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» 2018年12月07日 08時00分 公開

まだ現役だったの? ついに「ポケベル」終了も血脈は死なず:492nd Lap金曜Black★ピット

1990年代半ばに爆発的に普及した通信サービスが終焉(しゅうえん)を迎える。「ははん、ポケベルね」と思ったあなたは鋭い。しかしそれは半分正解で半分間違っている。

[キーマンズネット]

 2018年12月3日、東京テレメッセージは無線呼出サービス「ページャー(マジックメール)」を2019年9月に終了すると発表しだ。「それってポケベルじゃないの?」と思うのも無理はない。

 「ポケベル」は、NTTが提供したサービス「ポケットベル」(2007年3月終了)の略称だったが、広く使われることで一般名詞化した。だから今回サービスが終了するのはポケベルではない。ページャーだ。

 屁理屈はともかくとして、2018年現在、国内で唯一ポケベルサービスを提供していたのが東京テレメッセージだ。そのサービスが東京五輪を前に終了することになったのだが、ポケベルの技術自体は生き残るという。一体どういうことか?

 ポケベルは、端末を持っている人を呼び出したい人が専用の電話番号に電話をかけ、相手の番号を入力することで呼び出し音を鳴らせるものだ。呼び出された人は公衆電話などから折り返しの電話をかけるのだ。

 日本では1968年7月1日にサービスが始まった。実に50年もの歴史がある。人気が爆発したのは1990年代、呼び出しと同時にポケベルデバイスに内蔵されたディスプレイに任意の数字を表示できるようになったからだ。

 本来は連絡先の電話番号を表示するためのものだったが、「語呂合わせ」によるメッセージ送信が女子高生を中心に大流行。例えば「14106」「0833」「1056194」「1052167」だ。あえて意味は書かない。

 人気最盛期の1995年ごろには文字が送れるようになり、語呂合わせは終息を迎えた。代わって誕生したのが「2タッチ方式」、いわゆる「ポケベル打ち」(あ=11、い=12、う=13のように1〜0のマトリックスから文字を指定する)だ。入力を1文字でも間違えると意味不明な日本語になる。しかし当時の女子高生たちは難なくマスターし、公衆電話からポチポチポチと超高速で文字を送信したものだ。

 やがて携帯電話が手頃な値段で利用できるなり、さらに低価格のPHSが若年層に支持されてポケベル人気は激減した。全盛期の1996年末には1045万回線を数えたが、わずか2年後には453万回線になったことからも衰退が分かる。

 最大勢力で代名詞でもあったNTTが2007年3月にサービスを終了。地方ごとにサービスを提供していたテレメッセージグループも東京テレメッセージを残して首都圏以外でのサービスを2001年までに停止した。東京テレメッセージについては社名変更があったり倒産したり買収されたりといろいろあったが詳しくは割愛する。

 つまり、とっくに「終わった」と思われていたポケベルは、実はほそぼそと首都圏(東京、神奈川、埼玉の一部)でサービスを続けていたのだ。契約回線が1500を切ったということで無念のサービス停止の発表となった。デバイス自体は20年前に製造を終了していたといい、サービス継続は綱渡りだったようだ。

 だが、「ポケベルは生き残る」というのはどういうことか。答えは「地方自治体向け情報配信サービス」だ。ポケベルが使う周波数帯(280MHz)は到達性と受信性が高く、遠く確実な通信が可能だ。浸透性も高く建物内でも通信が損なわれることがない。この特性を生かし、地方自治体に「防災無線サービス」を提供するのだ。

 自治体は地域をカバーする基地局を設け、住民は2〜3万円ほどの受信専用子機を自宅に設置する。基地局は災害時にも駆動し、各戸にさまざまな情報を音声と文字で送信する。

 従来の防災無線システムは非常に高価(受信機だけで10万円を超えるという)だ。だから低価格で緊急システムを備えられるのはありがたい。既に26の自治体が導入し、受信専用子機も15万台が販売済みだ。

 度重なる大災害の教訓から地域の備えが重要視される。新しい防災無線システムが、今後の標準になる可能性は高い。災害時、音声は聞こえないこともあるかもしれないが、文字は視認しやすくログとして残しやすい。今後も「ポケベルは死なず」なのだ。


上司X

上司X: ポケベルサービスがとうとう国内から消滅するという話だよ。


ブラックピット

ブラックピット: まさかサービスが継続していたとは……。生き残っていた事実を、消滅するという発表で知るのはちょっと悲しいですね。1500回線は誰が使っていたんでしょうか。


上司X

上司X: 東京テレメッセージによれば「主に医療関係者」ってことらしい。


ブラックピット

ブラックピット: スマホやPHSではダメだったんでしょうか。


上司X

上司X: 院内だとケータイは切っておかねば的なところも多いのだろう。


ブラックピット

ブラックピット: なるほど。ちなみにポケベルは使った世代ですか?


上司X

上司X: 実は使ったことがない。ちょうど学生時代がポケベル全盛だったと思うのだが、そこまでコミュニケーションに飢えていなかった。


ブラックピット

ブラックピット: 僕はポケベルがすっかり廃れた後にケータイデビューです。ケータイも宝の持ち腐れでしたけどね。天性のぼっち体質ですから、ははは……。


上司X

上司X: 寂しい青春時代を思い出させてしまったな。ともかく、ポケベルサービスはなくなってしまうが、その血脈が残るのは喜ばしいことだよ。


川柳

ブラックピット(本名非公開)

ブラックピット

年齢:36歳(独身)
所属:某企業SE(入社6年目)

昔レーサーに憧れ、夢見ていたが断念した経歴を持つ(中学生の時にゲームセンターのレーシングゲームで全国1位を取り、なんとなく自分ならイケる気がしてしまった)。愛車は黒のスカイライン。憧れはGTR。車とF1観戦が趣味。笑いはもっぱらシュールなネタが好き。

上司X(本名なぜか非公開)

上司X

年齢:46歳
所属:某企業システム部長(かなりのITベテラン)

中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。


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