メディア

新時代のRPAの在り方とは −RPAのその先へ−

» 2020年10月04日 10時00分 公開
[元廣妙子RPA BANK]

2021年9月13日、RPA BANK はキーマンズネットに移管いたしました。
移管に関する FAQ やお問い合わせは RPA BANKをご利用いただいていた方へのお知らせ をご覧ください。

RPA BANK

RPA導入の波も一段落し、さまざまな事例が出つつある中で、これからは新たな時代に向けて、より大きな効果を実現するためにRPAを次のステージに進めていきましょう。 Blue Prismが考える「RPAのその先」として、「クラウド化」と「デジタルタレント」について、先進事例を踏まえつつご説明いただきました。

■記事内目次

  • スピーカー
  • 日本のRPAの現状
  • 新時代のRPAの在り方とは?
  • デジタルワーカーの集約
  • クラウド移行の本格化
  • 訓練されたデジタルタレント
  • まとめ

スピーカー

Blue Prism株式会社 イノベーションセンター エバンジェリスト 市川 義規 氏

日本のRPAの現状

Blue Prismの市川でございます。8月ももう終わりに近づいていますけれども、相変わらずコロナの影響がありまして、私もマスクをつけてこちらでお話しさせていただいています。

今年の2月ぐらいはそこまででもなかったと思いますが、3月ぐらいから在宅や三密を避けるような話が出始めたかと思っております。今もそのままでございまして、やはり薬などが出てこないと、なかなか沈静化しないと思うのですが、できるだけ早く終わってほしいですね。どうしても影響があって今日もこういう形式になってしまっていますけれども、お届けできればと思っております。

前置きはこのぐらいにして、本題の方なんですけれども、今回のこのイベントで私がお話しさせていただくのは3回目になります。1回目は私がゲストに呼ばれて対談でお話しさせていただき、2回目は日本の現状など、結構マクロな感じで、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)は今のままでいいのか、RPAの未来はどうなっていくのかといったお話をさせていただきました。今回のこのセッションは、結構詳細なところに入っていこうかなと、RPARPAした話をしようかなと思っています。

Blue Prism所属の私の意見を申し上げるので、聞かれた方はそういう考え方もあるのかという一方で、何言ってんだと思う方もいらっしゃるかもしれないのですが、ぜひご視聴いただき、ご意見をアンケートなどでお寄せいただけたら、非常に活発な議論ができていいのかなと思っていますので、ぜひよろしくお願い申し上げます。

「RPAのその先へ」ということで、RPAの未来のお話ができればと思うのですが、まず日本のRPAの現状を振り返ってみたいと思います。

みなさまRPAってどういうものだと思っていらっしゃいますでしょうか。結構理解はまちまちなところがあるのではないかと思いますが、私がBlue Prismに入ったのは2年前です。

2018年の3月に入りました。その前もRPAに関係する仕事はしていたのですが、RPAが本業ではなかったですね。私がBlue Prismに入った当時、2年前、3年前は、RPAというとまず内製、内製しなければRPAじゃない。業務担当者がIT部門や情報システム部門の力を借りずに自分たちだけでやってのけるのがRPAであると。

そのために誰にでもできる簡単なツールを用意している、それを使うことによって誰でも業務自動化ということができてハッピーだと。あるいは投資対効果を求めてはいけないというような意見もあったかと思います。投資対効果を求めてやるようなものではなくて、現場の業務が楽になったらそれでハッピーじゃないかというような考え方、あるいは意見というのはすごく多かったのではないかなと思います。

私も結構戸惑いがありましたね。2018年、2019年前半も、日本的なRPAというものに合わせていかなければならないのかなと思っていましたが、やはり一抹の疑問はあったのです。本当にこれって業務担当者にできるかなとか、本当にこれって誰でもできるかなと。

Blue Prismという何か難しいツールではなくて、簡単なRPAツールとされるものを使えば誰でもできるという意見が多くあったのですが、本当かなと。私も昔、コンサルタントやエンジニアであり、なんとなくその辺りのことが分かるつもりだったので、本当かなと戸惑っていたのですが、調査結果を見ると戸惑っていたのは私だけではなかったようです。字が小さくて恐縮ですが、これはガートナーという調査会社が出している調査結果の一部です。昨年の調査結果だったと思います。何を意味しているかというと、RPAの推進体制ですね。

