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ワークフローツールの導入状況(2022年)/後編

キーマンズネットは2022年8月9日〜12日にわたり「ワークフローツールの導入状況」に関する調査を実施した。Excelや紙を使った「人力ワークフロー」で良いとする風潮があることも分かった。

» 2022年09月15日 13時44分 公開
[キーマンズネット]

 キーマンズネットは2022年8月9日〜12日にわたり「ワークフローツールの導入状況」に関する調査を実施した。後編となる本稿は、ワークフローツールの「導入形態」や「導入目的」「業務利用シーン」や「利用満足度」などを調査した。

4割が“人力ワークフロー”に頼る実態

 今回の調査で、ワークフローツールの導入率は63.4%だった。未導入企業の内訳は「分からない(10.2%)」を除くと「導入しておらず、興味はある」(11.2%)、「導入しておらず、今後も導入するつもりはない」(7.8%)、「導入しておらず、具体的な導入に向けて検討中」(7.3%)となり、未導入でも関心が高いことが分かる(図1)。

図1 ワークフローツールの導入率

 ワークフローツールの導入目的は「ペーパーレス・脱ハンコ」(75.6%)、「決済時間の短縮」(58.9%)、「内部統制の強化」(44.0%)が上位に挙がり、多くの企業で支持されていた(図2)。ペーパーレスがひいてはテレワーク対応や働き方改革につながるという見方もできるが、何よりよりも”紙運用からの脱却”による効率化や内部統制が喫緊の課題であることが見て取れる。

図2 ワークフローツールの導入目的

 一方、ワークフローを導入しない理由を聞いたところ、「ツールを導入しなくても担当者の運用でカバーできるため」(43.8)が最も回答を集めた。前編では、Ecelや紙での運用が非効率だという読者の不満を明らかにしたが、それでも「ツールを使わない」という考えもあるようだ。その他、「グループウェアなど、他のツールの機能でカバーできるため」(25.0%)、「業務を電子化できていないため」(18.8%)、「ワークフローツールがどういったものかが不明なため」(6.3%)などが続いた。

42.3%がワークフローツールと連携させているツールは?

 導入企業はワークフローツールをどのような業務で利用しているのだろうか。「稟議書類管理(72.0%)」、次いで「経費・旅費精算管理(67.3%)」「勤怠管理(51.2%)」が上位に並び、頻度や重要性の高いと思われる業務を中心に過半数の票が集まっていた(図3)。

図3 ワークフローツールをどのような業務に利用しているか

 ワークフローツールをより有効活用するために連携させているツールとしては「グループウェア」(42.3%)が最も多かった(図4)。情報共有やコミュニケーションの円滑化に寄与するグループウェアはユーザーの利用頻度も高く、ワークフローツールと連携させることでスムーズかつスピーディーな申請・承認運用が期待できる。2位に挙がった「文書管理」(18.5%)は、申請・承認後の書類の電子化はもちろん保管や保存、破棄に至るまでを適切に管理できる。

図4 今後ワークフローツールと連係したいツール

 最近ではグループウェアのような情報系ツール側にワークフロー機能が実装されているケースも増えてきている。実際ワークフローツールの導入形態を聞いたところ「グループウェアの一機能として(40.5%)」や「文書管理ツールの一機能として(8.9%)」といった回答が票を集めた(図5)

 一方で「ワークフローパッケージ(ソフトウェア)」や「ワークフローパッケージ(ASP・SaaS)」(36.9%)や「自社開発」(23.2%)の回答率も極端に低いわけではなく、業務に合わせてさまざまな方法を使い分けているケースもあると想像できる。

図5 ワークフローツールの導入形態

リプレース、利用停止「予定あり」1割未満

 最後に利用中のワークフローツールに対する満足度を調査したところ「とても満足(5.4%)と「まあ満足(57.7%)」を合わせ63.1%と過半数だった。

 「満足」とした回答者からは「どこからでも申請書を提出、承認でき、承認後のデータを活用して残業や有給休暇などを給与計算システムへ反映できるので、事務処理の効率化が図れる」や「テレワークに対応できた。承認時間が短縮された」「紙の申請に比べれば申請から承認までの時間は短縮されている。差戻しがあった場合に理由が文字で記載されるので、取り間違えが少なくなる」など、業務効率化やリモートワークの実現を理由に挙げる声が多かった。

 一方「やや不満」(30.8%)、「とても不満」(6.2%)とした回答者からは「完全にワークフローツールに移行できているわけではなく、書類を作成したり原本を並行して回覧する必要があり、手間や2重管理が発生している点に課題がある」「ワークフローツールの操作性も見た目も使い勝手が悪く、ツールが周辺業務と連動もしておらず、マニュアルやガイドも不十分だから」「操作感が良くない。設定が面倒。前後の業務と自動で連携できていない」「あらゆる申請書類をワークフロー化しているため便利な反面、申請先ルートなどが煩雑になり、情報システム部門の仕事が煩雑になる」などの使い勝手の悪さや手間を指摘する声もあった。

 なお、全回答者数205人のうち、情報システム部門が31.2%、製造・生産部門が15.6%、営業・販売部門が12.2%、経営者・経営企画部門が7.8%といった内訳であった。なお、グラフ内で使用している合計値と合計欄の値が丸め誤差により一致しない場合があるので、事前にご了承いただきたい。

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