ライオンがAI画像認識の技術を活用した口臭チェッカ―アプリを開発した。「AI活用ではデータの前処理に工数がかかる」「本開発に6カ月、費用は1000万円以上がかかるのが普通」といった知見を得たという。同社が語るAI活用の勘所とは。
「研究開発のミッションが変わった」――ライオンの研究開発担当である石田和裕氏はこう話す。その同社が力を入れているのが、AIによる画像認識技術を活用した口臭チェックアプリ「RePERO」だ。
製品の品質コントロールというミッションから、顧客体験の向上へと舵(かじ)を切った同社は、2018年にイノベーションラボを創設。プロジェクトの1つとして、RePEROの開発が始まった。口臭チェックに着目した理由については、「顧客アンケートを実施した結果、68.2%が既存の口臭ケアに不安を感じていた。口臭不安を解消することが役立つのではと考えた」と話す。
既存の口臭チェッカーは、日常的に持ち運べなかったり、精度が低かったりと課題が多い。そこで、誰もが持つスマホのカメラを使って舌の状態を撮影し、その画像から口臭レベルを判定できるアプリを作ろうと決めた。
まずは、舌の画像からの口臭レベル判定が可能かどうかの調査が必要だ。そこで、舌の色味情報の画像を入手し、独自開発のアルゴリズムで口臭レベルをスコアリングする実験を行った。その結果、不快な臭いと色味情報(舌苔の状態)との相関関係が確認された。
しかし、スマホの機種や光の当たり方によって、スコアリング結果が大きく異なってしまうことが判明。自社で独自にアルゴリズムを作成することに限界を感じ、解決策としてAIでアルゴリズムを作成する方法にたどり着いたという。
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