グループウェア市場にはさまざまなプレイヤーが存在し、製品やサービスも多様化している。現在最も利用されているグループウェアを探るために、勤務先で利用しているグループウェアを読者に尋ねたところ、2019年の順位と比べて変化があった。
キーマンズネットは2020年4月20日〜5月8日にわたり「グループウェアの利用状況」に関するアンケートを実施した。全回答者数139人のうち、「情報システム部門で主に導入・検討や運用に関わる立場」が38.1%、「一般部門で主にユーザーとして利用する立場」が37.4%、「顧客に販売するベンダー・SIerとしての立場」が17.3%、「その他」が7.2%と続く内訳であった。
勤務先でのグループウェアの導入状況尾や利用期間、利用している製品などを調査。なお、グラフ内で使用している合計値と合計欄の値が丸め誤差により一致しない場合があるので、事前にご了承いただきたい。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行を受けて、政府や自治体は企業に対してテレワークへの切り替えを強く呼び掛けた。従業員がそれぞれ離れた環境で業務せざるを得ない状況となったときに役に立つのが、リアルタイムでの情報共有機能や在席・離席確認といった機能を備えるグループウェアだ。2019年と比べて、グループウェアの導入状況や使われている製品はどう変化したのか。
まずグループウェアの導入の有無について尋ねたところ、「導入済み(リプレース予定なし)」82.7%、「導入済み(リプレース予定あり)」7.9%、「現在、導入しておらず今後も導入の予定なし」7.2%、「現在、導入していないが導入を検討中」2.2%と続き、90.6%が導入済みという結果となった。
この結果を2019年に実施した調査と比較したところ、導入率が3.4ポイント増加し、「リプレース予定あり」が7.6ポイント減少した。その代わりに「リプレース予定なし」が11.0ポイント増加。この1年間でリプレースを検討していた層のリプレースが完了したか、何らかの理由でリプレース意欲が下がったかなどが要因として考えられる。
「リプレース予定なし」が8割を超える結果から考えると、グループウェアはIT製品の中でも比較的継続率が高い製品であるといえる。そこでグループウェアを導入済みの層に対して導入製品の利用期間について聞いたところ「1年以上、3年未満」36.5%、「3年以上、5年未満」19.8%、「1年未満」11.9%と続いた(図2)。
まとめると全体の48.4%と約半数が利用期間3年未満と、1つの製品の利用期間はそこまで長くはない。今やグループウェア市場には多くのプレイヤーが存在し、製品も多様化した。従業員の使い勝手や組織の働き方の変化を見て、その時々のニーズを満たすグループウェアを臨機応変に選択している企業もあるのだろう。
続いて現在利用しているグループウェア製品について尋ねたところ、2019年の結果と比較して、順位の並びに変化があった。
1位は「Office 365」で40.5%、2位は「desknet's NEO」と「サイボウズ ガルーン」が同率で11.1%、4位は「G Suite」で9.5%、5位は「Microsoft Exchange Server」で7.1%と続いた(図3)。
2019年の調査では1位がOffice 365、2位がG Suite、3位がサイボウズ Office、4位がMicrosoft Exchange Server、5位がdesknet's NEOという順だったが、2020年はdesknet's NEOが順位を伸ばす結果となった。その他には、少数ではあるが「kintone」や「NI Collabo 360」などが挙がった。
2020年4月22日に「Microsoft 365」へのリブランディングが発表されたOffice 365が、2019年の28.4%から12.1ポイント伸ばして引き続き1位となった。その他上位の製品群についても2019年と同様の顔ぶれだった。この結果をみると、マイクロソフトやサイボウズ、ネオジャパン、グーグルの4社が国内企業で導入されているグループウェアの代表格といえそうだ。
なお一部のベンダーでは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大防止対策として、企業のテレワークを支援するのために期間限定でグループウェアの無償提供を実施するなどの動きも見られる。
最後に、少数ではあるが「グループウェア未導入企業」に対して「導入しない理由」を聞いたところ、「導入コストが高い」「費用対効果の説明が難しいため」などコストに関する理由が上位を占める結果となった。
グループウェア未導入企業を従業員規模別に見ると、50人以下の中小企業が過半数を占めていた。企業規模の大きい企業と比べて、グループウェアのメリットである情報共有や社内コミュニケーションをそこまで課題視していないのだろう。
COVID-19の流行によって従来の働き方からのシフトが求められる今、オフィスから離れた環境でも現業務を問題なく実行できるかといった視点を持って、あらためてグループウェアの在り方も考える必要があるだろう。
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