内製でやっていくのがRPAだという話がありましたけれど、実際どうですかという話ですね。企業様に聞いてみると、結局、IT部門が取りまとめているんですね。グラフを見ていただけると分かりますように、IT部門が取りまとめているのは3分の2です。それ以外にも専任組織を作ってある程度は統制をかけ、ある程度は業務部門でやるというように、役割分担をしている企業様もあるわけです。

業務部門だけで進めているのは21%、全体の2割ぐらいでしかないんですね。あるいは開発体制どうしてるか、作っているのは誰ですかというところも、結果を見るとIT部門が作っています。57%、6割弱なんですね。

残りはユーザー部門かというと、ユーザー部門が外部委託で作っているのが2割あるわけです。要は8割はIT部門が作っているか、もしくは専門的な人に委託して作っているんですね。ユーザー部門で内製してます、なんていうのは23%しかないです。もちろん23%あるし、それが間違いでもないですよ。Blue Prismのお客様の中でも、ユーザー部門で作られている方はいらっしゃいます。ただ現実どうかというと、そういった方たちはやはり少数派です。

日本企業はRPAはここで作る、というような世界の話に必ずしもこだわりを持っていないと。私が感じたモヤモヤは多分、他の方たちも感じていて、きちんと効果を出すことにフォーカスしているという意味で、これは良い話かな思います。ですので、まず日本のRPAの現状を考えたときに、世間的にはメディアの中で言われている話と、現実の話というのは違うというところはご理解いただければ、と思っております。

今良い話をしましたが、あまり良くないと感じているところもございます。いわゆるデスクトップの自動化です。日本ではデスクトップ上で業務を自動化していく、これがRPAであるという考え方が非常に強いです。

誤解の無いように申し上げておきますが、海外にないわけではありませんよ。ヨーロッパにデスクトップの自動化が無いかと言われたらもちろんありますし、アメリカにはないかと言われたら、アメリカにももちろんありますと。

ただ日本のRPAは、デスクトップ自動化の側面が非常に強いと思います。いろいろな問題が指摘されており、統制や管理運用上の観点で好ましくないという指摘であるとか、あるいは監査が正しく行われていることを担保できるかという観点でもよろしくないのではないか、そういった指摘もあります。しかしそういった指摘があっても、デスクトップを中心とした自動化が、やはり今でもすごく多いのかなというふうに考えております。

こういうことが、日本の社会や会社、組織にとっていいことであればいいのですが、残念ながらあまり良くない気がしますと。というのも、RPAというものの地位の低さというのが見て取れるからです。デスクトップで自動化する、やむを得ない代替手段のような位置づけが強いので、どうしてもRPAをちゃんとやっていこうと言い出しにくい雰囲気がありますし、かつ誰でもできるというような側面も強いんですね。

RPAというのは先ほど申し上げましたように、誰でもできるものだという風評がやはりあります。ガートナーの調査の結果から見て取れるように、誰でもできるわけではないというところは分かるのですが、やはり風評が残ってしまっている面は強いですね。

これが何を引き起こしているかというと、RPAの投資が十分にされないことにつながっていると思います。そりゃそうですよね、だってやむを得ず使う、仕方なく使う代替手段であり、誰でもできるんだよみたいなことになると、それに何か大きな投資をしようとか、それに十分な時間やお金をかけようって思わないですよね。

思わないとどうなるかというと、実際にそういうことを一生懸命やっている人たちが評価を受けにくくなります。一生懸命RPAをやっているのに、組織とか会社で評価されないと、昨今デジタルトランスフォーメーションと言って、いろいろなツールであるとかテクノロジーを上手く組み合わせることで新しいものを生み出していく、既存のものを変革していくという話もありますが、そういったものに使おうという気にもならないと。

今私が申し上げた地位の低さと、投資が十分にされない、不十分だというお話が互いに関係し合っているわけですね。関係しあうことで負のスパイラルにつながっていくのだと思います。今RPAの幻滅期なんて言われていますけれども、結局地位の低さであるとか、投資の不十分さというのがお互いに関連し合い、どんどんRPAというものを良くなくしていっているのかなと思っています。

Blue Prismとしては、固定化されたイメージにとらわれずに、現実的な効果を模索している日本の企業の現状はいいことだと思っていますが、一方でやはりこびりついたイメージというものがありますし、それらが負のスパイラルを生んでいるところもあるのではないかと思います。

新時代のRPAの在り方とは?

