人事担当者にとって人材獲得はもはや最優先事項ではないとの調査結果が出ている。景気の悪化が目前に迫る中、先を見越した人事担当者の一番の関心事は。
2021年、Latticeの調査を受けた人事担当者の約40%が「人材獲得が今後12カ月間の優先事項である」と回答した。しかし、2022年に同様の回答をした人は17%に過ぎない(注1)。
人材獲得はもはや人事担当者の最優先事項ではないという調査結果が出ている。果たして、人事担当者の一番の関心事はなんだろうか。
さまざまな要因が採用活動の状況を悪化させている。「大辞職」(the Great Resignation)と「大異動」(the Great Reshuffle)は常に起こり、「静かな退職」の議論は2022年の夏から秋にかけて繰り広げられた。
景気の悪化が目前に迫り、多くの雇用主が組織的な人材流出を懸念する中、人事部はリテンションと従業員の育成へと戦略をシフトしている。
Latticeの研究者は「リテンションとエンゲージメントを向上させることは、ほとんどのチームにとっての高い目標だ」と述べている(注2)。そんな中、高い成果を上げている人事チームにはいくつかの共通点があると指摘されている。
1つ目は、「従業員の心に寄り添うプログラム」に投資していることだ。「人材パイプライン」(学習パートナーシップ)を構築した企業が引き続き繁栄していることは、人事のトレンドと一致している(注3)。また、「ERG」(従業員リソースグループ)は、政情不安や文化的混乱、アイデンティティーに起因するトラウマなどを通じて、社会から疎外された人々を支援することで、その価値を証明している(注4)。
2つ目は、「給与を業績と連動させ、報酬戦略について透明性を持っている」ことだ。財務的な優先順位に関する教訓として、給与や福利厚生で人材を引き付ける試みから求人情報における給与開示の義務化まで、2023年以降も人事部門にとって金銭は最重要事項である可能性が高い(注5、6)。
最後は「従業員のための学習・開発プログラム(L&D)、すなわちスキルアップとキャリアコーチングに投資している」ことだ。L&Dの重要な点は、従業員(特にZ世代)が学習機会を優先事項として人事研究者に伝え続けていることだ(注7)。人事担当者もこの機会にスキルアップを図れるだろう。
「2022 Heidrick & Struggles」レポートは、「お金の知識」を持つ人事マネジャーが高く評価されるようになることを示している。Business Talent Groupは2022年、福利厚生計画の専門家に対する需要が100%増加し、報酬戦略家に対する需要が215%増加すると報告している(注8)。
出典:HR is more worried about retention than hiring, data suggests(HR Dive)
注1:2023 State of People Strategy Report
注2:Hiring is HR’s No. 1 priority and challenge. What now?
注3:2 years into pandemic, learning partnerships crucial to talent search
注4:How ERGs can support Asian employees amid racial violence
注5:Tight labor market is driving job post transparency, iHire survey finds
注6:NYC’s pay transparency law is in effect and employers may be testing its limits
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