プロセスマイニング入門~マニュアルのない業務の真実を「発見」する技術(2)
実例と実演で知る「プロセスマイニング」の効果と実際(3/4 ページ)
分析の実際 ~6つの視点でプロセスを評価する~
ここまでの操作でプロセスマイニングを行う基本的な環境が整った。とはいえ、実務のログを分析する場合はプロセスそのものが長大で複雑なケースも考えられる。この場合、フロー図も複雑で込み入った表示になる。プロセスマイニングツールでは、複雑なプロセスであっても視覚的に理解するためにプロセスの頻度に基づいて、表示の「粒度」を変える機能がある。
(1)幹から把握する「プロセスモデル」
以下の2つの図で説明しよう。どちらも同じプロセスである。最も細かい粒度(100%)にした左図では全てのプロセスが表示されているが、粒度を下げていくと、頻度の少ないプロセスは非表示となり、幹となるプロセスだけが表示された右図のようなシンプルなフローになる。
プロセスモデルが出来上ったら、まずはフロー図の粒度低くして全体を把握するのが王道だ。全体像を把握した上で粒度を細かくして詳細プロセスに深掘りしたり、特定の箇所を拡大したりしながら、無駄な業務やボトルネックを発見していく。BIツールでいうところの「ドリルダウン」「ドリルアップ」のような機能と理解してもらえばいいだろう。
(2)流れと滞留を把握する「アニメーション」
アニメーションは、イベントログから作成されたプロセスモデルに沿って、実際のプロセスを再現するものである。イベントログには、活動内容やタイムスタンプが含まれているので、1つの案件ごとに、時系列でプロセスがどのように流れていったかを視覚的な動きで把握できる。もちろん、スピードアップ/ダウンも可能だ。
下図は、1つずつの案件が赤い丸で示され、それぞれが異なる経路をたどって動く様子だ。
(3)as isとto beを比較する「比較分析(Conformance Checking)」
比較分析とは、イベントログから作成されるas isプロセスモデルに加えて、マニュアルで定められているようなto beの標準プロセスもツールに組み込んで両者を比較するものである。
「正」となるのはもちろん、「to beプロセス」であり、as isプロセスがto beプロセスからどの程度逸脱しているか、言い換えると、現実にはどの程度異なる手順が行われているのかを評価する。すなわち、「適合性評価」の機能である。
以下は、myInvenioのダッシュボードに表示された適合度(Conformance)の数値である。なお、myInvenioは標準モデルのことを「レファレンスモデル(reference model)」と呼ぶ。
「Similarity」とは、as isモデルとto beモデルを比較して、全体としてはどの程度似通っているか、すなわちどの程度同じプロセスが行われているかを表したものである。ここでは81%であり、逆にいうと全体の2割は標準モデルから逸脱していることが分かる。
「fitness」は、一つずつの案件のプロセスが、イベントログから生成されたas isモデルに対してどの程度適合しているかを意味している。Fitnessの詳細説明は割愛するが、「Similarity」と「Fitness」の両方の指標が100%に近いほど、標準モデルとの適合性が高く、コンプライアンスの観点からは優れている、ということになる。
本来、逸脱しているプロセスは修正するために必要な対応を行うことが基本あるが、もし、標準モデルよりも優れたパフォーマンスを示しているプロセスがas isプロセスとして発見できた場合、こちらを新たな標準プロセスに格上げするという判断もありだろう。これはプロセス強化(Enhancement)の取り組みだ。
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プロセスマイニング入門~マニュアルのない業務の真実を「発見」する技術
生産性向上の切り札、業務標準化。多くの企業が失敗を経験する理由は、業務の真実を発見できないことに帰結する。この課題を解決する手法として注目を集める「プロセスマイニング」について、基礎情報や先行事例、導入のヒントを紹介する。
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