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名刺管理ツールの利用状況(2019年)/ 前編

名刺管理にまつわる本音を探るために、勤務先での名刺管理状況と望む管理方法について尋ねた。名刺管理ツールを勤務先で導入してほしいかという問いでは、2018年の調査と結果が逆転し、勤務先に名刺管理ツールの導入を求める声が多く寄せられる結果となった。

» 2019年10月17日 08時00分 公開
[キーマンズネット]

 キーマンズネットは2019年9月12日〜27日にわたり、「名刺管理ツールの利用状況に関する調査」を実施した。全回答者数97人のうち情報システム部門が37.1%、製造・生産部門が19.6%、営業・販売・営業企画部門が14.5%、経営者・経営企画部門が4.1%などと続く内訳であった。

 今回は名刺の「管理状況」から「個人で管理する理由」「企業での名刺管理ツール導入への希望」など、名刺管理の方法やツールの利用状況を把握するための質問を展開。なお、グラフ内で使用している合計値と合計欄の値が丸め誤差により一致しない場合があるので、事前にご了承いただきたい。

名刺の「物理管理」が減少し、アプリでの管理が増加

 営業先や展示会などで獲得した名刺情報は組織にとって需要な情報資産だ。情報を集約しデータベース化することでビジネスを広げるきっかけにもなり得る。だが、この名刺情報を個人で管理するか組織で管理するかで人によっては考えが二分しがちだ。そこで、まずは名刺情報の管理方法を尋ねた。

 その結果、「名刺フォルダで物理的に個人管理している」が52.6%、「スマートフォンアプリを使って個人管理している」が25.8%、「会社で導入している名刺管理ツールで管理している」が15.5%と続く結果となった(図1)。まとめると全体で78.4%が名刺を個人管理していることとなる。

 この結果を2018年7月に行った調査と比較すると全体の約8割が個人管理している現状に変化はなかったものの、名刺フォルダで物理的に個人管理している割合が14.1ポイント減少した。代わりにスマートフォンアプリを使って個人管理している割合が12.0ポイント増加し、ここ1年で管理形態がスマートフォンを利用したアプリ管理に移行していることが分かった。

 また名刺を組織で管理しているケースもまだ全体の2割弱ではあるものの、2018年と比較すると微増した。名刺を組織で管理する理由としては「顧客データを効率的に管理するため」「顧客情報を社内もしくは部署内で共有するため」といった声が多くを占め、次いで「CRM(顧客関係管理)やSFA(営業支援システム)などと連携し、営業効率を向上させるため」「社内で顧客情報を統合管理するため」といった声が挙がった。「MA(マーケティングオートメーション)ツールなどと連携させ、効率的なマーケティング活動につなげるため」との回答もわずかだが存在した。組織で名刺を管理する目的としては、管理の効率化と情報共有に重きを置く割合が多いようだ。

図1 どのように名刺を管理しているか

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 スマートフォンアプリによる個人での名刺管理が急伸している中、具体的にどのようなツールを利用しているのかを尋ねた。

 結果を見ると「Eight」が56.0%と過半数を占め、続いて「Wantedly People」16.0%、「Evernote」8.0%、「CamCard Lite」4.0%と続いた。

 さらに、個人で名刺を管理していると回答した層を対象に理由を聞いたところ「会社や部門で名刺管理ツールを導入していないため」84.2%、「担当している顧客情報は自分で管理したいため」17.1%、「退職後、会社を移っても顧客とつながりを持ちたいため」10.5%、「会社で既に名刺管理ツールを導入しているが、個人管理の方が管理しやすいから」7.9%と続く結果となった(図2)。2018年に実施した調査では「会社や部門が名刺管理ツールを導入しないため」と回答した割合は78.8%であったが、2019年は5.4ポイント増加した。

 注目すべきは「退職後、会社を移っても顧客とつながりを持ちたいため」との回答者が2018年から1.5倍ほど増加している点だ。退職後はもちろん在席中でも副業を解禁する企業も増えてきている現在、こうした個人活動などにも名刺を活用したいと考える方も増えつつあるものと推測できる。

図2 個人で名刺を管理する理由

結果が逆転、勤務先に名刺管理ツールの導入を望む声が増加

 組織が名刺管理ツールを導入することで、従業員は顧客情報を効率的に管理、保管できたり、SFAとの連携により営業効率を向上させることができたりするようになるが、こうした機能を企業主体で整備してほしいと考える方はどのくらい存在するだろうか。調査の結果「導入してほしいと思う」が39.5%、「導入してほしいと思わない」53.9%と企業導入を望まない声が上回る結果となった(図3)。2018年の調査では「導入してほしいと思う」が56.2%、「導入してほしいと思わない」37.3%であり、今回の調査で逆転した。

図3 会社で名刺管理ツールを導入してほしいか

 そこで名刺管理ツールを勤め先で導入してほしいと回答した層にその理由をフリーコメントで聞いたところ、名刺を“経営資源”と捉えて有効活用をするべきなどの声が寄せられた。

名刺管理ツールを勤務先で導入してほしい理由

  • 名刺も経営資源なので、組織として活用したいため
  • 他者が持っている情報を共有できるため
  • 個人情報保護の観点から集中管理の必要性を感じるため
  • 顧客接点が増えるため
  • 紙からの脱却で、どこでも閲覧可能な状態にしたいため
  • 名刺の顧客情報を会社全員で最新に維持することができるため

 一方、企業で導入してほしくないと回答した層もある。その理由として、「名刺情報だけ共有しても交換したシチュエーションや相手との関係性が理解していないければ、持っていないのと同じだ」という意見も見られた。

名刺管理ツールを勤務先で導入してほしいと思わない理由

  • 現状不便を感じないため。投資するならもっと他のシステムに経費を使ってほしい
  • 顧客から以前にもらった名刺を持参するケースがあるため
  • A社の名刺情報をある人に共有し、その人が顧客にコンタクトをとったとしても飛び込み営業とさほど変わらないため
  • 情報だけ共有しても関係性がなければ意味がない。名刺を交換したシチュエーションや顧客との親しさが分からないので、名刺交換した本人以外が使うと失礼となる場合があるため
  • 前職でつながったクライアントの名刺までも公開したくないため

 前編では、主に名刺の管理状況について調査した。後編では、名刺管理における組織課題にフォーカスし、調査結果を見ていきたい。

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