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» 2021年11月09日 14時47分 公開

なぜRPA幻滅期の沼は深いのか――弱点から探る現実的な自動化の道

数年来のブームが落ち着き「期待外れ」の声もささやかれたRPAだが、メディアで取り上げられるような一部の企業でしか効果を出せないものなのか。導入ユーザーのコメントなどを基に、RPAが期待はずれと言われる“本当の理由”と、RPAをより賢く使うためのヒントを探る。

[溝田萌里,キーマンズネット]

 2020年には幻滅期の底を脱して普及期に移ったとされるRPA(Robotic Process Automation)。今後はAI(人工知能)などのテクノロジーを組み合わせた「ハイパーオートメーション」分野でのさらなる需要拡大が期待される。

 本連載(全5回)では“RPA活用の現在地”を探るため、キーマンズネット編集部が実施したアンケート調査(2021年9月16日〜10月8日、有効回答数378件)を基に、RPAの導入状況と社内各部署への展開状況、問題点や得られた成果など、RPA活用の実態を分析する。

 数年来のブームが落ち着き「期待外れ」の声もささやかれたRPAだが、メディアで取り上げられるような一部の企業でしか効果を出せないものなのか。第2回となる本稿では、RPAを本格展開する際の課題や弱点を基に、RPAが期待はずれと言われる“本当の理由”と、期待RPAをより賢く使うためのヒントを探る。

■連載目次

  • RPA離脱企業はここでハマった 「業務自動化しくじり企業」から学ぶ次善策
  • RPA幻滅期の深すぎる沼 弱点から見える現実的なハイパーオートメーション

一部の自動化では費用対効果が出ないという壁

 RPAの導入率を紹介した第1回では、2020年に実施した前回調査で12.6%だった「トライアル実施中」が今回は11.6%に、「本格展開中」は21.3%から30.2%に、「本格展開完了」は6.3%から9.8%となり、トライアルで展開イメージをつかんだ企業が展開に移り、展開中だった企業が展開完了に進んだ割合が増えたと考察した。だが、RPAの導入に足踏みする企業も一定数存在する(図1)。

 RPA導入の障壁は幾つも考えられるが、調査結果からは開発スキル人材の不足や業務の棚卸しなどの負荷、投資対効果を算出する難しさなどが特に深刻な課題であると明らかになった。投資対効果の課題は「一度は導入したが取りやめた」とした回答者からも挙がっており、「導入時に手間が掛かり、適応範囲が思ったよりも少なく工数削減にならなかった」「RPAによって自動化できる業務が少なかった」「対象業務が見つけられなかった」などの声が寄せられた。

RPAが「期待はずれ」と言われる本当の理由

 以上は第1回で考察した導入フェーズの障壁だが、RPAを本格展開する際もこうした問題は付いて回る。RPAの導入プロジェクトは一部門あるいは任意の業務で成果を出した後に横展開することが定石だが、ライセンス費用やサポート費用だけでなく、開発したRPAを保守、運用する工数も鑑みて利益を算出しなければならない。こうしたハードルが期待外れという意見につながっているようだ。

 以下は、「RPAを本格展開中」の企業の読者から寄せられたコメントだ。

 弊社のデータ整備作業は煩雑なのでRPAで自動化するには向いていない。向いていない旨を上司には知らせているが会社側の意向でRPA化を進めざる得ない状態にある。現状は、かなり無理をしてRPA化を行っているが、開発工数がシステム開発をした場合の開発工数と比べてもメリットが出ない状態になっている。また、掛けた工数のわりに削減工数が小さい場合が増えてきており、現場からの要求に対して自動化不可の返事をするケースが増えてきた。RPA化が工数削減の金字塔のように思われている節があるが適応業務を選ばないと効果は上がらない。RPA化してメリットがある作業がどこの企業にも大量にあるわけではない事を考えると、導入するにしても対象業務がどの程度あるのかを正確に把握しておくことが必要だと思う。対象業務が少ない場合はRPAの導入はしないという判断も当然必要だろう。


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