企業におけるデータ利活用の実態(2022年)/後編
キーマンズネットはデータの利活用に関する読者調査を実施した。BIツールやデータ分析ツールなど、どのようなツールの導入が多く、また導入に当たってどのような課題があるのだろうか。
キーマンズネットは2022年12月12~26日にわたり「データ利活用・BIツールに関する意識調査」を実施した。全回答者数は291件だった。
前編ではデータ利活用に関与する人は増えたものの、十分に利活用できていない企業の現実が明らかになった。後編ではデータ分析ツールやBIツールの利用状況を中心に紹介する。
実施中の施策、3位「セルフサービスBI」、2位「教育・研修」、1位は?
データ利活用のためにどのような施策を実施しているのかを尋ねたところ「データ分析ツールの導入(32.3%)」や「教育・研修(19.2%)」「セルフサービスBI(16.5%)」が上位に挙がり、やはりデータ収集やスキル・人材不足に課題を持って取り組んでいる様子が見て取れた(図1)。従業員規模別に見ると、1001人以上の大企業では3割近くで「データ分析部署の整備」を実施している一方、100人以下の中小企業では1割に満たず、企業規模によって大きく差があった。
今後予定している施策についても同様の項目に回答が集まったが、一点異なるのは「外部データを連係した分析環境の整備(14.1%)」が上位に挙がっていたことだ(図2)。昨今はB2Cにおける消費者の購買活動や価値観の変化への対応、B2Bにおけるサプライチェーンや業務フローの見直しなど、あらゆる変化に迅速に対応する必要性が増している。そのため、これまで以上に広範なデータを収集し分析する需要が高まっているのかもしれない。
「あのツール」導入が2019年から「2倍」
データ利活用のための環境整備においてどのようなツールが選定されているかを尋ねたところ、導入済みでは「ローカルで利用するBIツール(27.5%)」や「クラウドBIサービス(16.2%)」が多く、導入検討中では「統計学や数学を駆使した専門的な分析・解析ツール(14.1%)」や「クラウドBIサービス(13.1%)」が続く結果となった(図3)。
従業員規模別で見ると、どのツールにおいても大企業と中小企業で約3倍の開きがあり、大企業を中心に導入が進んでいる様子だ。2019年の調査と比較すると「クラウドBIサービス」を導入している割合が2倍近く伸びており、伸び率の内訳をみると中小企業での増加が大きかった。
一方で「統計学や数学を駆使した専門的な分析・解析ツール」は、2019年の調査と比較すると「導入済み」も「導入検討中」も割合が減っている。高度な分析技術を求めるよりも「まずはBIから」という企業が増えているのかもしれない。
導入しても使いこなせない……。データ利活用を阻む課題とは?
前編で触れたように「データの利活用が十分にできていない」と回答した企業が53.5%と過半数であり、システム面や人材面で課題を持つ企業が多い。
システム面では「データの加工が煩雑である(33.3%)」や「データの取得が煩雑である(31.3%)」「情報基盤が整備できていない 情報の統合ができていない(29.9%)」など、データ分析前の基盤構築やデータクレンジングの工程に課題を持つケースが多い(図4)。ETL(抽出・変換・出力)ツールやCDP(カスタマーデータプラットフォーム)、DMP(データ管理プラットフォーム)、DWH(データウェアハウス)などの関連製品を活用する方法もあるが「システムやツールが高価である(31.6%)」と回答する人も多く、なかなかスピーディーに対応できない側面もあるようだ。
続いて「人材面」だが、「分析ソフトウェアを利用するためのスキルが不足している(49.5%)」や「自社内にデータ活用ツールを使いこなせる人材がいない(44.3%)」など、高度なスキルを持つ人材の不足が課題として挙げられた(図5)。
データ利活用にあたっての課題を尋ねた質問に寄せられたフリーコメントを「ワードクラウド」でイメージ化した図6を見ると、先述の質問で挙げられた課題に加えて「費用」という語が目立つ。「データを活用した結果、いかに成果を上げることができるかが最も大きな課題。ツールを導入するだけで満足するケースも多いため」や「社内的に費用対効果を重視する風潮にあるため、費用で割り切れないものへの投資が進まない」といった意見もあり、データ利活用の投資対効果が見えず、施策に乗り出せない様子が分かる。
一方、前回、前々回の調査と比較すると「データよりもカン・経験・努力を重視する風土が強い(22.7%)」が減少傾向にあり、徐々に企業がデータドリブンな組織に変わろうとする意欲が見て取れた。こうした変化がシステムや人材への投資理解につながり、全社でのデータ利活用に期待が持てるようになるだろう。
本調査の回答者は情報システム部門が32.6%、製造・生産部門が17.2%、営業/営業企画・販売/販売促進部門が14.5%、経営者・経営企画部門が8.2%などと続く内訳であった。なお、グラフ内で使用している合計値と合計欄の値が丸め誤差により一致しない場合がある。
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