採用管理においては、Excelなどの表ソフトを活用することが一般的だが、採用管理に特化したクラウドサービスの無料プランを試すという方法もある。コストをかけない採用管理に最善の方法はあるのだろうか。
採用管理においては、Excelなどの表計算ソフトで応募者やステータスなどを管理している企業もあるが、近年は採用管理に特化したクラウドサービスを使うことも珍しくなくなった。これまでExcelを利用してきた企業であれば、わざわざコストをかけてサービスを導入するメリットがあるのかと考えるだろうが、クラウドサービスの中には、無料のトライアル期間を設けているものや、無料プランを用意しているものがある。それぞれで一長一短があるが、コストをかけない採用管理に最善の方法はあるのだろうか。
一口に採用管理といってもさまざまな業務が存在する。そのうち、Excelやクラウドサービスを活用する作業は、主に各求人サイトでの応募状況の確認と応募者管理、選考者の情報の管理、面接日の日程調整などだ。こうした業務においてExcelとクラウドサービス、それぞれのメリットとデメリットを紹介する。
採用管理にExcelを活用する場合、費用をかけずに済むというメリットがある。インターネットで無料提供されているテンプレートを使えば普段からExcelを使い慣れている現場であれば、それほど苦もなく使い続けられるだろう。
自社に必要な情報と合わせて、管理シートを自由にカスタマイズできるというメリットもある。新卒採用なら「人柄が分かるエピソード」、中途採用なら「これまで仕事で大事にしてきたこと」といった項目を、採用目的に沿って細かく設定できる。
一方で、共同編集に向いておらず、バージョンの管理が難しいという難点がある。また、応募者が増えると管理作業が煩雑化し、作業効率が低下したり、データ容量が増えて動作が重くなったり、最悪の場合データが壊れたりすることも珍しくない。
採用管理に特化したクラウドサービスについてはどうだろうか。一般的なクラウドサービスは基本的な機能として、応募者情報の管理、選考進捗(しんちょく)の社内共有、エントリー状況の可視化、応募者に連絡するためのメール機能などが挙げられる。
Excelでの管理と比較して、直観的な操作性や分かりやすいUIが特徴だ。サービスによっては「LINE」と連携して応募者に面接日程や結果を通知したり、全ての応募者のデータを一元的に管理したり、メッセージの自動送信設定をしたりなど、Excelでは実現しにくい機能を備える。複数の人がアクセスして編集する場合も、バージョン管理に困ることは少ない。もちろん社外からも操作でき、採用担当者のテレワークを可能にする。
前述したように、サービスによっては無償でトライアルできる体験版を設けていたり、無料で利用できる料金プランを用意していたりする。まずは試しに使ってみて、必要に応じて有償プランに移行できる。
なお、体験版や無料プランは使用期間が限られている。「登録人数が10人まで 」「印刷機能が不可」といったように機能が制限されているなど、できることに限界がある。当たり前だが、製品選定の手間があることも付け加えたい。例えば、新卒採用と中途採用では適切な管理手法も異なるため、新卒採用は、多数の応募者の情報を管理しやすいサービスが望ましいが、通年や不定期に実施する中途採用においては短い期間で採用を完了させられるよう、進捗管理機能に強みのあるサービスが適しているだろう。サービスによって得意とする分野が異なるため、自社の目的に合ったものを見極めたい。
Excelと採用管理に特化したクラウドサービスには、それぞれメリットとデメリットがあることを確認したが、どちらを利用する場合でも履歴書や職務経歴書、エントリーシートといった個人情報の管理には十分に気を配る必要がある。企業は応募者に対して、個人情報を取得することとその目的、企業が講じる安全対策、削除や廃棄となるタイミングについて周知し、同意を求め、適切に管理しなければならない。採用の過程において、第三者に提供する可能性がある場合は、その旨を必ず告知する必要がある。適切なタイミングで確実に個人情報を削除することも重要だ。
過去に、就活サイトが提供する採用支援サービスにおいて、学生の個人情報が不適切に企業に渡った事件があった。従来、学生が就活サイトに登録する際、プライバシーポリシーに同意を求める形で個人情報取得の同意を得ていたが、そのプライバシーポリシーの中から、第三者提供に関する文言が抜け落ちていたという。
採用管理にExcelを活用するならば、個人情報保護法に従ってファイルを適切に管理し、暗号化を施して採用活動とは無関係な人物がアクセスできないようにするといった工夫が求められる。ファイル自体が不用意に持ち出されないよう、普段から従業員への意識付けなどを徹底したい。
採用管理のクラウドサービスを使う場合でも、個人情報がどのように守られているのか、セキュリティに関するどのような機能が用意されているのかといった点に目を配る必要があるだろう。
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