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2022年度の「IT導入補助金」は何がどうなる? 3分で分かる変更点と新設枠

制度開始から6年目を数える「IT導入補助金」。コロナ禍における中小企業のビジネスを支援しようと特別枠を新設するなど、社会情勢を読み取ってその都度措置が講じられてきた。2022年度の補助金制度はどこがどう変わるのか。

» 2022年03月17日 07時00分 公開
[土肥正弘ドキュメント工房]

 「IT導入補助金」とは、中小企業および小規模事業者を対象に、自社の課題やニーズに合ったITツールの導入費用の一部を国が補助する制度だ。効果として、業務効率化や売り上げの向上、人手不足の解消や働き方改革の促進などが期待されている。2022年度のIT補助金制度について、ミロク情報サービスでITコンサルを務める佐藤 航氏の解説を基に、各募集枠の概要と新設枠、変更点についてまとめた。

2022年度IT導入補助金3枠の概要と補助金額まとめ

 IT導入補助金は、2022年度で制度開始から6年目を迎える。補助対象とする企業は業種や組織形態によって資本金と従業員数の上限が定められており、製造業や建設業、運輸業では、資本金3億円以下または従業員数300人以下といった条件が設定されている(IT導入補助金事務局であるサービスデザイン推進協議会Webサイトで確認可能)。

 補助金の募集枠は「通常枠」と、インボイス制度対応として2022年度に設置される「新設枠」の2種類で、加えて特別枠に新類型が設けられた。各募集枠の概要とその違い、補助金額、2022年度の変更点について以下にまとめた。なお、公開情報は本稿公開時点のもので、今後変更される可能性もある。

通常枠(A類型、B類型)

 通常枠の補助額の上限はソフトウェア購入費用と導入作業費用の合計額の2分の1までとなり、最大450万円までが補助される。クラウドサービスについては、1年間の利用料が対象経費となる。PCやサーバなどの機器購入費用は対象外だ。

新設枠(デジタル化基盤導入類型)

 2022年度のIT導入補助金では、2023年10月1日に施行が予定されている消費税の仕入税額控除方式「インボイス制度」への対応を考慮した新設枠(デジタル化基盤導入類型)が設けられる。

 対象企業となるのは通常枠と同じく中小企業や小規模事業者などで、会計・受発注、決済、ECソフトの導入および作業費用が補助対象となる。クラウドサービスについては、通常枠よりも長い2年分の利用料が対象となる。

 また、ハードウェアの導入については通常枠と異なり、PCやサーバ、タブレット、POSレジ、発券機などの費用も補助対象に含まれる。これまではハードウェアに対する補助はレンタルに限るなどの条件があったが、この新設枠では一部のハードウェアの購入費用も補助対象として含められる。

 ソフトウェア購入に関する補助額は50万円までで、補助率は4分の3まで。50万円以上の場合は最大350万円の補助が受けられ、補助率は3分の2までとなる。

 PCやサーバ、タブレットなどの購入については最大10万円、補助率は2分の1までとなる。POSレジや発券機の導入については最大20万円、補助率は2分の1までだ。

特別枠(複数社連携IT導入類型)

 特別枠に「複数社連携IT導入類型」が新設された。地域DX(デジタルトランスフォーメーション)の実現や生産性の向上を目的として、複数の中小・小規模事業者が連携してITツールの導入およびハードウェアの導入を支援するための新規類型だ。主には商工団体(商工会議所や事業協同組合、商店街振興組合など)や、まちづくり会社、観光地域づくり法人での利用を想定する。

 利用のモデルケースとしては、商店街の各店に共通のPOSレジを導入し、購買分析などでの利用が想定される。ITツールとソフトウェアに加えて、地域の事業者が効果的に連携するためのコーディネート費や、取り組みに対して助言する外部専門家にかかる謝礼金も補助対象となる。


 IT導入補助金は、システム導入によって各企業の課題解決と業務のデジタル化を支援するためとされており、補助対象となるITツールは「補助金事務局に認定された各種ソフトウェア」でなければならない。特別枠の場合は、PCやタブレット、POSレジ、券売機なども対象になるが、認定外のITツールやオーダーメイドのシステムは補助の対象外となる。

 認定されたITツールとは、ITベンダーが補助金事務局に登録し、事務局が認定したもので、補助を受けたい組織がITベンダーに注文して導入する形を採る。

 また他の補助金や助成金制度と異なり、補助金の交付を受けたい組織だけで申請を完結することはできず、国から指定された「IT導入支援事業者」が申請手続きをサポートする仕組みになっている。

本稿は、オンラインセミナー「中小企業支援策・補助金活用セミナー 〜コロナ禍の影響を乗り越え、事業価値の向上を実現する支援策の活用〜」(共催:ミロク情報サービス、埼玉りそな銀行)における佐藤 航氏(ミロク情報サービス ソリューション関東信越支社)の講演内容を基に編集部で再構成した。

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