RPAは企業におけるルーティン業務を自動化してきたが、コロナ禍を通してテレワークが普及した中でも、その役割を維持できているかどうかは疑問が残る。第3回の本稿はRPAの「コロナ禍の利用」について考察する。
RPAは企業のルーティン業務を自動化することで、人間がより創造的な業務に専念できるようにしてきた。しかしコロナ禍を通してテレワークが普及した中でも、その役割を維持できているかどうかは疑問が残る。
RPA活用の現在地を探るために、キーマンズネットは「業務自動化に関する意識調査2022年」と題してアンケート調査を実施した(期間:2022年9月14日〜10月17日、有効回答数:518件)。本連載は、全7回にわたってアンケート調査から得られた結果を基に活用状況と課題、発生したトラブルなどを紹介する。なお、グラフで使用している数値は、丸め誤差によって合計が100%にならない場合があるため、ご了承いただきたい。
第3回のテーマは、RPAの「コロナ禍の利用」だ。まず、テレワーク環境におけるRPAの利用について聞いた。その結果「通常通り利用している」という回答は約半数にすぎなかった(図1)。
回答者のうち10.7%が「環境が整備できず利用できない」、8.7%が「環境要因(ポリシーなど)で利用できない」と回答しており、2割近くがRPAの利用にコロナ禍の影響があることが分かる。
ただ、自由記述の回答には「テレワークの方が早かったので最初からテレワーク環境下(で運用)」や「社外からVPN接続で利用中」といったコメントが寄せられており、長引くコロナ禍の最中にテレワークに合ったRPAを導入したり、VPNを活用したりして運用できている様子も見て取れる。
コロナ禍にRPAを利用する上で発生した(しそうな)問題について聞いたところ、約半数の53.4%が「特にない」と回答した。また、約25.7%が「ロボットが停止した時の対応が難しくなった」や11.7%が「ロボットの稼働状況の管理が難しくなった」と回答していることから、クライアントPCでRPAを稼働させている企業が存在することが分かる(図2)。
自由記述の回答にも「社内の実機を操作する必要がある場面で、テレワークでの対応が困難」や「リモートで開発ができない」といったコメントが寄せられていることから、テレワーク環境でも安定してRPAを稼働できる状況を作ることが今後の課題になると思われる。
コロナ禍によってRPAに生じた問題にどのように対応しているかを聞いたところ、最も多かった回答は「特にない」(60.2%)だった(図3)。
対策しているという回答で多かったのは「オンラインの展示会やセミナー、イベントに参加した」(21.8%)や「オンラインでの研修やコンサルティングを受けている」(16.5%)であることから、オンラインで何かしらの方法を模索をしている様子を見て取れる。
「その他」に寄せられたフリーコメントには「開発委託案件はWeb会議で操作権を託して実施」や「実行環境を専用に設けてあるので従業員が出社しているかどうかに影響されない」といったものが目立ち、リモート環境でのRPAを稼働する工夫をしているのが分かる。
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