コンタクトセンター業務の自動化に関する実証実験が始まった。機械学習技術を活用して、自動車保険の車両入替に必要な項目を、電話の通話内容から自動的に抽出するという。どのような技術なのだろうか。
あいおいニッセイ同和損害保険とユニフォア・テクノロジーズ・ジャパンは2022年3月3日、コンタクトセンター業務の自動化に関する実証実験を開始すると発表した。ユニフォアの通話要約システム「U-Assist」を活用し、自動車保険の車両入替に必要な項目を、電話の通話内容から自動的に抽出する。
現在、あいおいニッセイ同和損害では、電話を受け付けた担当者が顧客の問い合わせ内容を分類し、その内容を要約した上で関連する営業店や代理店に渡している。その件数は年間約100万件に及び、通話中や通話終了後の事務処理に多くの時間がかかっている。同社では、音声データのテキスト化や自動要約システムの導入を検討しているものの、日本語独特の同音異義語や似た発音の単語が多いことから、自動化の本格運用には課題があったという。そこで現状の課題克服に向けて、世界10ヵ国100社以上のコンタクトセンターに通話分類、自動要約システムを導入するユニフォアのコア技術であるU-Assistを活用した実証実験を実施することとなった。
U-Assistの技術的特徴は次の通りだ。
まず通話内容を分類するキーワードと、通話データの活用方法に応じた要約項目をあらかじめ設定する。その上で機械学習を活用した言語理解モデルを用いて、分類精度を高める。音声データを渡すとテキスト化と分類、要約を一元的に処理してくれる。
今回の実証実験では、あいおいニッセイ同和損保が保有する約2000件、延べ80時間分の通話データを使う。まず、要約に必要な複数の項目をあらかじめU-Assistに機械学習させておく。ユニフォアが国内に構築したクラウド環境で、通話データをU-Assistを使って「自動車保険の車両入替に関するもの」と「それ以外」に分類し、車両入替に分類した通話データから必要な項目を自動的に抽出する。分類と自動要約化の精度は、U-Assistが出力した内容と通話データを照合して検証する。
あいおいニッセイ同和損保では、今回の実証実験の手法や精度を検証して、U-Assistの導入を検討するとしている。一方のユニフォアは、今回の検証を踏まえて、日本国内のコンタクトセンター業務でのリアルタイムコミュニケーター支援の実用化を目指すとしている。
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