日本語版「Windows 3.1」が発売されたのが1993年のこと。国内のWindowsの普及はここから始まったともいえる。Windowsの黎明(れいめい)期を知っている人はどれほどいるだろうか?
あるアプリがWindowsストアに無償で公開された。そして古参のWindowsユーザーがザワついている。一体どんなアプリなのか。
無償公開されたのは「Windows File Manager」、1990年にリリースされたWindows 3.0に搭載された標準ファイルマネジャーだ。デザインもフォントもオリジナルのものを再現し、起動しただけで当時のWindows環境が思い出される。
いまさら説明する必要もないかもしれないが、Windows File Managerはウィンドウ内に2つのペインを配置する。左ペインにはディレクトリをツリー化して表示し、右ペインには選択されたディレクトリやフォルダの内容を表示する。MS-DOS時代にコマンドラインで実行したファイルやフォルダの移動、コピー、削除、名称変更や検索といった操作をGUIとマウスによって直感的に操作できるようにした画期的なツールだ。
Microsoftは、Windows File Managerのソースコードを2018年4月にオープンソース化し、GitHubにソースコードを公開した。そして同社で37年ものキャリアを持つ開発者、クレイグ・ヴィッテンベルク氏は、Windows File ManagerがWindows 10で動作するように改造した実行ファイルをGitHubで公開していた。不正なアプリというわけではないが、インストールは自己責任、かつ多言語対応ではないという弱点もあった。
今回、ストアアプリとしてリリースされたものは「公式アプリ」だ。多言語化はもちろん、64ビットのWindows 10でしっかりと動作する。OLEドラッグ&ドロップやファイルのアイコン表示も可能で、コンテキストメニューにも対応する。[ファイル]メニューからCMDシェル、Bash、PowerShellの起動も可能で、[Ctrl]+[C](コピー)、[Ctrl]+[V](貼り付け)、[Ctrl]+[X](切り取り)のショートカットキーも有効だ。
ここまでくると現行の「エクスプローラー」との違いがほとんどない。大きく違うのはフォルダやファイルを削除すると「ごみ箱」に移動するのではなく、きれいさっぱり消え去ってしまうところ。Windows File Managerでは当然の挙動だ。
余談だが、公開当初は「Xbox One対応」とあってXbox勢が色めき立つという事態にもなった。これは表記ミスということで、現在は落ち着きを取り戻している。
上司X: 「Windows File Manager」がWindowsストアに登場という話だよ。
ブラックピット: ふーん。
上司X: 何というリアクションの薄さ……。
ブラックピット: だって「Windows 95」以降の世代ですし。
上司X: そう言わずに見てごらんよ、この画面を。キーボードとマウスでこんな感じに!
ブラックピット: はあ。何とも別に……。
上司X: Windows 98あたりまでは隠しアプリ的に「WINFILE.exe」って使えたんだけどね。
ブラックピット: へー。こうして話題になるぐらいですから、インストールしてみましょうか。……ふむ、特にグッとくることはないですね。
上司X: ともかくね、どこか懐かしさを感じるツールがこうやって登場することで心が潤う人だっているんだよ。俺はしばらく使ってみるよ。
年齢:36歳(独身)
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中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。
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