しかし全ての関連業務をたやすくfreeeに移行できる企業ばかりではない。多くの会社には独自の業務のためのシステムや販売管理システムが存在する。そうしたシステムはスクラッチあるいはカスタマイズされたパッケージで構築されており、そのシステムとfreeeをどう連携させるかが大きな課題だ。
「データ連携の方法には3つある」と高師氏は言う。データを元システムからCSV形式で出力し、freeeにインポートする方法、APIで連携する方法、そしてRPA(ロボット)を利用する手法だ。
高師氏は、この3つの方法の中でも、RPAを利用してデータを連携する手法の優位性を説明した。CSVファイルをインポートする際はデータの出力と入力の手間があり、人間によるデータ加工も求められるため、ミスが起きやすい。API連携は合理的だが、システムごとにAPI開発や改修が必要になることが多く、開発工数がかかる。
一方で、RPAは従来人間が担ってきた作業をそのままロボットによる自動処理に置き換える。API連携のための開発やカスタマイズ工数に比べて短期間かつ低コストでロボットを作成できる。専門エンジニアではなく業務部門のスタッフでもロボットを作成できることから、開発の短期化にも拍車が掛かる。実際にfreeeの社内でも、クラウド型RPAツール「BizteX cobit」(BizteX株式会社)を利用して、非エンジニアの手によってfreeeと他のシステムとの連携を実現しているという。
「ルール化できる仕事なら人間と同じように、しかしはるかに効率的にロボットが作業してくれる。これからの経理部門では、自分の仕事をロボットに任せられるスキルが必要だ。RPAを利用すれば、例えばマスター連携、データインポート、各種の繰り返し処理、チェック作業など、経理や労務担当者が日常的に行っている業務の多くを自動化することが可能。freeeのデータバックアップなどもロボット化できる」(高師氏)
中堅中小企業のほとんどは既に会計システムを導入済みだが、今後のリプレース先としてSaaS型の会計システムを選択肢に入れているケースが多いだろう。その際に必ず問題になるのが既存システムとの連携である。システム投資力に余裕のない企業にとってSaaS型会計システムとRPAの組合せは十分に検討に価する選択肢だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
製品カタログや技術資料、導入事例など、IT導入の課題解決に役立つ資料を簡単に入手できます。