「経理の無駄」とは具体的に何か。高師氏はバックオフィス業務の例として記帳業務フローをとりあげ「収集」「記帳」「確認」「決済・申告」の4つのフェーズそれぞれに課題があるとした。
業務部門で発生する各種データを収集する「収集」フェーズでは作業の複雑さが課題だ。もし経理が回収したデータに誤りがあれば、前段の作業担当者に確認を求める必要がある。仕訳処理に特化した会計ソフトでは、入力の前段で使われているシステムについて経理が把握できないためだ。このようなコミュニケーションコストは経理の負荷を激増させる。「記帳」と「確認」のフェーズは、作業負荷やヒューマンエラーが問題だ。同様に「決算・申告」のフェーズも、さまざまな帳票を作成する際の作業負荷やエラーが課題になる。
高師氏によれば、課題は、従来の会計ソフトでカバーできる「仕訳」や「帳票機能」以外の業務プロセスが統合されていないことから生じるという。その分断状況は、会社規模が大きいほど拡大する。
課題解決のために作られたSaaSがfreeeだ。「freeeは業務部門が入力を行うフェーズから、経理の試算表作成まで、全ての領域をカバーする」と高師氏は言う。具体的には「請求書発行モジュール」「購買申請モジュール」「事前申請モジュール」を使ってデータを入力すれば、最終的な試算表作成までを自動化できる(その後の行程としては、税理士事務所向けのfreee申告機能が使える)。
freeeではOCRとAI機能を利用した帳票の自動読み取り、記帳機能も利用できるため、転記作業の負担も減る。銀行の入出金明細を自動的に取り込み、勘定科目を推定する機能もあるため、仕分けの際も便利だ。こうした機能が経理担当者の業務負荷を軽くするという。
この他、データの一元化により必要な時に業務プロセスのエビデンスが取得可能。税理士などの仕事や監査も容易になる。会計、人事労務、勤怠管理、給与計算といった中核的機能のほかに、ファームバンキングデータ作成や自動振込を可能にする債権債務管理機能、経費精算、証憑(しょうひょう)管理、内部統制、稟議ワークフロー、マイナンバー管理などをサポートする機能も充実する。「中堅中小企業に必要な機能は全てカバーした」と高師氏は説明した。実際に、導入企業では効果も出ているようだ。
「導入企業であるペパボでは、さまざまな経理業務をfreeeに担わせたことで、月間70時間の経理業務を削減しました。また、ベースフードでは会計業務量を30分の1程度に削減しています」(高師氏)
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