このような日本の現状を踏まえて、我々Blue Prismとして将来こうなっていくのではないかと考えているところがございまして、それには3つほどポイントがございます。

新時代のRPAのあり方として、まず1つ目はデジタルワーカー、ロボットといってもいいかもしれませんが、そういったものがどんどん集約されていくのではないかと思います。2つ目としては、クラウド移行の本格化が進むと考えています。最後の3番目は、訓練されたデジタルタレントということで、要は学習済みのデジタルワーカーです。学習済みのデジタル従業員というものが、これから主流になっていくのではないかと考えている次第でございます。

デジタルワーカーの集約

これをもう少し噛み砕いてお話しできればと思うのですが、まず1つ目の集約です。Blue Prismを使うと、集約した実行が可能になります。例えばスケジュールを組んで、スケジュール通りにロボットが淡々と仕事をやっていくという考え方もそうです。あるいは、従業員の方々が持っていらっしゃるそれぞれのパソコンから、自動化処理をやってくださいというリクエストを受け付けて、実行は集約した環境で行うというような形を、Blue Prismだと構成することができます。

今投影している左側の世界ですと、要は1台のロボット、デジタル従業員、デジタルワーカーが、24時間ずっといろいろな仕事を入れ替わり立ち替わりやっている形になるわけですね。一方でデスクトップの自動化というと、これもいろいろなやり方があると思うのですが、我々から見るとどうしても、従業員のパソコンの中で動いている気がするんですね。ですので、従業員の方のパソコンの中で自動化処理をしたいというリクエストを送ったら、そのリクエストはそのパソコンの中で、自分自身で回せるサービスのような感じになっているように思います。

今スライドを投影していますけれども、右側の方をご覧いただければおわかりになりますように、1台1台のパソコンでデジタルワーカーと言っていいのか。要はデスクトップで自動化している時間というのは、非常に短いわけです。そうですよね、従業員の方のパソコンで動いているわけですから、従業員の方の労働時間を上回る事はないわけです。ただそうすると費用対効果が非常に悪化いたしますと。右側は3台分のライセンスが必要ですけれども、左側のBlue Prismは1台で済みますし、もっと言うと、多分3台どころじゃないと思うんですよね。

集約して実行したら、1台でできる範囲ってすごく広いわけですけれども、従業員の方のパソコン1台1台ですと、年間何時間動くのかという世界になってしまうと思うんですね。左側、我々Blue Prismが考えるようなリクエストは当然送れますと。リアルタイムに動かしたいという要求は遅れるけれども、実際処理をするのは集約されたサーバーだという考え方が、これから主流になっていくのではないかと思っています。

今リアルタイムの実行を集約する、費用対効果のお話しをしましたが、運用管理でもありますね。おそらく現場で運用している方たちの課題感という意味では、こちらの運用管理の方が大きいのではないかと思います。

例えばBlue Prismですと、共通部品というのはデータベースで一元管理されています。何かを配布するような考え方ではなく、共通の部品を修正したり、バージョンアップは1カ所を変えることでそれが全てに反映されると。もちろんどこに反映されたかというのもデータベースで管理しているので、非常に変更管理などがやりやすい形になるわけですね。

ところがこれも物によるのかもしれませんが、デスクトップの自動化というと、結局ファイルなんですよね。自動化のファイルを作ってそれを使っていくと、共通部品もファイルですと。そのファイルというのが、いろいろなところに入り込んでいるんですよね。

ですので共通部品をアップデートしようと思ったら、ファイルが入り込んでいるところをぱっと開けて差し替えて、のようなことをやらなければいけない。これがすごく大変だと思います。実際こういうところの運用管理の煩雑さから、デスクトップの自動化というのは限界があって、集約して集中管理をしていくやり方に移行するケースが非常に多いかなと思います。

デジタルトランスフォーメーションの話もそうだと思うんですね。Blue Prismだと全てがデータベースで一元管理されているので、その中でより優れたよりデジタルトランスフォーメーションに資するようなソリューションの開発、それは例えばチャットボットとの連携であったりとか、OCR(光学文字認識)との連携であったりとか、そういったいろいろなテクノロジーとの連携というところもあると思いますけれども、そういったところも含めて自動化を新しいステージに進めていくことが、この集中管理というやり方だと考えやすいのかなと思います。

