2021年1月に2度目の緊急事態宣言が発令されたが、1度目のような緊迫感はない。テレワークの快適さを知るも、オフィスの勤務を望む人が少なくないことが分かった。その理由はどこにあるのか。
キーマンズネット編集部は2021年に注目すべきトピックスとして「セキュリティ」「SaaS」「テレワークインフラ」「従業員コミュニケーション」「オフィス」「デジタルスキル」「人事制度」の7つのトピックスを抽出し、読者調査を実施した(実施期間:2020年11月10日〜12月11日、有効回答数866件)。企業における2021年のIT投資意向と併せて調査結果を全8回でお届けする。
第5回のテーマは、「オフィス問題」だ。
コロナ禍を機に変わったのは働き方だけではない。テレワークが進んだことで、都心からのオフィス離れ、オフィスの縮小や解約、本社機能の地方移転といった動きが見られる。固定費の削減や都心に縛られない就労環境の実現などを目的に、オフィスの在り方そのものを見直そうとする企業もある。この傾向は、今後さらに強まるのだろうか。アンケートの調査結果から、今後の方向性を読み解く。
本アンケートを実施したのがCOVID-19の感染が再拡大する前(2020年11月10日〜12月11日)で、世間は“コロナ慣れ”した時期であった。テレワークでの業務の推進が叫ばれる中、一部の企業ではオフィス回帰の動きがみられた時期でもあった。そこで、オフィスの出勤状況を探るために、月当たりの平均的な出勤日数を尋ねたところ、最も多かったのが「15日以上」で47.5%と、回答者の半数近くが月の約半分以上は出勤していたと回答した。次いで「4日未満」(24.2%)、「10日程度」14.8%と続く結果となった。「15日以上」の回答率が多い理由として、出勤しなければできない業務に従事する回答者が一定数いたことも一因として考えられる。
1度目の緊急事態宣言解除後にCOVID-19の罹患(りかん)者が急増したように、今後もこうした波が断続的に続くことが予想される。そうした状況を見越してか、既にオフィスの移転や縮小を計画する企業も出始めている。アンケート回答者の勤務先では、今後オフィスの在り方を見直す動きはあるのだろうか。勤務先で今後オフィスを縮小、または分散させる予定があるかどうかを選択形式で尋ねたところ、「特に何も予定はない」がまだ大多数を占め78.5%、「今のオフィスの一部を解約し、縮小する予定」が12.4%と、まだ様子見の状況が見て取れた。
関連して、今後オフィスへの出社を伴う働き方を望むかどうかを尋ねたところ、「いいえ」(51.4%)、「はい」(48.6%)と、オフィスへの出勤を望む声が半数に迫り、想定よりも高い数値が得られた。
出社が必要な理由として、業種、業態によりテレワークでは対応が難しい業務があることが考えられるが、それ以外にも出社を望む理由がありそうだ。以下は、出社“賛成派”と“反対派”それぞれから寄せられた声だ。
前項目の結果から、通勤時間の削減などテレワーク勤務の利点は理解しつつも、コロナ禍によってオフィスでの勤務の必要性をあらためて実感した人も一定数いることが分かった。わずかながら“脱オフィス”の動きはありつつも、まだ完全にオフィス離れできない事情も見えてきた。そこで最後に、オフィス勤務を望む人、テレワークでの勤務を望む人を含め全員に対して、どのようなオフィス環境であれば働きたいと思うかを自由回答形式で聞いた。
時節柄、設備の充実を求めるだけでなく、換気や空調設備に目を向けるコメントも目立った。また、通勤事情も考慮してか、一極集中の拠点ではなく、分散型オフィスを望む声も多数寄せられた。
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