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» 2019年10月24日 10時00分 公開

顕在化するRPA市場の課題を解決する──FPTがエル・ティー・エス社との合弁会社FCJを設立

[相馬大輔RPA BANK]

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RPA BANK
(写真左から)グェン・フゥ・ロン氏(FPTソフトウェア 副社長 兼 FPTコンサルティングジャパン 代表取締役社長)、吉田悦章氏(FPTコンサルティングジャパン 取締役 最高執行責任者)

「RPAを導入したものの3台しか社内にロボットが増えていない…」と同様の悩みを抱えている担当者も少なくないのではないだろうか。内製化を前提に社内リソースでなんとかしようとするものの、どの業務をロボット化したら良いのか分からない、あるいはロボットを開発する人材が育たない、といった声も聞こえてくる。こうした課題を解決してくれる新会社が設立されたという。

これまでRPA BANKで過去2回にわたり取材し、RPAツール「akaBot」を提供するFPTジャパンホールディングス(以下、FPT)が設立したFPTコンサルティングジャパン(以下、FCJ)だ。

大手RPAソフトウェアメーカーが提供するツールと比べて3分の1程度の価格を実現し、さらに充実したサポート体制でスモールスタートを実現することを特徴に持つFPTだが、今回、企業変革・働き方改革・デジタルシフトを支援するコンサルティング会社、株式会社エル・ティー・エス(以下、LTS)と合弁で、FCJを設立したという。今回はFCJの首脳2人へのインタビューを実施し、設立の背景、そして今後新会社を通じて、「コンサルティングの充実」「質の高い専門人材の提供」をどのように展開していくのか話を聞いた。

■記事内目次

  • 「スモールスタート」から始められるakaBotに高評価
  • 合弁会社FCJ設立の背景は、コンサルティングの充実と質の高い専門人材の提供
  • 両社が本気で手を組んだ理由
  • 価値ある人材を育ててDXをフルサポート

「スモールスタート」から始められるakaBotに高評価

━━ RPA BANKでは過去2回にわたり、akaBotに関するインタビューを実施させていただきましたが、改めてどのような業種や規模で採用されているのでしょうか。またどのような点を導入企業様から評価されているのでしょうか。

グェン・フゥ・ロン氏(FPTソフトウェア 副社長 兼 FCJ 代表取締役社長): 日本でakaBotを発表し導入サービスを開始したのは数カ月前のことですが、すでに2社に対して提供中で、トライアルで利用いただく企業様も順調に増えています。導入やトライアルが進んでいるのは、印刷、自動車、金融のほかデジタル系サービス企業も含まれており、業種業態を問わず声を掛けてもらえています。規模に関しては大手や中堅が多い状況ですが、価格的に導入しやすいakaBotの認知が広がれば、さらに幅広い層の企業様にお使いいただける状況が来ると思います。

━━ 高く評価される理由は、どこにあると考えていますか。

ロン氏: 「後発組」であるからこそ、必要な機能要件を満たしていることはもちろん、ビジョンを大きく考えながらも、小さく始められる「スモールスタート」コンセプトが評価されています。2カ月のトライアル期間内で必要十分なサポートが受けられ、手応えを感じた後は納得感のある価格で導入できることから、みなさん「始めやすい」と評価いただいています。

ユーザーやパートナーからは、より便利な機能、より広く展開するのに必要な管理視点での機能を追加してほしいとの要望が出されています。それだけRPAを本格導入したいと考える企業が増えていることの裏付けでしょうし、将来にわたって使い続けたい製品としてakaBotが期待されているのだと受け止めています。

akaBotはベトナムの大手銀行でバックオフィスだけでなく送金業務にも使用されており、台湾では金融業に強いソリューションプロバイダーとして知られるThinkPower社との提携を通じた提供が始まっています。グローバルでのフィードバックを取り込むことで、日本の金融業を始めとした産業に対して、広い業務でRPAを活用しやすくするなど、よりよいサービスを提供できるものと考えています。

合弁会社FCJ設立の背景は、コンサルティングの充実と質の高い専門人材の提供

━━ 旺盛なRPA需要に対応するため、RPA導入企業に対して十分な技術力を持ったエンジニアを多数確保して対応しているという話を以前のインタビューで聞きました。今の話では、さらにデリバリー力が必要になるのではないかと推測しました。

ロン氏: その通りですね。自社だけでは限界があるので、akaBotは他社と一緒に展開していくことも踏まえて開発しました。すでに日本国内でも2社のパートナーと一緒に提供する体制ができており、実績も出始めています。これまでFPTと取引がなかったプロバイダーなのですが、数あるRPAソリューションの中からakaBotを選択してくれているのは、とても心強いですね。

━━ パートナーシップの強化については、これまで業務提携関係にあったLTSと合弁でFPTコンサルティングジャパンを設立しました。設立の背景について教えてください。

ロン氏: コンサルティングの充実、質の高い専門人材を増やすこと、大きくこの2点です。

まずコンサルティングについてお話します。RPAはデジタルトランスフォーメーション(DX)によってビジネスを拡大するための一手段に過ぎません。akaBotが評価されることはとてもうれしいのですが、FPTとしてもデジタルで業務を継続的に「カイゼン(KAIZEN)」していく手段ととらえたうえで、DXの支援を活発化させたいと考え続けています。このことを前提に考えれば、ロボットの開発段階からパートナーになるのでは遅く、もっと手前の業務プロセスから見直すコンサルティングから参画していく必要があります。

