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» 2019年06月07日 08時00分 公開

「オートスケールって落ちるんです」――AWSの現場術を伝授する"駆け込み寺"(2/3 ページ)

[齋藤公二,インサイト合同会社]

多忙な情報システム部門にとって、高いAWSの壁

 クラウドサービスの特徴の一つは取りあえず試してみやすいことにある。AWSの場合も、アカウントを個人で作成して数分で仮想マシンの「EC2」やストレージの「Amazon S3」といったサービスの利用を開始できる。実際に開発者の個人アカウントから試用をはじめて、部門導入して全社的に活用を広げていくという導入事例は数多い。

 しかし小林氏によると、情シスにとっては、「取りあえず試してみる」ことが難しい状況にあるという。背景にあるのは、日々の仕事の忙しさや人手不足、クラウドサービスの進化の速さなどだ。限られた人数で複雑化するシステムに対応していくことは大きな負担になる。また、AWSが提供するサービスは100を超えており、自社にどのサービスが適しているのかを見極めることが難しい。クラウドの新しいサービスの多くは開発者やビジネスのニーズに沿って開発・提供されるため、運用管理を主体とする情シスにとってはとっつきにくい事情もある。

BFT 古賀 彌奈子氏

 社外研修や講習などのプログラムでサポートできればいいのだが、情報システム部門が実務で必要としているノウハウが学べるわけではないと、BFTの取締役専務でSD推進事業部長の古賀 彌奈子氏は話す。

 「ベンダーなどが提供する研修プログラムは必ずしも"現場目線"ではありません。そのため、情シス担当者が実務ではあまり必要とされない知識を学ばなければならないこともあります。実務経験のない者が講師を務める場合も多く、研修内容をそのままの日々の業務に生かすことが難しいケースが多いのです」(古賀氏)

 AWSも研修プログラムや認定資格制度を提供しているが、これらはシステム構築を担うパートナー企業向けのもの。ユーザー企業の現場で本当に求められているノウハウを得られる場所ではないという。そこで、同社が自社エンジニアに対して行ってきた研修の内容と、必要に応じて顧客に提供してきた研修の内容を整理して、一からAWSの運用に必要な知識を学べる研修プログラムを開発した。それが2017年から提供している「BFT道場」だ。

AWSが分からない情シスの駆け込み寺って?

 BFT道場の研修は、BFTで多くのプロジェクトを経験してきたシステムエンジニアが教べんをとり、基礎的な概念から実践的な技術まで、受講者のレベルに合わせた多様なカリキュラムを提供する。

 1日でAWSの概念を学ぶものや、長期的に構築に必要なスキルを身に付けるものなど、AWSを学びたい受講者の選択肢はさまざまだ。なかでも人気なのが「チョイトレ」と呼ばれる月額定額制のカリキュラム。AWSの基礎を「パブリッククラウド(AWS初級)」「パブリッククラウド(AWS中級編)」「パブリッククラウド(AWS上級編)」の全13回にわたって体系的に学ぶ。

 「初級編では、新入社員やAWSの環境を構築したい従業員を対象にして、AWS環境に慣れることをゴールにEC2やVPCといったよく利用するサービスの構築・設定をハンズオン形式で実施します。中級編では、AWS経験のある担当者やサーバ構築経験者を対象にパブリッククラウドならではの手軽さや容易さを知り、オンプレミス環境との違いを体験することが目的で、オートスケールやCDN、DNSなど、実際のシステムで多用されるサービスを使って実践的なシステムを構築します。そして、上級編では、より高度なAWSシステムを設計構築するための実践的なスキルを学びます」(古賀氏)

 古賀氏によれば、多忙な業務の中で、先輩の背中を見ながらOJTで学ばざるを得ないような人でも、「必要な知識やスキルを無理なく身に付けられる」と好評だ。

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