しかしデスクトップの自動化で各人が思い思いに自分の課題感を自動化していくというアプローチになってしまうと、新しいステージに行くどころか効果を生むところすら到達が難しいので、次のステップというのを考えた上でも、この集約していくという考え方がこれからはますますメジャーになっていくのではないかと思います。

デスクトップ自動化にも、もちろん用途はあると思うんです。デスクトップ自動化が生きるようなケースというのは、私はあると思っています。私はBlue Prismの人間ですけれども、これはこれで確かに使える場所もあるだろうなと思います。ただそれってかなり限定されているのではないかなというのも同時に思うことです。日本の現状に対して思うのは、本来集約することによってメリットが得られるような世界であるにもかかわらず、それらをかなりデスクトップでやってしまっている、というのが私個人としては思うところでございます。

クラウド移行の本格化

2つ目がクラウド移行です。RPAって普通のウェブシステムと違って、クラウドに持っていきにくい要素はあるんです。けれどもこのクラウド移行というのが、2つ目のトピックとして重要ではないかなというふうに思っています。

ただクラウド型のRPAと言ってもいろいろな考え方が実はあって、なかなか一概に言えないところがございます。ここに4象限の図を書かせていただいていますが、列のところに関してはBYOLという、いわゆるクラウドのプラットフォームにライセンスを持ち込んでやるというような考え方がまず一つあるのと、あとSaaS型ですね。

BYOLだと自分が管理しないといけないですね。プラットフォームはクラウドを使うんですけれども、自分で管理しないといけないものと、管理も含めてSaaS型で提供されるものと、2種類あるだろうなということで列を2つ用意しています。

業務もハイブリッドとフルクラウドという、2つの考え方があります。ハイブリッドというのは管理機能はクラウド上にあるけれども、実行するランタイムはオンプレミスというか手元にある、クラウド上ではない場所にあるというようなケースですね。

これが通常のウェブシステムをクラウドに持っていくのとは違うところで、RPAは実行するランタイムは割とクラウド上に置きにくい。いろいろなクライアントアプリケーションを操作すると思うので、ランタイムはそのクライアントアプリケーションと同じところに置かないといけないんですね。

ですので妥協策として、オンプレミスのところにクライアントアプリケーションとRPAのランタイムを置いて、管理機能はクラウドに置くような方式が少なくないと思います。ただこのアプローチはこのアプローチでいろいろ問題があって、全部クラウド上に載せる方がいいのではないかという考え方もあるのが、今2段に分けているところでございます。

世の中でクラウドやクラウド型と言っても、このように4種類ぐらいの分類はあると思っています。そういった中でBlue Prismは全ての方式をカバーするという戦略になっています。ですのでBYOL型という変わった観点では、AWSやIBM Cloud、Google CloudあるいはMicrosoft AzureやOracle Cloudといったものをプラットフォームとして選ぶことができて、そこにBYOLライセンス持ち込みをして環境を構成できます。それをハイブリッド型でもできますし、全てクラウドというアプローチも可能でございます。

一方で、SaaS型という意味では我々はBlue Prismクラウドというものをご提供させていただいておりまして、こちらを使うことによって、SaaS型でハイブリッドも全てクラウドという形も両方を提供させていただいております。

ただそのBlue Prismのクラウドの話を補足させていただきますと、Blue Prismのクラウドは、SaaS型と言ってますが単にRPAをSaaSにしたものではないんですね。よくあるのはRPAの機能そのものだけをSaaSで提供してこれがクラウドRPAだという考え方があると思います。これはこれで別に間違ってはいないですね。RPAをクラウド提供しているわけですから、RPA as a serviceということで間違っていないと思います。ただ我々としてはより高度な自動化をしていくために、デジタルワーカーを世に送っていくためにはどうしたらいいかを強く考えています。

ですので我々としては、RPA機能というものも当然必要ですが、その周辺にあるものですね。それは例えばチャットかもしれません。先ほどデジタルワーカーを集約してという話、端末からリクエストを出してという話をしましたが、端末からのリクエストっていろいろあるわけですよね。

