IDC Japanは「2022年国内プリント環境導入判断者調査」の結果を発表した。コロナ禍で印刷量は大きく減少した一方で、印刷機器は大幅減少のトレンドとはならなかった。また、印刷量減少は在宅勤務が一番の理由というわけではないことも分かった。
IDC Japan(以下、IDC)は2022年4月28日、「2022年国内プリント環境導入判断者調査」の結果を発表した。同調査の対象は、国内ユーザー企業でオフィスプリント環境の導入判断に関わる正社員1125人で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響や感染収束後の機器導入方針などを調べたものだ。調査によると、COVID-19の影響で減少した印刷量は元に戻らない可能性が高く、その最大の理由は在宅勤務ではなく別にあることも分かった。
コロナ禍で印刷量が「減少した」と回答した人の割合は3割以上だ。そうした回答者の7割が、COVID-19の収束後も印刷量が「減少したまま」あるいは「さらに減少する」と回答した。IDCでは、同感染症の影響で減少した印刷量は簡単には元に戻らないとしている。その最大の理由は、在宅勤務が広がり出勤する従業員が減少したことではなかった。
印刷機器の設置台数が「減少した」と回答した人の割合は全体の14.0%で、設置台数に大きな変化はなかった。さらに設置台数が「変わらなかった」と回答した人のうち、設置台数を削減予定とした人の割合は7.8%だ。IDCは「印刷機器の設置台数削減は現状トレンドとはなっていないものの今後は注意が必要」としている。印刷量が減少した最大の理由と印刷機器の設置台数について注意が必要となる理由はなんだろうか。
まず、印刷量が減少した最大の理由はコロナ禍をきっかけとした業務のデジタル化だった。業務のデジタル化を「印刷量がさらに減少する理由」に挙げた人の割合は71.3%に及んだ。
印刷機器の設置台数の削減も現在はトレンドになっていないものの、今後同様の理由で減少につながっていくとみられる。印刷機器を削減した企業が最も多く上げた理由は「業務のデジタル化」と「紙で保存する文書の減少」で、回答率はどちらも38.9%だった。この割合は、設置台数を削減予定とした企業に限るとさらに上がり、「業務デジタル化」が65.5%、「紙で保存する文書の減少」が47.3%だ。IDCでは、ワークフローをデジタル化した結果として印刷量が減少し、そのことが印刷機器の設置台数削減につながっていくとしている。
印刷量減少のきっかけになるワークフローのデジタル化を推進する企業の割合は、大企業では74.9%、中堅/中小業では63.6%、小規模企業では44.4%だった。これらの企業では、複合機のセキュリティ機能やクラウド連携機能を必要としている。今回の調査で、この2つの機能が重要だと回答した人の割合は、それぞれ53.8%と39.1%だった。
IDC Japanでイメージング、プリンティング&ドキュメントソリューションのリサーチマネジャーを務める杉内秀行氏は「新型コロナウイルス感染症の拡大がワークフローのデジタル化を加速する可能性がある。ワークフローをデジタル化するには、複合機のセキュリティ機能やクラウド連携機能が特に重要だ」と述べている。
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