最近の報道で、世界的な大手企業Googleの文化的な問題に焦点が当てられている。情報筋がHR Dive伝えた話では、自由度(autonomy:自律性)がGoogle社員の最大の要求だという。
Business Insiderの報道によると、昨今、Googleの社内調査で「報酬への不満」が高まっていることが明らかになった。Google社員の53%が「他社の同様の職種と比較して、自分の報酬総額に競争力がある」と好意的に回答したが、2021年の同項目の回答割合が63%だったことから10ポイント低下したと報じている。
Googleのスポークスパーソンは、Business Insiderが引用した統計に対して情報が正確かどうかを断言しなかったが、HR Diveに対し電子メールで以下の声明を伝えた。「当社は、従業員が働く場所について多くの選択肢を持ち、従業員には十分な報酬を保証している。そのため、給与、株式、休暇、福利厚生のパッケージにおいて、常に市場最高水準の報酬を提供してきた。従業員のフィードバックを得ることは重要だ。今後も従業員が働く全ての場所で競争力のある報酬を提供し、Googleでのキャリアアップを支援する」――。
しかし、Googleで働く従業員にとって問題となっているのは給与だけではない。66%のGoogle社員が“とある待遇内容”に対して「満足していない」と回答した。
Blindの広報ディレクターであるリック・チェン氏によると、複数の大手ハイテク企業の従業員で構成される匿名のオンラインプラットフォーム「Blind」において、報酬と福利厚生の項目においてGoogleは1位のMeta(Facebook)、2位のNVIDIA、3位のLyftに続く第4位だという。そんな世界屈指の企業Googleで、今なぜ給与や待遇に対する懸念が高まっているのだろうか。
Business Insiderが参照元とした社内調査・年鑑「Googlegeist」は、回答率が高いことで知られる。Googleの従業員を対象とした他の調査でも、同社の給与の満足度について似たような結果が示された。さらにBlindで確認されたGoogle社員への調査でも、67%が他社の同様の職務と比較して、「自分の報酬は公平だ」と考えていることが分かった。
しかし、Googleは給与慣行が訴訟の対象にもなったことがある。2021年、同社はカリフォルニア州とワシントン州の一部の拠点で賃金差別があったとして、米労働省連邦契約順守プログラム局(the U.S. Department of Labor's Office of Federal Contract Compliance Programs)との和解の一環として、5500人の従業員に380万ドルを支払った。
Googleのプロフェッショナルの間で分裂を引き起こしているのは、給与の問題だけではない。Business Insiderは、「オフィス勤務に戻らずにテレワークを続けることを選択した従業員は、最大25%の給与カットに直面する可能性がある」とも報じた。CNBCによるとGoogleは「2022年4月4日までに、米国の多くの拠点で自主的な在宅勤務期間を終了する」と発表した。
2022年3月にBlindが米国のGoogle社員1097人を対象に実施した調査では、「特定の労働者に週3日以上のオフィス勤務を義務付ける」という計画に66%が「満足していない」と回答した。
その一方、Blindの調査では、ほとんどの回答者が「永続的にテレワークを実施する予定はない」とも回答する。Blindがその理由を分析したところ、前述した給与カットの可能性やテレワークを推奨しない指導部や経営陣からのメッセージなどが挙げられているという。
この結果や、Blindに寄せられたGoogleのプロフェッショナルからの書面回答は、「会社の方針に関して発言権がないことに対する不満を表している」とチェン氏は説明する。
「会社が聞く耳を持っていないと感じている従業員が多い。これはGoogleに限ったことではないと思う。この不満は、自由度と選択肢を持つことができないことに対し全ての労働者が抱く絶望感のようなものだ」と同氏は述べている。
このような背景から、Googleの従業員の中には組合結成を目指す者も出てきている。2021年、同社の従業員のうち500人以上がAlphabet Workers Unionの結成に署名した。
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