従業員の方のパソコンで画面を開いてボタンを押したら動くとか、RPAが自動化処理を動かすというのもあると思うし、あるいはチャットとかもあると思いますね。チャットでいろいろ問い合わせをして、双方向にやりとりをしながら、必要に応じて集約されたところで自動化処理が動く、そういうケースだってあると思うんですね。

チャットというインターフェースだけではなくて、画像や文字認識のようなものもあると思います。昨今文字を認識する紙媒体を読み取るような話もありますし、画像認識というのはAI、ディープラーニングの中でも最も我々が使いやすいテクノロジーの一つだと思いますので、そういった観点も組み合わせて動かしたいと思うんですね。

先ほど申し上げましたように、チャットのインターフェースだけではなく、ウェブの画面でボタンを押すとか入力するというのもあると思います。あるいは他の機械学習の仕組みですね、これもいろいろあるとは思いますが、そういうマシーンラーニングなどの仕組みを要所要所で使いながら、RPAの仕組みを動かしていきたいという要望があると思います。ですので我々のBlue Prismのクラウドというものは、単にRPAの機能だけを提供するのではなくて、チャットや画像文字認識、ウェブフォーム、機械学習などなどの、デジタルワーカーを構成する上での周辺機能というものを、全てオールインワンで提供する仕組みになっています。

Blue Prismクラウドの仕組みを細かく説明すると、またこれはこれで一つのトピックなのでぜひどこか別の機会でご説明の機会をいただければと思います。もしご興味がおありでしたら、ぜひアンケートにも書いていただければと思いますが、概要だけを申し上げますと、このような機能構成になっていまして、AI Skillsと言われるような、みなさまから見て右上にあるようなものですね、こういったところにさまざまなAI機能というのが含まれています。

あるいはChannels、右下にあるような、さっきのチャットのインターフェースや画面のインターフェースですね、どのような受け答えをしたらそのチャットボットが動いてくれるのか、どこで自動化のトリガーを引くのか、そういうところを作る機能ですとか、あるいはウェブの画面をペタペタ作っていくような、入力フィールドを入れてボタンを配置して、日付を選ぶところはカレンダーが出てというような、よくあると思うのですが、そういった機能も含まれています。

みなさまから見て左上にあるのは、管理系の機能ですね、Blue Prismもダッシュボードがありますけれども、更にそれをリッチにした、より稼働率というものをきちんと管理しやすいようにしたダッシュボードです。カスタマイズ可能なダッシュボードですね。

真ん中やや左にあるようなウェブブラウザで、そもそも自動化処理を定義していくような開発機能もあります。真ん中にあるのはアイエダ、「IADA」と書いてアイエダと読みますけれども、これはスケジューリングの機能ですね。スケジューリング機能はBlue Prismそのものにもありますけれども、そもそもスケジューリングというものは人間がやっていくのは結構難しいところがあります。スケジュールなんてこうやって組んでいけばいいじゃないかというのもおっしゃる通りなんですけれども、規模が大きくなっていくと、スケジュールを立てるのはすごく大変です。みなさまもミーティングの調整とかされますよね。あれも参加者が多くなると調整がすごく難しくなります。

スケジュールを調整するというのは、どちらかというと機械的な作業になりますと、パッキングの問題に近い形ですよね。引っ越しするとき、本棚の本をダンボールに詰めるときにできるだけ隙間がないように進めようみたいな、パズルゲームみたいな感じになっていくわけですけれども、スケジューリングに関しても、そういったパズルゲーム的な側面が非常に強いと思います。ですのでそういったところは人間がやるよりも、AI機能などを活用して機械的にやった方がいいのです。我々のこのIADAという仕組みは米国特許を今出願中ですけれども、そういったものを使って、インテリジェントにオーケストレーションしていくというような機能を提供しております。

Blue Prismクラウドの話はこの辺りで切り上げたいと思います。もし詳細にご興味がおありの方は、ぜひアンケートにご記入いただければと思いますけれども、我々としてはこういったものを提供しつつ、BYOL型もあると思いますが、いずれにせよクラウドへの移行というのが今後ますます進んでいくだろうと考えております。

