キーマンズネット会員を対象にアンケート調査を実施したところ、テレワークにより業務利用するIDが増加傾向にあること、それに伴うID/パスワード管理の課題が明らかとなった。
キーマンズネットは2020年8月24日〜9月9日にわたり「ID/パスワード管理システムの導入状況」(回答数67人)に関する調査を実施した。
今回は、業務でID、パスワードを求められる「システムの数」やそれらに利用する「IDの数」、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響による「ID数の増加有無」など、企業におけるID、パスワードの利用状況を把握するための質問を展開した。
クラウドサービスの利用が一般的に広まり、コロナ禍によるテレワーク需要の高まりを背景に、ユーザーが“管理すべき”IDとパスワードの数は増加の一途をたどっているようだ。
そこでまず業務上でID、パスワードを求められる「システムの数」を聞いたところ「7〜10個」が28.4%、「5〜6個」が25.4%と上位2項目で53.8%と過半数を占める結果となった(図1)。
次に業務で利用している「ID、パスワードの数」を聞いたところ「3〜4個」が25.4%、「5〜6個」が22.4%、「7〜10個」が19.4%と上位に挙がり、加えて「16個以上」も10.4%となった(図2)。
また、全般的にID、パスワードを求められるシステム数に対して、実際に利用しているID、パスワードの数は少なめに出ている傾向から、シングルサインオンやIDaaSといった同一のID、パスワードで複数システムにログインできる仕組みを導入している企業も少なくないようだ。
利用するID、パスワードが増えた背景にCOVID-19によるテレワーク実施がどの程度影響しているか。調査したところ28.4%が「影響を受けている」と回答した。増えたIDとパスワードの数は平均2〜3個ほどであったが、中には6個以上増えたという回答もあった。
フリーコメントでは「今後増えることはあっても減ることはない」「テレワークによって個人管理が必要になった」といった声もあり、コロナ禍をきっかけに働き方への変化が起きたことで、ID/パスワード管理においても現場では多少の混乱が生じているようだ。
ID、パスワード情報の管理や運用で困っている点、課題に感じる点についてのフリーコメントを紹介したい。
まず最も多かったのは当然ながら利用者からの声だ。「文字数や大文字小文字の組み合わせなど、サイトによって異なるのが不便」「1日の業務で使用するIDが10個以上あり、同時にそれにひも付くパスワードが多い。IDとパスワード管理が煩雑で、時折システムにログインできず作業が止まってしまう」など、設定と管理の煩雑さを嘆く声が多く挙がった。
中には「安全のためサービスごとにパスワードを異なるものに設定しなければならないが管理が困難」といった声もあり、セキュリティをより強固にすればするほど利便性がトレードオフになってしまう。こうした課題に対し利便性向上のためシングルサインオン(SSO)を導入する企業も少なくないが「SSOに対応しているシステムと対応していないシステムがある」など、その導入範囲や移行期間中の対応についても課題はありそうだ。
一方、ID情報を管理する側からの意見は以下の通りだ。
管理者側からは、システムやサービスが増えるたびにID、パスワードの発行コストがかかるといった課題や、そこまで手間をかけてセキュリティ向上を図っているにもかかわらず、パスワードの使い回しなどが頻繁に起きていることへの嘆きが多く挙がっていた。
セキュリティと利便性の向上を検討しつつも、企業としての意識や風土、乱立する新旧システムの整理などの課題もあり、導入までに時間がかかるといったリアルな声も聞かれた。
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