テレワークの実施効果を分かっていても導入に二の足を踏む企業はまだまだ多い。その理由の一つに、社内のルール作りに苦戦していることが考えられる。社内勤務の従業員に不公平感を抱かせず、しかも生産性を上げ、コンプライアンスを順守するにはどうすればよいのか。
自宅やサテライトオフィスなど、社外で勤務するテレワークは組織内の「働き方改革」を推進する上で有効な取り組みの一つだ。働き方改革の実現を目的とする「働き方改革実現会議」において決定した「働き方改革実行計画」(平成29年3月28日閣議決定)によると、「2020年までに、テレワーク導入企業を2012年度比3倍、週1日以上終日在宅で就業する雇用型在宅型テレワーカーを全労働者数の10%」を指標とし、政府もテレワークの浸透に意気込む。
しかし、総務省が2018年5月25日に公表した統計調査「平成29年通信利用動向調査」によると、2017年時点でのテレワークの導入率は13.9%にすぎない。この結果を見ると、社会的にもテレワークの機運は高まっているとはいえ、実施状況は捗々しくないようだ。
テレワークの実施メリットを理解しているものの、企業が導入に二の足を踏む事情が幾つかある。総務省が2018年3月に発表した調査「ICTによるインクルージョンの実現に関する調査研究」によると、テレワークの実施課題として「会社のルールが整備されていない」が最多で49.6%、次に「テレワークの環境が社会的に整備されていない」46.1%、「上司が理解しない」28.0%、「セキュリティ上の問題がある」24.6%と続いた。
テレワーク実施の際は、就業制度の見直しや勤務時間管理の方法、セキュリティなど考えるべきことが多く、またそれに沿ったICT環境を整備する必要があり、こうした要因がテレワーク普及の妨げになっていると考えられる。
テレワークでは、さまざまな「見えない」ものが存在する。それはどういったものなのだろうか。テレワークの導入準備で特に考えたい3つの視点「セキュリティ」「勤務時間管理」「業務管理」を基に説明したい。
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