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嫌な“職場ノリ”がオンラインで増長、報復を恐れる従業員とリモハラの実態

リモート環境におけるハラスメント経験者は4割近い。「職場ノリ」ともいえるオフィス独特の雰囲気がそのままチャットなどの閉じた仮想空間に移行したことで、ハラスメントもオンライン化してしまったようだ。リモートハラスメントの実態と企業が取るべき対策とは。

» 2022年02月01日 06時00分 公開
[Claire SchmidtHR Dive]
HR Dive

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で多くの企業がリモート勤務に移行したが、職場でのハラスメント(嫌がらせ)についてこれまで以上に耳にするようになった。これはハラスメントの増加を意味するのだろうか。

コミュニケーション仮想化の弊害? リモートハラスメント

 COVID-19の感染対策として対面業務が減少したことで、ハラスメントが減少もしくはなくなるのではないかと考えた人もいるだろう。ハラスメントは当事者同士が同じ室内など近くにいる時に発生すると考えられがちだが、実はそうではない。

 職場でのハラスメントの状況に関する調査「State of Workplace Harassment 2021」(注1)によると、回答したビジネスパーソンの38%が「リモートでハラスメントを経験している」と述べた。ハラスメントは、電子メールやビデオ会議、チャットツール、電話などのリモートでのコミュニケーション手段を介して発生する。

 さらに、ビジネスパーソンの24%は「コミュニケーション手段を介することで、以前よりもハラスメントが悪化している」と考える。企業はこの事態と向き合い適切な対応策を進めなければならない。

報復を恐れる従業員たち、ハラスメントを終わらせるためには

 New York Timesは、この傾向について「職場のコミュニケーションにおける独特の空気感や雰囲気が仮想空間に移行したこと」「コミュニケーションを誰も見ていないことが分かると不正行為が横行すること」「パンデミックによるストレスで短気を起こしがちであること」を原因に挙げる(注2)。

 調査によれば、ハラスメントを経験した従業員が告発を控えた最大の理由は「報復の恐れ」だった。ハラスメントの告発によって、チームから敬遠されたり、職場で恥をかかされたり、悪いうわさを流されたり、仕事の機会を失ったり――。最悪の場合、職場から完全に追放される可能性など、従業員は組織による報復を恐れる傾向にある。

 事実、米国の国立女性司法センター(National Women’s Law Center)の調査によると、ハラスメントを告発した従業員の70%以上が報復に遭っている。(注3)

 告発に抵抗を感じる人が多い中、従業員がハラスメントの告発に踏み切れるかどうかは、従業員の立場を守りながら告発を可能とするツールと、ツールを使えば確実に伝達可能な仕組みが整っていることが重要だ。

 これらの仕組みが整っていなければ次のような問題が発生するだろう。例えば、職場に「オープンドアポリシー」があり、従業員が懸念事項について人事部門に相談するよう勧められていても、人事部が門前払いしていてはポリシーは無価値なものとなる。問題が起きた時はマネジャーへ報告するよう奨励していても、マネジャーからハラスメントを受けている場合は相談窓口として機能しない。企業が職場の問題を表面化するために設計した調査で100%の匿名性を約束しておきながら、ある従業員が回答を完了していないと電子メールで共有されれば匿名性の確保について信頼することは難しい。

 企業は、ツールとリソースは従業員が報告しやすくするためのものとしているが、率直なフィードバックを収集するには至っていないのが実情だ。問題を表面化するための努力を重視する企業は、従業員が何を必要としているかに耳を傾け、告発や相談を正当なものとする文化の醸成が重要だ。

 そのためには、匿名の報告チャネルを提供し、発言者が報復を受けることなく、報告内容を解決できるようにする必要がある。この仕組み作りに成功すれば職場文化をより良いものに変え、ハラスメントを過去のものにできる。

SNSにより変化したハラスメント対応

 ハラスメントについて耳にする機会が増えた理由は、ハラスメントそのものの増加ではなく従来よりも身の回りのハラスメントを意識するビジネスパーソンが増加したからだ。SNSの利用が一般化する前は、解決が難しく放置されていた組織内部の問題に対して頼るすべがなく、対処を諦め転職を考えることもあった。

 しかし最近は、問題を解決できず報復を受けたり、信用されなかったりすれば、会社や組織で起きたことを社会に公表できるようになった。例えば、スーザン・ファウラー氏がUberの問題を告発したことに対し、報復を受けたと主張するブログ投稿などが記憶に新しい。さらに、GoogleとAmazonの従業員が差別とハラスメントに対する申し立てを提起したり、Appleの従業員はハラスメントと人種差別についての申し立てを表沙汰にするためのWebサイトを立ち上げたりといった活動も目立つ。

 このように組織外への公表が容易になったことでハラスメント問題解決の主導権は従業員に移った。企業は社内で起きたことを隠蔽(いんぺい)できなくなり、問題が表面化したときは解決に向けて行動しなければならない。従業員は、職責や仕事を不当に失う心配なく、自分の周囲の問題を提起する方法を必要としている。そして問題を提起する手段を得たら、今度は企業がそれらの問題を解決することを期待する。

 従業員からの率直なフィードバックを表面化させるために、企業はどのようなツールとリソースを提供すべきかが焦点となる。あるいは、従業員が実際に使用可能な報告チャネルを提供するためにツールを刷新する必要があるかを検討する必要がある。また、組織文化についても深く検討し、一部の従業員だけでなく、全ての従業員にとって健全であるかを見直すことも重要だ。より良いフィードバックプログラムを準備し、従業員が心理的に安全であると感じてもらう手段を選ばなければならない。

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