本連載の番外編の本稿では、IT投資の増減の見込み、勤務先における重要課題、投資を予定している項目、興味、関心のある項目について尋ねた結果をまとめた。2021年度とは違う、新たなIT投資動向が明らかになる。
キーマンズネット編集部は2022年に注目すべきトピックスとして「セキュリティ」「SaaS」「従業員コミュニケーション」「Windows 11」「オフィス」「デジタルスキル」「人事制度」の7つのトピックスを抽出し、読者調査を実施した(実施期間:2021年11月10日〜12月11日、有効回答数678件)。企業における2022年のIT投資意向と併せて調査結果を全8回でお届けする。
番外編となる本稿のテーマは「IT投資」だ。
2021年に公開した前回の調査(調査期間:2020年11月10日〜12月11日)を振り返ると、勤務先で重要課題だと位置付けている項目として「コロナ禍による従業員のワークスタイル変革への対応」や「人材育成」「従業員間の情報、ナレッジ共有」が挙げられていた。
それに関連してか、2021年の投資予定の項目としては、「社内IT基盤(サーバ/ストレージ/ネットワークなど)」や「セキュリティ対策」「テレワーク/モバイルワーク環境整備」など、テレワークに関連すると思われる項目が上位を占めた。
2021年度は多くの企業でテレワークシフトが一段落し、テレワークに伴うインフラ基盤への投資は落ち着いたかのように思われる。本調査では、企業が2022年度のIT投資をどう考えているのかを明らかにし、IT投資の増減や投資対象の変化、傾向を探っていく。
まず、回答者の勤務先において2022年度のIT予算は2021年度と比べてどのように増減する見込みかを尋ねたところ、「分からない」を除くと、最も多かったのが「ほぼ同じ」で46.2%、「減額される」が7.5%、「増額される」は11.4%だった(図1)。
2021年の投資状況も2020年と比べて「ほぼ同じ」が45.6%を占めていたため、2020年から2022年にかけてIT予算は横ばいの状況が続いているのが分かる。
今勤務先で重要課題だと位置付けている項目について、24項目の中から選択式で回答を求めたところ(複数選択可)、1位が「人材育成」(43.5%)、2位が「業務の省力化」(36.6%)、3位が「従業員間の情報、ナレッジ共有」(35.1%)、4位が「IT人材の不足、高齢化」(30.8%)であった(図2)。
1位に「人材育成」、4位に「IT人材の不足、高齢化」がランクインしていることから企業にとって人手不足が深刻な課題であることが分かる。その影響してか、「業務省力化」「従業員間の情報、ナレッジ共有」といった人手不足を補う取り組みが重要な課題として挙げられている。
以降で、企業で重要される課題に対する投資の内情を見ていく。
勤務先で投資を予定している項目について聞いたところ(複数回答可)、1位は「セキュリティ対策」で21.4%、2位が「社内IT基盤(サーバ/ストレージ/ネットワークなど)」22.1%、3位が「脱ハンコ/ペーパーレス化」で19.5%となった(図3)。
2021年度は上位から「社内IT基盤(サーバ/ストレージ/ネットワークなど)」「セキュリティ」「テレワーク/モバイルワーク環境整備」が続いたのに対し、2022年度は「テレワーク/モバイルワーク環境整備」が8位であることから、テレワークへの対応は一段落し、テレワークにより生まれたセキュリティへの対策が重視されるフェーズに入ったと予想される。
次に、投資の有無とは別に、読者が興味、関心を寄せる項目について尋ねたところ、1位が「AI/機械学習」(36.9%)、2位が「セキュリティ対策」(36.3%)、3位が「データ活用/分析」(34.4%)となった(図4)。
投資を予定する項目の調査では「AI/機械学習」「データ活用/分析」ともに上位5位に入らず、関心がある項目と実際に投資がされる項目の間にギャップがある。
ただ、企業規模別で投資を予定する項目を見ると、企業規模が大きくなるほど「AI/機械学習」「データ活用/分析」に対する投資割合が高くなるのが分かる(図5、6)。
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