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ファイルサーバの利用状況(2019年)/前編

今やほとんどの企業で利用されているファイルサーバ。組織の業務でも欠かせない存在となりつつあるが、利用者の35.6%が勤務先でのファイルサーバ運用に不満を感じているようだ。

» 2019年03月07日 08時00分 公開
[キーマンズネット]

 キーマンズネットは2019年1月30日〜2月21日にわたり「ファイルサーバの利用状況」に関する調査を実施した。全回答者数301人のうち、情報システム部門が42.5%、製造・生産部門が14.6%、経営者・経営企画部門が7.6%、営業・販売部門が5.3%といった内訳であった。

 今回はファイルサーバの導入率や運用方法、満足度にトラブル発生の有無などの質問からツールの利用状況を調査。全体で97.0%とほぼ全ての企業で導入が進んでいる一方で、利用企業の約3割が「不満」や「トラブルの経験」を抱えていることなどが分かった。なお、グラフ内で使用している合計値と合計欄の値が丸め誤差により一致しない場合があるので、事前にご了承いただきたい。

100%に近づいたファイルサーバの利用率

 最初に、ファイルサーバの利用割合を探るために「業務でファイルサーバを利用しているか」を聞いたところ、「利用している」が97.0%となり、アンケート回答者の勤務先では全てに近い企業で利用されていることが分かった。

 2016年、2017年に実施した同調査では、ファイルサーバを「利用している」と回答した割合は94%〜95%の間で推移していたが、今回のアンケートではほぼ100%に近い割合となった。

 従業員規模別で見ると、100人以下の中小企業では90〜93%と全体の割合と比べるとやや低調だった。対して101人以上の企業においては利用率が100%と、2017年の同調査(94.7%〜98.5%)より利用が進んでいることが分かった。

 なお、「利用していない」とした層の企業規模は「1〜10人」「11〜50人」が中心だった。「5001人以上」の企業も2.6%存在した。

 ファイルサーバは、使う側にとっては便利なツールだが、自社で運用している場合は運用管理の手間も掛かる。そこで、ファイルサーバを「利用している」とした層に対して運用環境について尋ねたところ、「自社で運用」が92.8%と大多数を占める結果となった。「マネージドサービスを利用し外部で運用」と回答したのはわずか5.8%であった(図1)。

図1 ファイルサーバの運用方法 図1 ファイルサーバの運用方法

 マネージドサービスなどを利用して運用を外部委託するのは、運用者にとってはファイルサーバの運用を“丸投げ”でき負荷を軽減できるが、それ相応のコストも掛かる。また、セキュリティといった懸念も含むため、企業はファイルサーバ運用の外部委託をためらっているのだろうか。

「整理できずごみ箱化」ファイルサーバの惨事に社員のクレーム

 次に、利用中のファイルサーバに対する満足度を尋ねたところ、「満足」18.2%、「やや満足」46.2%、「やや不満」25.3%、「不満」10.3%となり、まとめると“おおむね満足”とする割合が64.4%と過半数を占める結果となった(図2)。おおむね満足とした層の割合は、2016年は55.4%、2017年は60.2%と年々増加傾向にある。

図2 利用中のファイルサーバの満足度 図2 利用中のファイルサーバの満足度

 一方で、全体の35.6%の層が何らかに「不満」を抱えている。そこで「やや不満」「不満」と回答した層に対して、利用するファイルサーバにどのような不満があるかを聞いた。

 最も多く寄せられた回答が「不要なデータが多く整理できていない」76.0%、次いで「誰のものか分からないデータが多い」64.4%、「容量が足りない」52.9%、「アクセス権の設定が適切でない」41.3%、「情報セキュリティ面に不安がある(機密情報が誰でも閲覧できる状況にあるなど)」38.5%と続いた(図3)。

図3 ファイルサーバに対する不満 図3 ファイルサーバに対する不満

 ファイルサーバにおける全体的な課題として、「整理ができていない」ことが挙げられた。不要なデータや誰のものか分からないデータが多くて管理しきれていないことが一因となり、「アクセス権の設定が適切でない」「ファイルサーバの容量不足」といった問題が起こっている可能性がある。当然そのような状態ではセキュリティ面にも不安が残る。ファイルサーバがまさに“ごみ箱化”していることに対する不満が集中する結果となった。

見えてはいけないデータが閲覧可能に? わが社のトンデモ体験

 ここまでの結果を見ると、ファイルサーバはほとんどの企業で利用されており、満足度もおおむね高いとされる。そして、多くの企業が自社運用していることが分かった。だが、自社運用となると、障害やトラブルはついて回る。

 そこで、ファイルサーバに関するトラブルの有無と発生頻度について尋ねたところ、「ほとんど発生しない」66.4%、「時々発生する」30.5%、「頻繁に発生する」3.1%という回答結果となった。約7割は特に大きな問題はなさそうだが、残り3割は何らかの問題を抱えていそうだ。

図4 ファイルサーバに関するトラブルの有無 図4 ファイルサーバに関するトラブルの有無

 ファイルサーバに関するトラブルが「時々発生する」「頻繁に発生する」とした3割に、どういったトラブルが発生するのかをフリーコメントで尋ねた。

 多く寄せられたのが「容量不足」「何らかの問題でアクセスができない状態が発生する」「ファイルサーバのレスポンスの悪さ」「誤消去によるデータの消失」といった旨のコメントだった。

 その他には「部署移動でアクセス権が変更され、アクセスできない」「設定していたアクセス権限が崩れ、閲覧してはいけない人が閲覧できる状態になっていた」といったアクセス件の設定ミスに関するトラブルも目立った。

 特に、アクセス件の設定ミスに関しては、機密情報が一般層に知られるリスクもあるため、企業にとって影響の大きいトラブルの一つといえる。

 前編では、主に企業におけるファイルサーバの利用状況と運用課題についてまとめた。後編では、クラウドストレージサービスといった外部サービスの利用有無も含め、企業のデータ保管状況について探りたい。

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