「O-RAN Alliance」とは? 5Gインフラをインテリジェントにする最新規格を解説(3/3 ページ)
基地局内、基地局間のインタフェースも共通化、マルチベンダー相互接続と性能の向上を目指す
一方、基地局の親局内でのネットワーク機器間のインタフェースも重要だ。基地局内の装置インタフェースは標準化団体である「Third Generation Partnership Project」(3GPP)がF1、E1を規定しており、LTE無線局(eNB)と5Gで新しく追加されるNR無線局(gNB)とのインタフェースであるX2や、NR無線局間のインタフェースであるXnも3GPPにより規定されている。これらインタフェースはいずれも自由度が高い設計であるため、マルチベンダー機器間での相互運用を図るときには、パラメータ解釈の違いにより、データの瞬断やスループット低下などの問題が生じることが課題になっている。
O-RAN AllianceのWG5では、こうしたパラメータ解釈や装置の動作を明確にして、オープンな標準とするための活動を行っており、どのベンダーの装置を利用しても、接続性の問題で性能が落ちることなく、同じオペレーションで同じ結果が出るようにすることを目指している(図3)。
NTTドコモはWG4とWG5の各WGで共同議長の1社として活動しているが、既にO-RANのインタフェースを用いたマルチベンダー相互接続試験を実施しており、その経験を生かしたテストスペックをO-RANアライアンス内で利用できるように検討しているところだという。2019年度中にもその活動の成果が見られそうだ。
ハードウェアとソフトウェアのレファレンスデザイン作成
O-RAN AllianceのWG6~8はRANのソフトウェアとハードウェアのレファレンス(参照)デザイン作りを担う。仮想化技術を利用してRANソフトウェアをハードウェアプラットフォームから分離し、汎用(はんよう)ハードウェアを使いながらモジュール性、拡張性の高い柔軟なネットワークとするためのお手本となる設計を追求している。
なお、上記で触れなかったWG1はO-RANのユースケースや全体アーキテクチャを検討しており、Linux Foundation配下の「O-RAN Software Community」はRANソフトウェアのオープンソースによる提供についての検討を行っている。2019年度中には、各WGから何らかのドキュメント公開などの動きがあると見込まれる。
O-RAN Alliance WG4の議長を務めているウメシュ・アニール氏(NTTドコモ 無線アクセス開発部)は「3GPPやO-RANなどのオープン仕様に準拠したマルチベンダー製品により5Gのインフラが実用可能なレベルに整備できれば、相互接続を確保した上で、各ベンダーが得意な領域で技術開発競争を進めることが期待できる。サービスプロバイダーは5Gネットワーク上でより柔軟に多様なサービスを提供可能になる」と語る。
O-RAN普及のメリットはネットワークオペレーターと機器ベンダーの間だけにとどまる話ではない。一般に「オープン化」は価格、品質、技術、スケジュールなど、数々の面でユーザー側にメリットが期待できる。
NTTドコモは5Gのプレサービスを2019年9月20日から提供する予定だ。同日開催の「ラグビーワールドカップ2019」のスタジアムやライブビューイング会場でのマルチアングル視聴が当面の注目ポイントとなるが、そればかりではなさそうだ。おそらく続々と登場してくる5Gサービスをウォッチするときは、その背後のO-RANアライアンスの存在を少し意識してみてはいかがだろうか。
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