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AI(人工知能)の活用状況(2019年)/後編

前編で「AIに関心がある」とした層は回答者全体の約7割を占めることが分かった。しかし「現在活用しているか」と聞くと、まだ足踏み状態。「AIの活用を検討する」とした層の検討分野とは。そして、約3割が「AIを活用しない」と回答した理由とは。

» 2019年09月12日 08時00分 公開
[キーマンズネット]

 キーマンズネットは2019年8月5日〜23日にわたり「AI(人工知能)のビジネス活用に関する調査」を実施した。全回答者数111人のうち、職種でみると情報システム部門は38.7%、製造・生産部門が21.6%、営業・販売部門が8.1%、経営者・経営企画部門が4.5%と続き、業種ではIT関連外製造業が36.9%、IT製品関連業が35.1%、流通・サービス業全般が20.7%などと続く内訳であった。

 今回は「AIを取り入れたソリューションの活用状況」「AI活用を予定している業務・分野」「自社独自のAI製品の開発状況」に「AIを活用しない理由」といった角度から企業におけるAI活用の実態を把握するための質問を展開。なお、グラフ内で使用している合計値と合計欄の値が丸め誤差により一致しない場合があるので、事前にご了承いただきたい。

AI活用に前向きな業種と活用分野

 前編では、回答者の71.9%が勤め先でAIの活用に関心を示していることなどを紹介した。後編では、「AIを取り入れたソリューションを活用している」または「導入計画を進めている」と回答した層の声を中心に、実情や課題を紹介したい。

 今や基幹システム、マーケティングツール、セキュリティなどといった分野でベンダーの多くがAIを取り入れた製品を展開している。「AIを取り入れた」とうたう製品が増え続けるなか、ユーザー企業の利用状況はどうだろうか。

 アンケート回答者に「勤め先で、AIを取り入れた何らかのソリューションや製品、サービスを活用しているか」と尋ねたところ「既に活用している」21.8%、「現在は活用していないが、導入予定」7.3%、「現在は活用していないが、検討中」42.7%、「活用しておらず、今後も予定はない」28.2%と続いた(図1)。

 業種別では「小売・流通」「電気・ガス・水道」「運輸・物流」「放送・出版・Webメディア」などの流通・サービス業全般が最も活用割合が高い。加えて「既に活用している」とした層の活用用途についてだが、「ビジネスデータの分析」が最も高く、続いて「WebサービスおよびWebサイトの運営」「翻訳」「システム運用管理」「セキュリティ対策」などが上位に挙がった。

 この結果から、増え続ける膨大なビジネスデータの分析の効率化が課題であることが分かる。また、翻訳や運用管理など定型化しやすいが緻密なフローやタスクがある分野での活用も多いようだ。

図1 AIを取り入れたソリューションの活用状況

 中には、既存の製品を利用するばかりではなく、自社のサービスや製品にAIの持つ有用性を生かそうと考える企業もある。そこで次に、「勤め先でAIを取り入れたシステムを開発しているか」を聞いたところ「開発している」18.1%、「計画がある・検討中」は合わせて43.7%存在することが分かった(図2)。

 「開発している」「計画がある・検討中」と回答した層に、どのようなシステムを開発もしくは計画しているのかを尋ねたところ、IT製品関連業では画像認識や行動制御、コールセンターシステムなどの開発を進めている傾向が高く、製造業では「機械装置のログデータからの異常診断・故障予測をする」「生産現場での材料のバラつき情報を収集し、その結果を品質UPのための施策に取り入れる」など生産工程の品質管理や異常検知などでAIを活用する声が多く挙げられた。

 他にも流通・サービス業などでは「チャットbotとの連携」「VR(仮想現実)を使った診療」など各社幅広い分野で活用の糸口を見出だしつつある傾向が見て取れた。

図2 自社独自のAI製品、サービスを開発しているか

AIの活用領域、注目はマーケティング領域か?

 全体の50%を占める、今後AIを取り入れたソリューションを「導入予定」または「検討中」と回答した層は、どのような業務で活用を検討しているのだろうか。

 1位は「活用中」と回答した層と同じく「ビジネスデータの分析」で36.4%、2位は「システム運用管理」27.3%、3位は「WebサービスおよびWebサイトの運営」21.8%、4位は「マーケティング」で20.0%、5位は「セキュリティ対策」で16.4%と続いた(図3)。

図3 AI活用を予定または検討している業務・分野

 現在「活用している」層と比較すると、「検討中」とした層はマーケティング領域での活用を検討する企業が多いようだ。MA(マーケティングオートメーション)やCRM(顧客関係管理)などの分野でAIを搭載するサービスもあり、蓄積する顧客属性や行動データをAIで分析することで、新規顧客の獲得や休眠顧客の掘り起こし施策につなげる事例も聞く。これまで蓄積してきた顧客データから新しい価値を生み出し企業利益につなげていこうとする企業は少なくないのだろう。

 その他、文書の作成や校正、議事録作成の自動化や、経費精算や財務・会計業務、人事管理や人事評価といった基幹系業務への活用を検討する層も一定数存在し、現在「活用している」と回答した層と比較すると複数の項にわたり回答があったことも特徴的だ。AIを取り入れたソリューションによりさまざまな分野で業務効率化が望めるという導入検討者の期待の大きさが伺えた。

約3割の企業がAIを「活用しない」としたワケ

 最後に全体の28.2%存在した「AIを取り入れた製品やソリューション、サービスを活用しておらず、今後も活用予定はない」と回答した層にその理由を聞いた。最も多かったのが「AIによりどのような効果が得られるか分からないため」51.6%、続いて「導入費用が高いため」45.2%、「運用が難しいイメージがあるため」41.9%などが上位に挙がる結果となった(図4)。

図4 AI活用を考えない理由

 導入や運用にかかるコストについては他のサービスでも導入検討時にはつきまとう問題だが、AI導入に際してはどのようなメリットがあるのか、どのような運用になるのか、といった点でまだまだ理解が及んでいない企業が多いようだ。

 一方、当調査記事の前編で触れた通り「経営からのトップダウンで取り組みが決まる」ケースが少なくないのが企業におけるAI活用の実情でもあり、関係しそうな担当者においては事前に一定の情報収集を行っておくのが良さそうだ。

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