訓練されたデジタルタレント

最後の3つ目のポイント、訓練済みのデジタルタレントという概念をお話しさせていただければと思います。RPAはよくAIとの違いとか、RPAとはというところを読むと書いてありますけれども、やはり訓練が必要ですよね、訓練というか要は定義が必要ですと。

例えば私が、エクセルの一覧があって、そこの住所のところから一つ一つ値を取ってきて、メールを出さなければいけないことになると、RPAでやってみるかということになりますけれども、エクセルはこういうフォーマットで、ここの値を読み取ってメールのここに書いてというのは、やはり作っていかないといけないですよね。

もちろんそれほどの手間ではないと思うんですよ。人間に比べたら全然小さいと思うんですね。新人に業務の手順を教えたり、あるいは業務の手順書を作って渡したりということに比べたら、RPAの自動化処理を作る、デジタルワーカーに業務を教えるという比喩表現もできると思いますけれども、それが必ずしもすごく大変かというとそうではないと思います。

ただ一方で、その自動化処理がすごく大きくなっていくと、教える手間というのも積み重なっていくのでばかにはならないです。そこまで考えると、学習済みのデジタルワーカーというのがいたらそれはすごくいいだろうな、便利だろうなということになっていくわけですね。我々はその学習済みのデジタルワーカーを、デジタルタレントと呼んでいます。デジタルワーカーからデジタルタレントに進化する進化ポケモンみたいな感じですね。

デジタルワーカーは自動化処理がもちろんできるけれども、訓練をしないといけません。設定、定義をしないといけません。デジタルタレントはすでに訓練済みで提供されます。デジタルワーカーというのは、対象システムの挙動に合わせて設定をしていかなければいけませんが、デジタルタレントはすでにその対象システムの挙動が設定済みのものになっています。設定済みの成果物という形になっています。

こういう考え方が訓練済みのデジタルタレントです。文字だけのスライドと私の説明で伝わっているのかどうか不安なところもありますので、もう少し分かりやすくできればと思ってSAPを例に挙げています。基幹システムといえばSAP、非常に有名なパッケージですけれども、SAP入力したいというときに、業務的にどうしているかというともちろんご自身で入力されている方もたくさんいらっしゃると思いますが、こういう内容で入力しておいてください、という形で誰かにそれを依頼するケースもあると思うんですね。

SAPの入力って結構コツがいったりもすると思うので、SAPのことをよく知っている人にこういう感じで入力して欲しいというのを伝えると。メールやエクセルで渡して、この真ん中にいらっしゃる方ですね、今のスライドの真ん中にいらっしゃる方が、SAPではこうやって入れるんだよなと、SAPってこの文字は入れられないからこういうふうに入れるんだよなとか、いろいろ考えながら入れてくれると思うんですね。

それに対してBlue Prismでこういった業務を自動化しようと思うと、真ん中にBlue Prismが入る形になります。このBlue Prismが先ほどの作業依頼メールやエクセルを受け取って、その中身を読み解いて、きちんとSAPに入力可能な形でデータを入れていくわけですね。

このときに先ほどの、訓練がどうとか設定がどうとかいう話になるわけです。要はBlue Prismに、SAPに対する入力のルールのようなものを設定しなければいけないですね。まずここを見て、ここを見て、ここでエラーになったらこうやって、というのを設定しないといけない。そういう教育的な、訓練的なものが必要であると。ですので先ほどデジタルワーカーに対する訓練という話をしていたわけです。これに対してデジタルワーカーに訓練をさせないようにするには、要はSAPのこのケースで言えば、SAPのいろいろな操作手順や操作のコツをBlue Prismに事前に定義しておけばいいわけですね。

そうすると、訓練済みのSAPに対するデジタルタレントができるという形になります。これに関していろいろな取り組みをさせていただいています。Blue Prismとしての取り組みというのがあるんですね。それはSAP自動化のサンプルということで、我々の方でSAPの自動化はこのような形でやればよろしいのではないでしょうか、という部品を作っています。

今投影しているのはBlue Prismの画面、左側がその部品の一覧的なものだと思っていただければと思います。これはFICO、SD、MM、いわゆるSAPのモジュール単位で区切られていて、さらにSAPのトランザクションコードという、業務メニューに飛ぶためのキーワードのようなものがあって、キーワードを入れてEnterキーを押すと特定の行目に、例えば会計伝票を紹介するとか、そういったメニューに飛んでいくんですね。

