SaaS(Software as a Service)などデジタルツールの浸透によって、われわれは複数のアプリケーションを使い分けながら業務を進めている。さまざまなツールやサービスによって利便性は増したが、それによって犠牲にしているものがある。
1000人の労働者を対象に、コーネル大学のEllisIdea Labとソフトウェア会社Qatalogが共同で実施した調査によると、デジタルツールを切り替えながら業務を進めたワーカー1000人のうち、45%の生産性が低下したという。また、44%が「作業内容を把握できないことが仕事上のミスにつながった」と回答した。
コラボレーションやストレージ、メッセージングアプリ間の情報を探すのに、1日1時間近くを費やしているという。ワーカーの半数が、アプリの切り替えによって情報が混乱することを懸念しているようだ。
テレワークで次に求められるのは柔軟性だ。従業員が自宅にいようとオフィスにいようと、業務はテクノロジーソリューションに依存しているため、複雑さは増すばかりだ。
多くの労働者はアプリケーションを切り替えながら進めるハイブリッド作業でも敏しょう性を維持したいと考えている。Qatalogのデータによると、従業員の10人に7人は「作業タスクの実行方法に改善の余地がある」と解答した。Asanaのレポート「Anatomy of Work Index 2021」によると、デジタルツールが豊富にある中で、米国の従業員は1日平均30回、13種のアプリケーションを切り替えているという。
ツールプロバイダーは、プラットフォームを微調整しながら、従業員の燃え尽き症候群やメッセージングの過負荷に対応し始めている。
IDCのソーシャルコラボレーションのリサーチディレクター、ウェイン・カーツマン氏は、「コラボレーションツールの主要企業は、環境の切り替えとアプリの切り替えを減らして従業員が自分の仕事に集中できるようにしようとしている」と語る。
Googleは、Google Workspaceの「人、トピック、プロジェクト」を一元化することを目的とした「Google Chat」のRoomsの更新を発表した。Microsoftも「Microsoft Teams」で新しいWhiteboard機能をリリースし、ユーザー間の同期コラボレーションが可能になった。
企業はCIO(情報統括役員)とIT部門に従業員の生産性のサポートを任せている。テクノロジープラットフォームに蓄積された知見が非常に多いため、企業が効率的に運営を継続し、依存しているテクノロジーから混乱なく価値を引き出せるかどうかは、技術者にかかっている。
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