誠一郎,IDC Japan]

 BPOサービス市場では、DXの流れを受けてテクノロジーを積極的に取り入れることで、新たな動きも出始めている。

クラウド上でバックオフィス業務をカバーする「BPaaS」

 注目のキーワードがBPaaS(Business Process as a Service)と呼ばれるもので、北米やヨーロッパを中心に、従来型の人手を駆使したBPOサービスからBPaaSへの移行がかなりの勢いで進んでいる状況にある。

 BPaaSの定義は多少揺れているものの、クラウド上に必要なバックオフィス業務が実装され、紙などが介在することなく全てのデータがクラウドに存在しており、プロセスそのものがクラウドで全て完結するものとIDCでは定義している。

 国内では、BPaaSの導入事例がなかなか出てこなかったが、2017年11月に日本IBMが提供するBPaaSを日東電工が導入したというリリースがようやく出てきたばかり。テクノロジーとしてはSaaSにて提供されるもので、既存の事務基幹システムに追加して、SAPジャパンの調達、購買クラウド「SAP Ariba」やコンカーの出張、経費管理クラウド「Concur Travel&Expense」を採用、これらサービスを利用した業務プロセスのアウトソーシングとしての「BPaaS」を日本IBMが受託するというものだ。

 日本への展開はまだこれからだが、海外に比べるとBPaaSへの移行までには時間がかかると思われる。BPaaSを活用するためには、現状の業務プロセスを見直し、BPaaS側にそのプロセスを合わせていく必要があるが、欧米では比較的標準化が以前から進んでおり、展開しやすい状況にある。

 しかし日本の場合は、現場独自の運用が多く、標準化されたプロセスに向かうまでには多少の期間が必要だ。これは、ERPが日本に展開されたときに見られたのと類似の状況だといえる。ERPの場合は、現場に合わせた仕様をアドオンで作り込んでしまい、本来のメリットが十分に得られなかった企業が散見された。そしてBPaaS導入でも、同様の動きになる可能性は否定できない。

 それでも、バックオフィス業務は今後標準化や効率化に進まざるを得ないはずで、時間は多少かかるものの、業務そのもののBPRやBPMを進めていくことで、いずれはBPaaSのような環境が広がってくることになると考えられる。

切っても切り離せないテクノロジー

 BPOサービスにおけるDXの流れで注目すべきは、やはりAIなどのテクノロジーだろう。業務内にAIを組み込むという動きもさることながら、BPOサービスとして受託した後の効果測定にAIを使うといった試みも出てきている。BPOサービスを利用する際にBPRにて業務改善を行った後、実際に運用しながら効果測定を行い、さらなる改善につなげるBPMの中でAIを活用するといったものだ。

 実際にBPOサービスを提供するベンダーの顔ぶれを見ると、実はITサービスも提供するテクノロジーベンダーであることが多い。ITサービスベンダーの子会社がBPOサービスを展開しているケースも少なくなく、BPOサービスとテクノロジーは切っても切り離せない関係にあるといっても過言ではない。

 実はBPO専業ベンダーでも、例えばHRTechのような領域に独自に取り組み、自前で技術者を確保したり海外ベンダーと提携を進めたりといった、新たな動きも出てきている。

 なお、自らはBPOサービスと名乗っていないものの、実態としてはBPOサービスと同様の仕組みを提供しているベンダーも存在している。例えば、ソフトウェアベンダーであると称し、ある製品のアフターサービスのプロセスをカバーするソフトウェアを自社開発しているが、実際にはそれを核として、製品ユーザーの窓口となるコールセンターや製品の配送などの業務も合わせて提供しており、まさにBPOといえるサービスを提供しているというケースがある。

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