今までは対面での面接が当たり前とされてきた新卒採用。だが、ここにきて採用活動における“常識”が大きく変わろうとしている。新卒採用活動の今を調査結果から見る。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行を受けてテレワークの実施が拡大したように、採用活動も非対面による採用活動にシフトしつつある。
HR Tech(Human ResourcesとTechnologyを組み合わせた造語)のスタートアップ企業であるZENKIGENはシード・プランニングと共同で、企業の新卒者採用担当者556人を対象にした採用活動におけるオンライン化の実施状況についてアンケート調査を実施した。その調査結果を振り返る。
まず、回答者の勤務先でオンライン採用を実施しているかどうかを尋ねた項目を見ると、「実施している」(57.6%)、「実施していない」(26.6%)、「現在実施していないが、検討している」(15.8%)となった。
関連して、オンライン採用を導入した時期については、「2020年」が90.3%と最も多く、感染症対策が契機となり、オンライン採用が広まったことが見て取れる。
新卒者のオンライン採用を開始した回答者に導入理由を尋ねた項目では、「新型コロナウイルス感染症拡大対策のため」の回答が最も多く、94.5%を占めた。次に「時間や距離にとらわれない面接の実現」(29.1%)、「幅広い応募者の獲得」(21.1%)と続いた。
オンライン採用に移行したことで感じるメリットについては、「感染症対策」(82.8%)以外に、「場所を選ばない」(72.9%)、「面接者・応募者双方の時間の効率的活用」(57.8%)、「面接官のスケジュール調整がしやすい」(40.9%)などが上がった。
コロナ禍で対面からオンライン採用に一気に切り替わったことで、応募者、面接者ともに画面越しでの選考に慣れず、戸惑う場面もあるだろう。次に、オンライン新卒採用を導入しているとした回答者にオンライン面接の課題を尋ねた結果を見てみる。
回答者から最も多く上がった課題として「応募者の人柄や雰囲気が伝わりづらい」(70.6%)、「応募者とのコミュニケーションがしづらい」(57.8%)、「通信環境が不安定である」(43.8%)と続く結果となった。画面越しでの面接のやりづらさに関する回答が上位に上る中で、通信環境やセキュリティを課題とする回答者もいる。また、「オンライン面接ツールを使いこなせる人材が不足」との回答も2割弱を占めた。
新型コロナウイルス感染症拡大への緊急対応をきっかけに進んだ企業の新卒者採用活動のオンライン化は、今後も不可逆的に進むことが予想される。最後に、2021年以降の新卒オンライン採用の実施予定について聞いた項目を見ると、「実施する予定である」(75.0%)と回答者のほとんどがオンライン採用を継続する意向を示した。一方で、不安定な環境の中で「わからない」との回答も2割ほどあった。
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