そのトランザクションコード、業務に取り込むためのキーワードごとに、部品が用意されているような形になっています。中身は真ん中上部にあるようにフローチャート形式になっているわけですね。その中でSAPの画面のどこがどういうものかみたいなものは、事前に設定された状態で提供されるのがこの部品ですね。

我々としては400のトランザクションコードを来月リリースしていく形になっていて、継続的にリリースをして最終的には3,000ぐらいを目指しているんですけれども、ここにあるようなトランザクションコードごとに、一つの部品を提供してそれ以外に対してさまざまな処理が付帯しているような形になっています。

当然これはカスタマイズも可能な物です。ブラックボックスではなくて自分でカスタマイズできます。途中に処理を挟んだり、全然違う前処理を入れたり、後処理を入れたりといったこともできるようになっていまして、こういったものを出していきますと。

これは我々のアプローチになりますが、今日のこのイベントの中で、対談形式で呼んでいただいているところがございまして、日商エレクトロニクス様ですね。

日商エレクトロニクス様もこういった部品などを作られていて、訓練済みのデジタルワーカーに日商エレクトロニクス様版デジタルワーカーのようなものをご提供されていくと。これは日商エレクトロニクス様だけではなくて、我々やその他のパートナー様も、それぞれ得意な分野などがございまして、それぞれが訓練済みのデジタルワーカーを作ることに今チャレンジしております。

例えば経理の方が足りなくて追加で採用が必要、のような話があると思うんですね。いろいろな募集の仕方があると思いますが、リクルートエージェント様やビズリーチ様などで新しい人を採用すると。今は人手不足で、この人手不足の傾向は今後もしばらく続いていくと思いますが、採用ってなかなか難しいと思うんですね。

ただこれが将来的には、訓練済みのデジタルワーカーであるデジタルタレントというものを使うことによって変わるのではないかと。つまり、リクルートエージェント様やビズリーチ様で人を探したのと同じような形になるのではないかと。

経理といってもそこまで会計に習熟していなくてもいい、もっと言ってしまうとSAPなどの入力業務やその辺の代替がしたいということであれば、我々Blue Prismが提供しているマーケットプレイスに行って、Blue Prismのデジタルタレント、訓練済みのデジタルワーカーを探して購入してダウンロードすればそれでこと足りるのではないかと。

自社で使っているシステムに応じて、SAPであればSAPに習熟したデジタルタレントでいいですし、あるいは別のパッケージでしたら別のパッケージに習熟したデジタルタレントを雇う。もしかしたらデジタルタレントで、労働力不足を補っていく世界がこれからできていくのではないかと思っております。

もちろん今いきなりこれができるかというと、なかなか難しいところがありますが、我々としてはこういう未来が3つ目の未来として、あるのではないかと思い描いている次第でございます。ということで一応お話をさせていただきましたが、いかがだったでしょうか。

まとめ

40分近くお話しさせていただきましたが、どちらかというとBlue Prismとしてはこう考えている、という視点がすごく強かったと思います。聞かれているみなさまも、いろいろな感想を持たれたのではないかと思うんですね。そうだね確かにその通りだと思うよ、という方もいらっしゃれば、いやいや全然そんなことないよ、俺はこう思うぞという方もいらっしゃると思うので、ぜひそういったご意見をお聞かせいただきたいなと思います。

私もそうですしBlue Prismもそうですけれども、未来を完全に予測できるとは思っていません。未来を予測できる人なんていないと思うので、我々としてはこういったビジョンや未来がありますが、それをお客様とですね、お客様というかみなさまとですね、お話をして進めていきたい、前向きなディスカッションをして、より良い未来を作っていきたいと思っておりますので、ぜひお声がけやご意見をいただけたらと思っている次第でございます。

本日は以上となります。他にも、私がお話しさせていただいている、もう少しマクロなお話などもありますし、先ほどの日商エレクトロニクス様のセッションにもゲストで呼ばれておりますので、ぜひそちらもご視聴いただけたらと思う次第でございます。本日はお時間いただき誠にありがとうございました。

引き続きBlue Prismをよろしくお願い申し上げます。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

会員登録(無料)

製品カタログや技術資料、導入事例など、IT導入の課題解決に役立つ資料を簡単に入手できます。