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Microsoft Excelの利用状況(2022年)

Excelは「ほぼ100%」の利用率を誇り、満足度も「まあまあ高い」一方で、依存状態から脱却した例も目立つ。キーマンズネット読者へのアンケート結果から、Excelとの「付き合い方」を企業が模索している様子が見えた。

» 2022年04月07日 10時00分 公開
[キーマンズネット]

 キーマンズネットは2022年3月11日〜18日にわたり「Excelの利用状況(2022年)」に関する調査を実施した。企業におけるMicrosoft Excel(以下Excel)の導入状況や満足度、利用用途などを調査したところ、圧倒的な普及率を誇る一方で便利すぎるがゆえの課題に悩む企業の存在も明らかになった。

ほぼ全ての企業が使う「神ツール」、ただしバージョンは入り乱れる

 まず、現在の勤め先でExcelを利用しているかを調査したところ「利用している」と回答した割合は98.6%だった。ほぼ全ての企業がExcelを利用しており、満足度も「とても満足」と「まあ満足」を合わせると88.1%に上る。

Excelの利用状況と満足度

 次に、利用しているExcelのバージョンを複数回答で聞いたところ、さまざまな回答が集まった。1社内で複数のバージョンが併用されているケースも珍しくない。

 Microsoftは近年、Excelを含む同社のオフィススイート製品群をサブスクリプションで提供する「Microsoft 365」(以下、M365)を主力製品とする。Excelはもちろん「Microsoft Word」「Microsoft Teams」「SharePoint」などを無制限に使える上、各機能の連携に強みを持つ。ただし、実態としての利用率は下図の通りとなった。

利用しているExcelのバージョン

 M365は最も多かったものの57.1%、次いで多かったのが「Excel 2016パッケージ版」で32.5%と「Excel 2019パッケージ版」で22.9%だった。2021のパッケージ版を利用している層もあり、サブスクリプションサービスが普及する中でも「永続ライセンス」の魅力は大きいことが分かる。

 1社で複数のバージョンを利用している例も多く、PCを購入したタイミングのパッケージ版を使っている可能性がある。「その他」の回答には「PCに付属してきたバンドル版を使っている」という回答もあり、端末の調達方法によってオフィススイートのバージョンもある程度変わるようだ。

「Excel方眼紙」まだ現役 脱Excelの意識差くっきり

 バージョンを問わずにExcelを利用している回答者に「どんな用途で使っているか」を聞いたところ、最も多かったのは「表計算、集計業務」で91.3%だった。次いで「資料作成」(79.4%)や「データ分析、レポーティング」(58.8%)「帳票作成」(53.9%)などが挙げられた。中には「ラベルシールを作っている」「議事録を作成している」「方眼紙として使っている」といった回答もあった。

Excelを何に使っているか

 Excelは、表計算ソフトとしての用途を超えた自由度の高さ、使い勝手の良さから、さまざまな業務に適用されている。一方でExcelが最適とは限らない業務にも適用され、それが全体最適化を阻んでしまうような状況も存在する。

 Excelは自由度が高く、簡易的なデータベースやプロジェクト管理ツールのように使うことも可能だが、各領域に特化した専門ツールと比較するとブラックボックス化や属人化が発生しやすい。大量のマクロや関数で複雑な加工をするとファイルが破損するリスクも上がるため、専用ツールへの移行を目指す企業は少なくない。

 そこで、Excel管理から業務に特化した専用ツールに置き返る「脱Excel」の状況を聞いたところ「置き換えたことがある」(37.4%)と「置き換える予定」(6.3%)を合わせて46.6%の企業が「脱Excel」に取り組んでいることが分かった。ただし最も多いのは「置き換えたことはない」(53.4%)で、わずかに「置き換えたが、機能せずExcelに戻った」(2.3%)という回答もあった。

「脱Excel」の取り組み状況

 具体的にどのようなツールに移行したのかを聞いたところ、最も多かったのは「BIツール」で31.9%、次いで「Microsoft Access」が28.4%だった。大量のデータを分析するに当たって、Excelよりも高機能な専用ツールの需要が高いことが分かる。また、「Google Workspace」(旧称G suite)など、他社のクラウド型オフィススイートに移行したという回答も目立った。

Excelから何に移行したか

脱Excelを「試してもいない」理由

 回答者の過半数はExcelを「他のツールに置き換えたことはない」と回答している。その理由を複数回答で聞いたところ、最も多かったのは「現状で満足している」(55.1%)だった。初めから業務に特化した専用ツールを導入済みで、最適な使い方ができている可能性もある。

Excelを他のツールに置き換えない理由

 一方で、それ以外の回答で目立つのは「何に置き換えるべきか分からない」(29.4%)や「費用対効果が測れない」(26.7%)、「マクロの移行ができない」(24.1%)、「現場の運用を変えることに手間がかかる、現場からの反対が多い」(22.5%)などだ。不便さは感じているものの、Excel運用が現場に根付きすぎて移行の負荷が高く、負荷に見合ったメリットが想定できないなど、ロックインからの脱却が難しい。今後さらに移行が難しくなっている「Excel依存」の状況が見て取れる。

 まだ移行をしていない回答者を対象に「Excelからの移行を検討しているツール」を聞いたところ、データ分析やプロジェクト管理用途を中心に、おおむね先行企業の事例が出そろうツールへの注目度が高かった。自社の規模や業種に近い、モデルケースとなる事例から、移行のヒントが得られると思われる。

 今回の調査では全回答者数350名のうち、事業部門が38.0%、情報システム部門が34.9%、管理部門が16.3%、経営者・経営企画部門が10.9%と続く内訳であった。なお、グラフ内で使用している合計値と合計欄の値が丸め誤差により一致しない場合があるので、事前にご了承いただきたい。

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