テレワーク緊急調査シリーズ第3回は、読者から寄せられたテレワークに必要なPCや業務端末に関する不満や問題点を紹介する。
2020年、新型コロナウイルスによる被害が世界規模で広がり、日本でも生活に大きな変化がもたらされた。こと企業においては期初計画の見直しや在宅勤務など働き方の転換に追われたケースも少なくないだろう。そこでキーマンズネット編集部では“コロナ禍”における企業の実情を調査すべく「緊急事態宣言期間中のテレワークの実施状況と勤務実態に関するアンケート」を実施した(実施期間:2020年5月25日〜6月12日、有効回答数548件)。
第3回のテーマは「業務端末、デバイス」だ。
今回のパンデミックを機に、今後テレワークシフトを検討する企業も少なくないだろう。オフィスと同等の生産性を維持し安心、安全なテレワークを実現するには業務で利用する業務端末にも目を向けたい。今後の働き方を考えるためにも、緊急事態宣言下のテレワークでの業務端末、機器にまつわる問題点を振り返りたい。
まず、テレワークで使用する端末について尋ねたところ、「ノートPC」が最も多く87.8%、次いで「シンクライアント端末」13.8%、「デスクトップPC」12.8%、「タブレットPC/2-in-1 PC」11.8%と続く結果となった(図1)。
関連してテレワークで使用する端末について、勤務先からの支給状況も尋ねた。勤務先から支給された端末を利用と回答したのが77.2%と約8割を占めた。会社からの支給がなく私物端末で代用と回答した人が13.6%存在し、急に訪れたテレワークシフトに対して私物で急場をしのいだ状況が透けて見える。
端末の支給状況をより詳細に把握するために、支給状況と利用端末をクロス集計したところ、会社支給の端末はノートPCとシンクライアントの割合が高く、私物端末で代用するとした人はデスクトップPCの割合が高い。またテレワーク用に新規で調達した機器は、ノートPCに次いでタブレットPC/2-in-1 PCが挙がった。今後のテレワークの継続を見据えてかモバイル端末を調達する割合が高く、職種や雇用形態などを選ばない新たな働き方に合わせた導入が検討されているのだろう。
テレワークで生産性やパフォーマンスを維持するためには、PCやモバイル端末だけでなく周辺機器にも目を向けたい。Web会議やリモート商談にはWebカメラやマイク、ヘッドセットが、Web制作やシステム開発などではサブディスプレイが必要となるだろう。それらが会社で支給されない場合は、従業員がそれぞれで準備する必要があるが、問題は購入費用の負担先だ。テレワークに必要な機器購入において、費用の負担先を尋ねた。
テレワークに必要な機器の購入について勤務先での対応について尋ねたところ、「事前申請の上、会社が全額負担」が48.3%と最も多い。次いで「会社からは特に補助金や手当などなく、全額個人負担」が37.9%だった(図2)。
周辺機器に限らず通信費や光熱費など、在宅勤務によって従業員が一時的に負担するコストは幾つか考えられる。今後、長期的なテレワークを考えるのであれば、企業がどこまで負担してどこからが従業員の負担となるのかを明確にする必要があるだろう。
今までテレワークを実施した経験がないもしくは実施経験が浅い企業では、制度やルールがまだ定められていないケースもあるだろう。厚生労働省は「テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン」や「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」といった制度設計の基準となる指針を公開している。テレワーク環境や制度を整備する上でこうした公開情報も参考になるだろう。
通勤時間の軽減などテレワークならではのメリットを実感する半面、オフィスでの業務と比べると不便な点やトラブルなどもある。テレワークで利用している「機器」に関する不満や困りごとを聞いたところ「画面が小さくて作業しづらい」49.5%、「PCの動作が重い」28.1%、「PC内蔵スピーカーの精度が低く聞き取りにくい」20.0%、「PCの処理速度が遅い」19.8%が上位に挙がった(図3)。
こうしたテレワークに関する問題点が上がっている中で、勤務先に求めるのをフリーコメント形式で尋ねたところ、テレワーク環境を自身で整備するための補助を求める声も多数寄せられた。
機器に関する不満や問題点を見ると、PCやディスプレイに対して不満が集中した。在宅環境下であることから「見やすいディスプレイがない」「自宅の通信環境からVPNで接続するため通常よりもPCの動作や処理速度が遅く感じる」など、オフィスと比べてやりづらさを感じる面もあるようだ。
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