業務コミュニケーションツールの通知にまつわる出来事に苦痛を感じることは珍しくない。どれほどの人が「メンションハラスメント」ともいえる現象にストレスを感じているのか。具体的なエピソードは?
「土日祝日関係なく上司や顧客からメールの通知がくる」「案件に絡む人を全てメンションに入れる人がいて、確認がツラいときがある」――こうしたコミュニケーションツールの通知にまつわるストレスを多くの人が抱えているのではないか。
ヌーラボは、業務コミュニケーションツールを利用する上での通知に関するハラスメントを「メンションハラスメント」と呼称し、プロジェクト管理ツール「Backlog」のユーザー808人を対象に「メンションハラスメントに関する調査」を実施(調査期間:2019年11月5日〜15日)。
コミュニケーションツールの受信側と送信側の両方の立場で、通知にまつわるストレスを抱えているかの状況や、ストレスの原因となった具体的な出来事を調査した。
同社が2019年12月3日に発表した詳しい調査結果は以下の通りだ。
仕事で利用しているコミュニケーションツールで、通知に関連するストレスを感じたことが「ある」と回答した割合は74.5%(図1)。ストレスを感じた具体的な理由として多かったのは下記だ。送信側よりも受信側がストレスを感じている傾向が見え、特にプライベートの時間に受け取った通知に、ストレスを感じていることが分かった。
送信側がストレスを感じる理由としては、「相手が通知をストレスに思わないか、通知を送る前にためらった」(41.9%)や「通知したのに返事が来なかった」(41.6%)などが挙がった。
またメンションハラスメントのエピソードを分類すると、送信側エピソードが9.5%、受信側と送信側のどちらもが19.6%なのに対して、受信側エピソードが70.9%と圧倒的に多かった(図2)。このことからもメンションハラスメントが受信側で顕著だという傾向が分かる。
具体的には、次のようなエピソードがあった。受信側のエピソードを送信側の意見と併せて読むと、オンラインでの業務コミュニケーションがはらむ問題の深刻さが分かるだろう。
<受信側>
<送信側>
調査では、休暇中にモバイル端末で受け取る通知について、ストレスを感じたことがあるかどうかを、「メール」「業務ツール」「個人SNS」といった連絡手段ごとに調べている。
ストレスを感じることが「よくある」または「たまにある」と回答した割合が最も多かったのは業務ツールで59.2%。メールについても50.7%が「よくある」または「たまにある」と回答した(図3)。
一方、「通知に関するストレスを減らすため、受信側と送信側のどちらが気を付けるのが効果的と思うか」を聞いた項目では、「どちらも気を付ける」と回答した割合が最も多く44.9%だった。次いで、「受信側が気を付ける」が31.9%、「送信側が気を付ける」が17.3%、「どちらも気を付けなくていい」が5.8%だった。
こうした結果を踏まえてヌーラボでは、ビジネスでどのツールを使うかが問題なのではなく通知機能の使われ方がストレスに影響していると分析。受信側が通知をオフにするなど工夫しながらストレスを減らしていくのが効果的だとしている。
ただし、「上司やクライアントからの通知に返信せざるを得ない」や「無視すると怒られる」といったエピソードからは、通知オフにできない状況を強いられ、苦痛を感じている状況が透けて見える。ヌーラボでは、業務ツールの便利機能だけに頼らず、自分たちのチームの利用方針を定め、使い方を見直しながらチームワークの改善に努めることが必要だと指摘する。
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