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名刺管理ツールの利用状況(2020年)/前編

時節柄、対面での商談や打ち合わせがオンラインに切り替わるケースもある中で、名刺情報の管理はどのようにしているのだろうか。名刺管理方法と名刺交換の今をアンケート結果から探る。

» 2020年10月15日 07時00分 公開
[キーマンズネット]

 キーマンズネットは2020年9月14日〜10月2日にわたり、「名刺管理ツールの利用状況」に関する調査を実施した。全回答者数158人のうち情報システム部門が27.2%、製造・生産部門が20.9%、営業・販売・営業企画部門が11.4%、経営者・経営企画部門が8.2%などと続く内訳であった。

 今回は名刺の「現在の管理方法」や「管理ツールの企業導入への希望」「オンライン打ち合わせ時の名刺交換方法」など、名刺管理方法やツールの利用状況を把握するための質問を展開。なお、グラフ内で使用している合計値と合計欄の値が丸め誤差により一致しない場合があるので、事前にご了承いただきたい。

名刺の企業管理は2割弱、約6割が名刺フォルダでの物理的な個人管理

 まず、現在の名刺の管理方法を聞いたところ「名刺フォルダで物理的に個人管理している」が58.2%、「スマートフォンアプリを使って個人管理している」が20.9%、「会社で導入している名刺管理ツールで管理している」が15.2%と続いた(図1)。

図1 どのように名刺を管理しているか(n=158)

 まとめると全体の79.1%が名刺を個人で管理していることになり、その中でも名刺フォルダなどで物理的に管理している割合が高いことが分かる。

 対して、「会社で導入している名刺管理ツールで管理している」とした回答者に会社で管理している理由について尋ねたところ「顧客データを効率的に管理するため」「顧客情報を社内もしくは部署内で共有するため」「名刺の紛失などにより営業の機会損失を防ぐため」の順に高く、名刺を重要な顧客データとして戦略的に管理・活用しようとする方針が見て取れた。

ついやってしまいがち!? 「オンライン名刺交換」での失敗談

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、取引先との商談や打ち合わせなどをオンラインで実施するケースも珍しくなくなった。オンラインでの打ち合わせは対面とは勝手が異なる。初対面の取引先担当者などとの打ち合わせの際、対面会議ではまず名刺交換から始まるのが常識だった。しかし、オンライン打ち合わせとなると対面とは進め方なども変わってくる。どのように名刺情報を交換すればよいのか、迷う人もいるだろう。そこで、オンライン打ち合わせ時の名刺情報の交換をどのようにしているかをアンケート回答者全員に尋ねた。

 最も多かったのが、「自己紹介の際に口頭で相手の情報を聞きメモして控えておく」44.9%、次いで「打ち合わせ前後にメールで名刺情報を共有」32.3%などが上位に挙がった(図2)。

図2 オンライン打ち合わせ時の名刺交換方法(n=158)

 オンラインでの商談、打ち合わせでは名刺を物理的に交換することができないため、「タイトル、部署名などを聞き忘れた」「名刺情報はメモしたが、顔と名前が一致しない」などといったことも起こり得る。次にオンライン打ち合わせでの名刺情報の交換にまつわるトラブルを尋ねた。以下に、読者が経験した“オンライン名刺交換”のトラブルや問題を幾つか挙げた。

  • 社内ルールでスマホが使えず、名刺をWebカメラに写したが読み取れなかった。先方は社内で自由にスマホを使えるようで、撮影したデータをアップしてもらった
  • 後で、部署名など細かい情報が分からなくなった
  • 情報の交換に手間取り、打ち合わせ時間が短くなった
  • 通信状況により音声が聞き取りにくくなる瞬間があるので、自己紹介などのときに通信遅延などが起きても、会議の議題そのものではないので聞き返しにくい
  • 電子による名刺情報の交換を提案しても、理解いただけず交換ができない。あらためて訪問することになった
  • 名刺の現物が残らないので後で誰だか分からなくなった
  • うまく聞き取れないときがある。何度も聞くのも相手に失礼な気がする

 名刺交換の代わりに自己紹介をし合うものの、ネットワークや使用機器の影響もあり、なかなか意思疎通が図れなかったといった声が目立った。その他、「オンラインで名刺交換していないため、相手がどんな方か分からず話しにくい」といった心理的障壁や、「人によって開示していただける情報にバラつきがある」など、名刺交換ができない環境にあったことでコミュニケーションツールとしての名刺の価値に気付かされた人も少なくなかったようだ。

導入“反対”は42.4%! 「個人の資産を会社に渡したくない」などの声も多数

 組織全体で名刺を顧客データとして管理・活用することで、顧客情報の検索性が高まったり、他従業員と顧客とのつながりが可視化され、より確度の高い営業が可能になったりするなど、営業効率を向上させることができるが、こうした名刺管理を勤務先で整備してほしいと考える方はどのくらいいるのだろうか。

 「名刺を個人管理している」と回答した人に対して、「勤務先で名刺管理ツールを導入してほしいか」と尋ねたところ、「導入してほしい」は49.6%、「導入してほしいと思わない」と回答した“反対派”は42.4%となった(図3)。

図3 勤務先で名刺管理ツールを導入してほしいか(n=125)

 次に企業で名刺管理ツールを導入してほしいという“賛成派”の意見をフリーコメント形式で回答を求めたところ、大きく3つの意見が上がった。

 1つ目は顧客情報共有の効率化に関する声で、「(顧客との)つながりの有無が分かるので今後の商談に役立てられる」「顧客情報が共有されていないため、(担当者が)不在時に問い合わせがきても対応できない」「引継ぎも含めた、顧客管理工数の簡素化のため」「社員間で共有した方が効果的に(情報を)活用できる。退職者が出てもその人が保有していた名刺情報を引継ぐことができるから」といった引継ぎコストの削減などの面で業務効率の向上が望めるという意見が目立った。

 2つ目はセキュリティ面で「名刺は個人情報でもあるのでツールで管理したい」「個人導入はセキュリティの面で不安がある」などの意見が挙がった。

 3つ目は物理的な保管コストを削減できるという点で「保管スペース(机の引き出し)が不足しているため」「物理的管理は限界がある(テレワークなどで事務所の自席がなくなる予定)、また同じ部署で同じように管理(保存)しているのがムダ」などの声があった。名刺をデジタル化することで「外出先に名刺ホルダーを持ち歩いていないと何もできない」「検索が容易になり紙の経年劣化もない」といった課題の解決にもつながるとの期待の声も寄せられた。

 一方、企業で導入してほしくないと回答した“反対派”の意見として、「個人の資産として、自分で管理したい」「自分が努力し開拓した取引先を、会社共有情報としたくない」など個人が築いた顧客先との関係を企業内で共有したくないという声も一定数挙がった。

 また「個人で自由に管理したい。転職した時も必要」などの意見から、個人で得たつながりを副業などの個人活動や転職先でも生かしたいと考える人もいるようだ。

 他にも「(勤務先では導入するにしても)全社導入ではなく部門導入になり、各部門で管理するとなると管理が煩雑(はんざつ)になり、やがては使わなくなる」「全社でなく部門単位での導入になり、異動時に使えない」といった意見もあり、導入をするなら“全社での導入”を前提に検討してほしいという声も少なくなかった。また「名刺交換自体が少なくなったため」などCOVID-19の流行により、対面からオンラインでの打ち合わせに移行せざるを得ないケースもあり、名刺交換の機会が減少していることから「個人管理で十分だ」といった意見も見られた。

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