デジタル化の時代、ITと関わらずに仕事をすることは難しい。自身や同僚など「勤務先の従業員のITリテラシー、デジタルスキル」はどのようだろうか。
キーマンズネット編集部は2021年に注目すべきトピックスとして「セキュリティ」「SaaS」「テレワークインフラ」「従業員コミュニケーション」「オフィス」「デジタルスキル」「人事制度」の7つのトピックスを抽出し、読者調査を実施した(実施期間:2020年11月10日〜12月11日、有効回答数866件)。企業における2021年のIT投資意向と併せて調査結果を全8回でお届けする。
第6回のテーマは、「デジタルスキル」だ。
業種を問わずあらゆる仕事がデジタル化するいま、ITと関わらずに仕事を進めることは不可能といっても過言ではない。こうした中で起こったコロナ禍は、業務のさらなるデジタルシフト推進のきっかけとなった。
そこで考えたいのが、自身や同僚など「従業員のデジタルスキル」の状況だ。デジタル化が進み、サイバー脅威も増加する中、従業員のデジタルスキルは十分だろうか。アンケートの調査結果から、現状とこれからを読む。
はじめに、回答者が自社の従業員のデジタルスキルやITリテラシーをどう認識しているかを探るために「勤務先での従業員のITリテラシーは十分であるか」を尋ねた。最も多かった「何とも言えない」(27.1%)を除くと、「あまりそう思わない」(26.8%)、「ややそう思う」(25.6%)、「全くそう思わない」(13.6%)の順で多かった。ITリテラシーが十分ではないと認識する回答者が66.0%と過半数を占めたことになる。「とてもそう思う」は6.8%にとどまった。
先述の通り、自信をもって「デジタルスキル/ITリテラシーが十分である」と答えられる回答者の方が少ないことが分かった。では具体的に周囲の従業員のどのような行動からITリテラシーの不足を認識しているのだろうか。
先の質問への回答理由をフリーコメントで聞いたところ、「システムにログインするためのパスワードを他人に教えてしまう」「PCやスマートフォンに慣れ親しまない高齢の従業員がおり、操作方法に関しての質問が横行しすぎて情シスの仕事が進まないことが多々ある」といった声が挙がった。その他のコメントも一部抜粋して紹介する。
中には、「情シスの指示に従うだけで、問題が発生しても指示した情シスのせいと思う人が多い」と問題を全て他人任せにしている従業員への嘆きの声もあった。標的型攻撃メールを開かないなど、従業員のITリテラシーに依存する問題も「情シスの責任」とされてしまっては、情シス担当者はどうしようもないだろう。
その一方で、リテラシーが十分であるとする回答者は「IT関連企業だ」「エンジニア主体の企業だ」とする回答が多かった。IT関連企業でなくとも「十分な教育プログラムが準備されており、最低限の知識は共有できている」とする回答もあった。
では、企業のITリテラシー教育の現在地はどのようだろうか。「勤務先で従業員のITリテラシーの向上に向けて何か施策を実施しているか」を尋ねたところ、下図のような結果となった。最も多かったのが「コロナ禍以前から体系立った研修/教育プログラムがある」で30.6%だ。しかし、次点の「部門や個人の裁量に任されている」は30.5%で、0.1ポイントしか差がなかった。先に述べたフリーコメントの中には「部門ごとにリテラシーが全く異なる」という回答も数多く見られ、企業として体系だった研修がないこともその原因のようだ。
一方で、「資格取得や評価への反映をしている」という回答も14.0%あり、新たな資格取得を援助することでITリテラシーやデジタルスキルの底上げを図る企業もあるようだ。これに関連して、「事業部門を対象に新しいデジタルスキル(データ分析やAI活用、自動化ツール開発/利用)の学習プログラムを提供しているか」を聞いたところ、回答者の23.7%が何らかの学習プログラムを提供していた。
「事業部門を対象に新しいデジタルスキルの学習プログラムを提供している」とした回答者が具体的にどんなプログラムを提供しているかを尋ねたところ、最も多かったのはRPA(Robotic Process Automation)の開発やコンプライアンス教育だった。中には、AI(人工知能)開発の教育を進めているという企業もみうけられた。
また、何らかのデジタルスキルの学習プログラムを提供していないとした回答者を対象にどのようなプログラムが欲しいとかを尋ねたところ「更新プログラムインストール時のトラブル対応や有線LAN、無線LAN設定と説明といった基礎知識」「一般常識レベルの知識取得」「プログラミング、セキュリティを含むPCスキル」「最先端テクノロジーへの理解」「ITトレンドの知識」といった回答が寄せられた。
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