ここで、BIはどういう変遷があったのかについて見てみよう。大きくは3つの世代に整理できる。第1世代の「セマンティック・レイヤ・ベース」、第2世代の「ビジュアル・ベースのデータ・ディスカバリ」、そして第3世代の「拡張アナリティクス」だ。
いわゆるITによる一元管理型と言い換えることもできる。複数のデータソースからETL処理でどこか一か所、もしくは少ない複数個所にデータを集め、分かりやすい説明を加えたうえで、集計した内容をレポートやダッシュボードとして表示する。場合によってはアドホック・クエリにて自由な検索も可能だが、そのためにセマンテックレイヤーが必要になる。後ろにあるRDBにSQLでアクセスすることもできるが、一般のビジネスユーザーがSQLを理解していないケースが多いため、店舗や売上といった現場でも分かる言葉を画面上から選択すれば、ユーザー部門でも自由に分析できるようになっている。しかも、Webブラウザがあれば利用できるという点で、多くの企業に導入が進んだ。ただし、この仕組みでは、最初にユーザーが要件を提示し、その要件に合わせて後ろにあるデータをIT部門が準備しなければならないという課題がある。
次に出てきたのがビジュアル・ベースのデータ・ディスカバリプラットフォームで、分散化と直感的な分析が可能になった時代のBIだ。TableauやMicrosoft Power BIなど最近多く目にするソリューションがこの世代になる。さまざまなグラフが用意されていて、データソースをつないで張り付けていくだけで分析できる。グラフィカルで色もしっかり使われており、iPadなどタブレットを意識したインターフェースとなっているのがこの時代のツールだ。説明書がなくても直感的にオペレーションでき、視覚に訴えかけてデータを深堀していくことが容易だ。
最新の世代では、AIによる支援が特徴になっている。ITが一元的に実施する第一世代やユーザーが分散的に活用でき直感的に活用できる第二世代を受けて、第三世代は人が支援するのではなくツール側が利用者を手助けしてくれるようになる。例えば営業拡大に最も効果的な施策を調べていく過程で、どのアクションがどれほど影響したのかといった情報を自然言語で説明してくれる。従来は視覚に訴えかけていたが、視覚情報だけでは見る人によって見る場所が変わってしまい、どこに心を奪われたのかによって見方が異なってしまうことも。この第三世代は、機械的にその特徴を具体的な表現で示してくれる。また、表示された情報が役立ったかどうかの確認をツール側が行うことで、その選択をヒントに機械学習を始めることになり、使っている人に役立つデータを出そうと頑張ることをし始めたのが、まさにこの第三世代というわけだ。
現在では市場投入されたばかりではあるが、ソフトウェアが自らデータを見に行って自ら何かのヒントを探って利用者に通知、その情報に対して人がフィードバックしていくことで、精度を高めていくことが可能になる。なお、自然言語で説明するだけでなく、予測モデルを自動作成したりデータのなかでおかしな動きがあればアラートで通知したりなど、AIがさまざまな形で支援してくれる。
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