この考えに拍車を掛けるのが、「RPAはどのソリューションがいいのかわかりづらい」という状況です。これまで日本のITは、ハードを中心とした特定ベンダーの製品群に囲まれて選択肢が限られていましたが、現在、選択の幅は拡がり自由になってきました。その結果、逆に何を選んでいいかわらず困っている状況も数多く見受けられます。

━━ これまでのインタビューでは、コンサルティングから運用、さらにアウトソーシングまでワンストップでトータルサポートできるのがFPTグループの強みだと聞いていました。

ロン氏: おっしゃる通りで、それは間違いない事実です。ただ、RPAへの引き合いが増える状況下で品質の高いコンサルティングサービスを提供し続けるには、RPAと同様にパートナーとともに提供できる体制を整えることが、みなさんからの期待に応えるためのベストな選択です。コンサルティングをもっと強化することで、デジタルを身近に感じてもらい、わかりやすく、始めやすいように支援したいと考えています。

それから「FPTソフトウェア」や「FPTジャパンホールディングス」などでは、コンサルティングサービスをイメージしづらいため、マーケットから認知しやすい「コンサルティング」と名の付いた看板を掲げることが、みなさんのベネフィットにも直結するものと考えました。

そこでこの2年間ほどパートナーを探してきた結果、LTSとの合意に至ったわけです。

両社が本気で手を組んだ理由

━━ LTSは東証マザーズへも上場してる企業ですが、あらためてどのような特徴があるのか教えてください。

吉田悦章氏(FCJ 取締役 最高執行責任者): LTSはデジタルに関するコンサルティングが強みで、RPAに関するサービスも提供しています。ビジネスプロセスを無視したRPAはありえないというのが、LTSの考えです。ビジネスプロセスを理解し、適材適所のBPO(Business Process Outsourcing)を支援することも得意分野で、BPOに期待して声がかかり、RPAを提案することも少なくない状況です。

ただ、コンサルティングに注力しているため、実際に開発して導入するメンバーが潤沢に社内にはいません。クライアントを支援するためには、いかに優れたパートナーと手を組むかが重要です。

━━ そして今回、FPTとパートナーシップを締結したということですね。

吉田氏: はい、技術面やデリバリー力が高いのは当然ですが、根本的な考え方やビジョンも一致していました。そしてFPTのみなさんは、例外なく誠実で人間的に信頼できる印象を受けました。私はアライアンスの責任者としてさまざまな企業と接してきましたが、FPTとぜひ組むべきだと思いましたし、FPTはもっと世の中に知られるべき会社だとも思えたのです。

今回はRPAの話にフォーカスしていますが、RPAに限らずあらゆる分野で手を組むためのFCJ設立です。先ほどLTSはアライアンスが重要だと話しましたが、その責任者であった私が片道切符で籍を移していることからも、どれほどFCJが大きな役割を果たす存在であり、FPTが期待できるのかお分かりいただけるかと思います。

ロン氏: LTSは数名から創業して上場まで果たし、樺島社長が持つ事業への責任感やアグレッシブさにFPTとの近さを感じました。近い志を持つLTSとなら、一緒に新しいことを始められるのではないかと考えたのです。

価値ある人材を育ててDXをフルサポート

━━ 合弁会社設立の2つめの目的は、質の高い人材を増やすことですよね。両社を足しただけでは、人の数は1+1で変わりません。両社ともたくさんのプロジェクトが進行しているはずで、根本的に実行力を増強できるのでしょうか。

吉田氏: ご指摘のとおりで、専門的な人材の採用と育成は重要です。ただ、それほど心配もしていません。採用とFPT既存社員への教育を積極的に実施することにより実行力の強化は可能で、1年で数百人規模での増員を計画しています。

━━ しかし、深刻なIT人材不足が伝えられています。それに、質がともなわないと、本来の目的を達成できない危惧があります。

吉田氏: その点でも、私たちが組む強みがあります。デジタルによってビジネスとテクノロジーの融合が進む今、LTS所属メンバーの多くが、よりITの実装知識を身につけることがコンサルティングの質を高めることにつながると理解していて、FPTから学びたいと手を挙げています。FPTのメンバーも逆の立場で同じことを考えています。つまり、ハイブリッドなFCJの立ち位置は非常に魅力的です。

また、LTSは日本からアジアへと進出する企業を支援したいとの思いが強く、このビジョンに共感する人材も多く集まっています。FPTは日本とベトナムを中心としたアジアとのかけ橋として成功を収めている企業ですから、非常に多くのことを学ぶことができます。魅力的な訴求ポイントは、いくつもあるのです。

ロン氏: ご指摘のとおり、ただ数をそろえるのではなく、最適なスキルを身につけた人材が携わる体制が不可欠です。そこで生きるのが、”L”が”Learn”を意味しているというLTSの教育ノウハウです。LTSはさまざまな育成支援事業も手がけていて、自社のメンバーに対しても効果的な教育が行われた結果、ここまでの成長を遂げてきたと聞きます。約2万8,000人が在籍するFPTグループでも、デジタル先進企業が取り入れている目標管理手法OKRを使って継続的なレベルアップを図っており、その知見が役立てられます。

日本企業がビジネスとテクノロジーの双方を融合してDXを実現するために、価格競争力だけでなく、質のともなったサービスでフルサポートしていく。そしてその先の社会に貢献していくことが、私たちFCJの役割です。

━━ 新会社FCJの設立を通じて、国内のDXが促進し、生産性向上の底上げにつながることを期待しています。本日は貴重なお話をありがとうございました。

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