2021年9月13日、RPA BANK はキーマンズネットに移管いたしました。
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プログラムの知識は不要、Excelのマクロを記録するのとほぼ同じ感覚で、PCを使って行うあらゆる作業を記憶させ、人間が担ってきた定型業務の自動化を実現できるRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)。単にその機能を知っただけでは、名だたる企業がいま続々と導入を始めているこの技術の真価を理解するのは難しいかもしれない。日本のビジネスシーンで有望視されるRPAの活用イメージとは、果たしてどのようなものか。さる2月17日、一般社団法人日本RPA協会の大角暢之代表理事が登壇したセミナーの模様から、その一端を紹介する。
東京都港区のアカデミーヒルズで(株)日立製作所が主催したセミナーには、顧客企業の経理・財務担当者らが多数参加した。もっとも、国内における経理・財務の分野では、RPAの著名な導入事例が少ないことも事実。そこで大角氏は、RPAの概念や機能を、基礎知識からさかのぼって詳細に説明。その上で「RPAは現在人間が行っている操作を代行させるもので、業務用システムのように全面的な自動化を目指すものではない」と強調した。
「アプリケーションでの効率化が難しい作業は従来、人間の手で行う以外になかった。そのため、生産性向上の手法として人件費の低い遠隔地での作業が選ばれるようになり、結果として業務中枢でやりたいことがかなわないケースも出ていた。人間の操作を代行させるRPAの活用で、こうした問題を解決できる」。このように説いた大角氏は、RPAが人間とITの間を取り持つ形で機能を発揮する「3層構造」のイメージを提示。すでに工場では労働者の作業をロボットなどのFA(ファクトリーオートメーション)が代行しており、それらロボットに名前が付けられるといった擬人化した運用がなされていることを踏まえて、オフィスワーカーの業務を効率よく代行するRPAも「デジタルレイバー」と呼んで擬人化することを提唱した。
大角氏はまた、人間やアプリケーション開発と比較したときのRPAのメリットを「定型業務の実行は人間よりも圧倒的に早くて正確。24時間・365日の稼働が可能で、しかも現場でのカスタマイズが容易なことからアプリケーション開発による自動化に比べて変化への対応力に優れている」と整理。RPAのデモンストレーションとして、Web上の乗り換え案内サイトで最安の経路を割り出し、申請された内容と照合するという交通費精算の自動チェックを披露した。
大角氏によると、ソフトウエアであるRPAを人間になぞらえて考えたほうがよい理由は「経営層よりも現場が強く、属人的な業務が多い」という日本固有の社内環境にあるという。というのも、日本の企業で生産性向上を図るためには、大規模なシステム投資よりもむしろ現場の創意工夫によってRPAに「仕事を手伝わせる」アプローチを採るほうが現実的なケースが多々あり、その場合に人間の仕事を手伝わせる相手は、やはり同じ人間と考えたほうがスムーズに進むためだ。
この点に関連して講演の中では、沖縄県に集約したバックオフィス業務へいち早くRPAを導入し、成果を挙げているオリックスグループの片平聡CIOへのインタビュー動画を紹介。「RPAに業務を任せるには、属人化が進んだ業務の内容を可視化・単純化することが不可欠。従来『知らない人に教えるより自分でやったほうが早い』と言われていたような業務であっても、実は7割が単純作業で、ここを切り分けてRPAに任せることができる。このように業務を切り出していく作業を全社的に進めてきた結果、部署間の繁閑差が大きいときには、暇なチームのスタッフが忙しいチームを手伝えるようになっている。RPAでも人でも手伝えるということで、両者が違和感なくなじんでいる状況だ」という同社の成功事例が明らかにされた。
なお、紹介された動画の中で片平氏は「RPAを使っていても突発的な不具合はある」と証言。「トラブルへの対策は、病気になりうる人間へ任せるときと変わらない。代替手段を確保しながら、まず小規模な単純作業に導入していった」と、ここでも擬人的な捉え方を徹底していたことを明かしている。
人間がPC上で行っている、あらゆる定型業務を代行させることが可能なRPA。「業務の“粒”が小さく、効率化をあきらめていた人手頼みの業務が、どんな職場にも存在するはず。こうした業務に適用できるRPAを、生産性向上のプラットフォームにしたい」。そう語る大角氏が社長を務めるRPAテクノロジーズ(株)の社内業務では、既に▽見積書・請求書・検収書の作成▽経費の集計・仕訳▽経費ルールのチェック▽帳簿の消し込み▽月次決算のチェック▽要承認取引の自動抽出、といった経理関連の業務にもRPAが活用されているという。RPAの特性を理解した経理・財務のプロフェッショナルが、新たな用途を見いだす日も近そうだ。
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